BMWi3

<装備分アップの価格設定。お買い得感はソコソコ。100周年を祝うのなら、もう少し太っ腹感が欲しい>

BMW i3創立100周年を迎えたBMW。こうしたアニバーサリーには、限定車や特別仕様車が出てくるのが自動車業界の常識。今回、BMWが用意したのは電気自動車(EV)のi3をベースにした限定車だ。創立100周年を記念した特別限定車の第一弾モデルとして「i3 Celebration Edition Carbonight(セレブレーション・エディション・カーボナイト)」が発売された。i3 Celebration Edition Carbonight(セレブレーション・エディション・カーボナイト)は、40台の限定車となっている。

BMW i3は、2014年に日本デビューした。すでに、日産が同じEVのリーフを販売していたが、思うほど販売台数は伸びていなかった。今ひとつEVが大きなムーヴメントを起こせなかった理由のひとつは、短い航続距離にある。日本はクルマの税金が高く、複数のクルマを併有することが難しい。そのため、日本で売れるクルマは、ひとつのクルマで不自由なく使えることが求められる。そうなると、航続距離に不安があるEVはなかなか顧客のメニューリストに載ることができない。

また、航続距離を伸ばすために電池をたくさん積めば、重くなり電費が悪くなるなど効率が下がる。電池は高価なので、価格も上昇し一部の高級車以外はますます買いにくくなる。そのため、一定容量の電池を積みながら航続距離の伸ばすためには、電費効率を良くするためにボディそのものを軽くしなくてはならない。そこで、i3は量産車として初めてCFRP(カーボンファイバー強化樹脂)をボディの基本骨格に採用した。CFRPは、レーシングマシンなどにも使われる超軽量で高強度を持つ素材。このCFRPの採用により、大きく重いバッテリーの重量を相殺している。また、重い電池はフロア下に配置。低重心化されたことで、高い運動性能も得ている。また、タイヤの抵抗まで考慮し、この限定車では、フロント155/60R20、リヤ175/55R20という特車な極細の大径タイヤが使われている。こうした先進技術により、BMW i3は、21.8kWhという十分な電池容量を持ちながらエクステンダー付モデルで1390㎏という車重を実現した。

BMW i3BMW i3の特徴は、EVのネガティブ要素である短い航続距離を延ばすためにレンジエクステンダーと呼ばれる発電用エンジンがオプションで用意されていることだ。このレンジエクステンダーは、2輪車用のエンジンを流用したもので647 cc直列2気筒エンジンが搭載されている。このレンジエクステンダーがあることで、229㎞という航続距離が300㎞以上となる。燃料タンクは9Lと、あまり多くないがいざという時、急速充電器よりガソリンスタンドを探す方が容易なので頼りになる。しかし、使用燃料は日本においてちょっと微妙で、2輪車用ということもありハイオク。やや、コスト高となる。また、満充電でのコストは約270円。この金額で229㎞という航続距離が得られる。

BMWは、輸入車メーカーの中で日本マーケットをしっかり研究している。日本では、全高制限が1,550㎜という立体駐車場が多い。この1,550㎜という制限を超えると、車庫証明が取れずにi3が欲しくても物理的に買えない状況になる。そのため、i3は欧州仕様から約30㎜全高を下げ1550㎜として導入している。こうしたところは、日本マーケットでの使い勝手を十分に研究している。

BMW i3に搭載されているモーターは、170ps(125kw)&250Nmなのでなかなかパワフル。レンジエクステンダー装備車で、0-100km/h加速7.9秒という俊足の持ち主だ。

また、インテリアにはシート、ルーフ・ライニング、フロアにリサイクル繊維(PET)が採用されるなど、環境を重視した素材が使われている。

今回投入されたi3セレブレーション・エディション・カーボナイトには、i3のレンジエクステンダー装着モデルにLEDヘッドライトや20インチホイール、サンプロテクションガラス、harman/kardon HiFiスピーカー・システム(360W、12スピーカー、7チャンネル・サラウンド)などが装備されている。さらに購入特典として、iPhone 6専用カーボン・ケースにharman/kardon AURA STUDIO(ホームスピーカーシステム)が用意されている。

BMW i3EVはガソリン車のように買える訳でなく、自宅に充電設備の接地が必要だ。充電設備を設置する手間とコストも、EVを買う上でのネガティブ要素になっている。しかし、i3セレブレーション・エディション・カーボナイトの購入特典には、eインストレーション(充電設備工事)無料というサービスが用意されていて、車両代以外に支払う費用が無いのも魅力的だ。

そんな魅力的な限定車だが、価格は少々微妙。100周年を祝ってもらうために、特別装備や購入特典を付けて、価格据え置き! と、いうのであれば、さすが100周年のBMWは太っ腹! と高く評価できる。しかし、限定車の価格は598万円と、ベース車に対して52万円高となっている。装備類を見ると、やや買い得感がある価格アップといった印象でお買い得感はそれほどない。100周年を迎えられたのは、多くの顧客があったからだ。そういう考えで、これだけ大きな節目なので、装備アップ分は無料というくらいの太っ腹さに期待したいところだ。まぁ、商売上手だからこそ100周年を迎えられたということもあるのだが・・・。

■BMW i3セレブレーション・エディション・カーボナイト価格(電気モーター + 発電用647 cc直列2気筒エンジン):5,980,000円

<BMW i3 Celebration Edition Carbonight特別装備内容>

ボディ・カラー: フルード・ブラック
LEDヘッドライト
20インチBMW iダブルスポーク・スタイリング430アロイ・ホイール
(フロント)5Jx20ホイール+155/60R20タイヤ、
(リヤ)5Jx20ホイール+175/55R20タイヤ
サンプロテクション・ガラス(リヤ・ドア・ウインドー、ラゲッジ・ルーム・サイド・ウインドー、リヤ・ウインドー)
インテリア: BMW iインテリア・デザインLOFT
フロント・シート・ヒーター(運転席&助手席)
harman/kardon HiFiスピーカー・システム(360W、12スピーカー、7チャンネル・サラウンド)
専用スペシャル・エディション・インテリア・プレート
BMW iコネクテッド・ドライブ・プレミアム
コネクテッド・ドライブ・サービス
BMWドライバー・サポート・デスク
BMW Apps
購入特典(付属品/付帯サービス)
カーボン製iPhoneカバーケース
harman/kardon AURA STUDIO(ワイヤレス・ホーム・スピーカー・システム)
自宅への充電設備(e-インストレーション)の無償設置、またはBMWサービス・インクルーシブ