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悩ましき2台 BMW ミニ と シトロエン DS3

クルマ選びって楽しいですよね。でも、最後に選ぶ決め手ってなんだろう?って思うこと、ありませんか。このコーナーは、クルマ選びで悩み疲れたそんなアナタの背中をドーンと押しちゃいます。迷える子羊よ、存分に迷いたまえ・・・・

今回は、2001年に発表されて以来、実用車ではない小さなクルマ・・・“プレミアム・コンパクト”というジャンルをすっかり確立した「ミニ」と、プレミアム・コンパクト界もうひとつの雄、シトロエンのプレミアムブランド「DS」のエントリーモデル「DS3」をお送りします。

小さいクルマに乗ることに少しも気負いすること無いプレミアム・コンパクトを代表するこの2台。果たしてその違いはどこに!?


◆そもそもプレミアム・コンパクトって?


小さいクルマの良さはたくさんあります。運転しやすさ、街中の取り回しの良さ、燃費の良さ・・・。だけど小さいクルマは実用性重視が命題のため生活感が出過ぎていたり、高級車が横に並ぶと気負いをする、というイメージが少なからずあったのは否めません。

古くはルノーがサンクに「バカラ」という高級仕様を出すなど、小さい高級車という概念は以前よりあったのですが、2001年登場の「ミニ」は、車種全体のイメージをこれまでの実用一辺倒の小型車から少し外れたポジションに置いたのです。室内や荷室の広さを犠牲にしてまでデザインを重視し、質感の高い内外装を持つミニは、これまでの欧州小型車の概念とは違う発想で作られていました。

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◆ミニは早くも3代目

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1994年、BMWが旧ローバーの初代ミニ(あの、むかしの小さなミニです)の権利をすべて手に入れたことで、BMWはまったく新しいミニの開発をスタートしました。そうなのです、いまのミニは、BMWが開発しているのです。ですが、製造は英国製を頑に守っています。

そのミニも、基本的なキープコンセプトのまますでに3代目を迎え、ますます熟成の域に達しています。初代ミニはプレミアム・コンパクトではありませんでしたが、現在のモデルは初代ミニのデザインをモチーフに伝統を引き継いだ存在という位置づけで、サイズも設計もまったく異なるクルマとなっています。


◆名前と違い伝統に頼らないDS3

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シトロエンが展開するDSブランドは、既存のシトロエン各車をベースにプレミアムカーを構築するプレミアムラインで、DS3はC3のDSシリーズ版と言えるモデルです。そのDS3は、シトロエンのいにしえの名車「DS」というブランド名に冠しているものの、デザインはかつてのDSやシトロエンと関連性のない、まったく新しいものになっています。

これは、シトロエン自体が過去を降り彼らず前に進むという姿勢を出してきたメーカーであるということ、DSシリーズ自体が「シトロエンの革新性を表現する」という発想で構築されているからなのです。シトロエンの革新性をデザインや質感、存在感で新しく解釈しているといえましょう。

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◆決め手は、どこに!?


面白いのはミニもDS3もまったく違うグループでありながら、エンジンが基本は一緒、ということです。1.2リットル3気筒エンジンと1.6リットル4気筒はどちらもBMW製です。ボディサイズはほぼ同じですが、デザインはミニらしさを全面に押し出したミニと、フランス流の上質と高級を惜しげもなく現したDS3ではまったくイメージが違います。DS3はカジュアルではありますが、高級ブランドの出すカジュアルシューズ的な印象があります。価格帯は、ミニには求めやすいエントリーグレードとハイパフォーマンスモデルがあるため差がありますが、DS3の価格はその中に収まり、ライバル車格感ではおおむね近い設定となっています。

この2台の違いは、「プレミアム」という考えの捉え方です。高い質感や凝ったデザインを持つという意味ではこの2台は共通していますが、カラっと晴れた青空の下も似合うミニに対して、夜の街がより似合うDS3、といえば、わかりやすいかもしれません。決めてはズバリ、その雰囲気が自分のキャラに合っているかどうか、ということかも。つまり、この2台を選ぶのは、着る服を選ぶことに近いものがあると思うのです。


◆迷える子羊よ、迷いは消えただろうか?


ということで、迷っているアナタ、いかがでしたでしょうか。気になったらぜひ現車に乗り、触れ、いろいろ感じてみてくださいね。
くるま選びは楽しくもあり、そして悩むもの。これからもいろいろな視点でのクルマ選びをこのコーナーで提案出来たら、と思います。


【イラスト/文 遠藤イヅル】
フリーのカーイラストレーター/ライター。東京都出身。自動車雑誌、WEBサイトにクルマをテーマにしたイラストや記事を多数提供。世界各国の生活感があるクルマを好み、20年間で18台のクルマを乗り継ぐ。クレイジーなほど深くて混沌としたクルマ知識を持つ元自動車系デザイナー。自身のクルマ体験をもと、独創的な視点で切り込むイラストやインプレッション記事は、他にないユニークなテイストとして定評がある。2015年7月現在の愛車はプジョー309SI。最新の掲載誌は遠藤イヅルのfacebookで確認!

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