DSC_021312月17日、ガリバーは本年7月に開始したスタートアップ企業との共創型新規事業開発プログラム「Gulliver Accelerator(ガリバー アクセラレーター)」の成果を発表する「Demo Day(デモデイ)」を東京都内で開催しました。
Gulliver Acceleratorは、ガリバーが持つ、年間21万台の車両情報・価格情報、全国470以上の店舗、クルマの値付けや査定に関するノウハウなどのアセット(資産)と、スタートアップ企業が持つ技術とノウハウを融合させて、クルマ社会に新しいイノベーションを生み出そうとするプログラムです。

本プログラムは様々なビジネス領域にフォーカスした新規事業の共創を目的としているため、自動車業界に限らず幅広い分野から新規事業プランを募集。
7月8日〜8月3日までの募集期間に応募された約150件のビジネスプランの中から2回の審査を経て、株式会社ハタプロ、株式会社gCストーリー、株式会社トイロのスタートアップ企業3社を選出。
3社は3ヵ月間にわたり、ガリバー社内外のメンターによるサポートを受けながら事業を実施。
3社はその取組みの成果をプレゼンテーションしました。
そして最優秀賞はハタプロに、優秀賞はgCストーリーに決定しました。



【最優秀賞】ハタプロ

DSC_0212最優秀賞に選出されたのは、IoT端末を手掛けるハタプロが開発した「flagle.io」です。
近年、高齢ドライバーの交通事故が増えていますが、flagle.ioは高齢者の運転傾向を見える化し、注意喚起を促すためのIoTです。

クルマの運転席のヘッドレストのシャフトに、小型IoTデバイスを装着するだけで加速度、騒音、車内の温度や二酸化炭素などの情報をAI(人口知能)が自動収集して学習します。
このデータを活用することで、高齢ドライバーの危険運転や居眠り運転を事前予測し、防止する効果が期待されます。

また、交通事故危険箇所をまとめた「ヒヤリハットマップ」の自動作成も可能だといいます。
ハタプロ代表取締役の伊澤諒太氏は、「どんな車にも搭載可能なIoT時代の新しいパートナー」とコンセプトを説明し、既存のクルマのIoTサービスのような車種依存ではないモノづくりをしてきたことを強調しました。




【優秀賞】gCストーリー

中古車を購入する場合、売り手から買い手に渡るまでに多くの中間業者が存在するため、価格が上乗せされてしまいます。
ネットオークションの場合は中間業者の介在はありませんが、そのクルマを誰がどのように検査したのかが不透明で、ユーザーは事故車を買わされてしまう可能性が高くなります。

中古車販売におけるそうした不安とリスクを解消するために、看板施工事業者のクラウドソーシングをメインに手掛けるgCストーリーが開発したのは、クラウドソーシング検査員事業です。看板職人(看板事業者)に自動車検査員としての技術を身に付けてもらい、クラウドソーシングで全国に派遣します。

gCストーリー 執行役員の高村健一氏は「4300社の職人さんとのネットワークを活用して、直に職人さんに依頼することによって多重構造を排除しております。それによってユーザーとしては低コスト、高品質といったメリットがあります」と説明。ユ
ーザー向けの検査基準を確立することで、欲しいクルマを適正価格でオンラインでも安心して購入できるようになることが期待されます。



トイロ

保険の総合比較サイト「INSNEXT」などを運営しているトイロは、コンテンツ運営のCMS開発を手掛けるスタートアップ企業です。
今回トイロが提案したのは、ガリバーのアセットを活用したキュレーションメディア事業です。

トイロはメディアにおいて検索からの流入を何より重視しており、これまでずっと検索の動向を追い続けているのだといいます。
その中で見えてきたのは「初めから答えを求める消費者」と「近年増え続ける感情検索」という2つの傾向。中古車に対する検索の動向を調べてみると「中古車」や「中古車情報」といった検索ワードは近年減り続けており、代表取締役社長の佐瀬和久氏は「ユーザーが情報収集しなくなってきている」と話します。

逆に増えているのが「中古車おすすめ」「プリウスおすすめ」などの検索ワードで、自分で調べるのではなく、知識を持っている人におすすめしてほしいという傾向が顕著になっているのだといいます。
また「かっこいいクルマ」「モテるクルマ」「クルマがほしい」といった、クルマに対して思ったことをそのまま検索(感情検索)する動向が増えており、この2つの傾向に最適なのがキュレーションメディアなのだそうです。

トイロはキュレーションメディアを構築するCMSを開発し、サイトをリリース。ガリバーから13万件の車両情報と現在の在庫情報、過去1年間分の購買データの提供を受け、それを基に1時間で10本程度の記事を量産しているとのことで、「ガリバーならではの情報」「キュレーターが厳選した車両情報」「感情検索に対応した車両情報」この3つの情報を主に提供していきます。



まとめ

自動車業界は今、100年に1度の変革期を迎えていると言われていますが、これからの新しいクルマ社会の実現に向けたイノベーションの創造はガリバー1社だけで行うことは難しく、プログラム参加企業と共にそれぞれの会社の強みを活かしながら前に進んでいかなければいけません。

ガリバーはハタプロ、gCストーリー、トイロの3社と、2016年の春を目処に共同事業をそれぞれ立ち上げます。次世代を担うチームとの協業で、既存の枠組みを超えた先進的な事業を創り出していきたいと考えています。