
今月のふせん絵 第9回 シトロエン 11BL(トラクシオン・アヴァン)

◆名は体を表す「Traction avant」
いまや乗用車ではごく一般的な駆動方式「FF(フロントエンジン・フロントドライブ)」は、舵取りと駆動する機構両方を前輪に与える必要があることから、戦前においては技術的に難しいものとされた。そのため、1935年にFFを採用してシトロエンが送り出した「トラクシオン・アヴァン(=前輪駆動)」は、まさに画期的なクルマだった。ドライブシャフトが不要となって床は低くなり、それによってクルマ全体の高さがぐっと低くなったほか、ハンドリングも高く評された。1955年にDSが登場するまで、シトロエンの代表的な車種として20年以上生産された。車名の11BLの11は馬力課税を意味する。ボディは2種類存在し、大きいほうを「ノルマル」、小さいほうを「レジェ」と称した。
【イラスト/文 遠藤イヅル】
フリーのカーイラストレーター/ライター。東京都出身。自動車雑誌、WEBサイトにクルマをテーマにしたイラストや記事を多数提供。世界各国の生活感があるクルマを好み、20年間で18台のクルマを乗り継ぐ。クレイジーなほど深くて混沌としたクルマ知識を持つ元自動車系デザイナー。自身のクルマ体験をもと、独創的な視点で切り込むイラストやインプレッション記事は、他にないユニークなテイストとして定評がある。2015年7月現在の愛車はプジョー309SI。最新の掲載誌は遠藤イヅルのfacebookで確認!