もはや、自動ブレーキは軽自動車でも当たり前となっている安全装備。最新のテクノロジーで、人間のミスをフォローし無用な交通事故になる可能性を大幅に引き下げてくれる機能だ。だが、この自動ブレーキは、どれも同じではない。機能や性能差があるので、自動ブレーキを選ぶときには注意が必要だ。

安全装備の導入状況


自動ブレーキの主な機能は、車両と歩行者への追突被害軽減が上げられる。現在多く売られている自動ブレーキの多くは、車両のみにしか対応していない。さらに、車両のみの自動ブレーキでも、対応速度がまちまち。最もベーシックな自動ブレーキだと約30㎞/h以下というものだ。こうしたベーシックタイプは、赤外線を使ったものが多い。

また、より性能が高いものになると、カメラやミリ波レーダーを装備したものになり、メーカーによって差がある。最も高性能なタイプは、最高速度から対応し被害軽減を図る。交通事故は、速度が高ければ高いほど大きな事故になりやすい。そのため、対車両の自動ブレーキでもすべてが同じではなく、より高い速度で対応し、尚且つ速度低減量が大きいタイプほど、より安全な自動ブレーキといえる。

自動ブレーキ選びは絶対「歩行者検知式」


ただし、対車両の自動ブレーキは事故の回避や被害軽減と言う意味では重要だが「死亡事故」という観点から考えると、より重要になってくるのは対歩行者対応の自動ブレーキだ。生身の人間と鉄の塊であるクルマがぶつかるのだから、死亡事故につながりやすい。現在では、歩行者とクルマの死亡事故数が最も多いとも言われている。クルマであれば、物損で済むこともあるが、歩行者となると仮に死亡事故にならなくても人身事故になり、刑事・行政・民事処分が加わり一大事となる。もちろん、クルマに轢かれる身になれば大迷惑もいいところだ。

自動ブレーキ

こうした対歩行者事故に有効なのが、歩行者検知式の自動ブレーキだ。カメラやミリ波レーダーで歩行者を検知し、衝突の危険性がある場合、自動ブレーキをかけ衝突回避または被害軽減を図る。昨今、交通事故死の多くが歩行者とクルマの衝突によるものが最も多くなてっていることから、こうした歩行者検知式の自動ブレーキは、交通事故死亡者数を減らす効果が期待されている。

より高い速度から歩行者を検知できるかどうかが重要!

ただし、この歩行者検知式の自動ブレーキも性能差があり、選ぶときは注意が必要だ。クルマと歩行者の衝突による死亡事故では、衝突速度が大きなポイントとなっている。車両の速度が30㎞/h以下だと、致死率は数%と低い。しかし、30㎞/hを超えると加速度的に致死率が上がり、70㎞/hになると致死率は40%を超える。

つまり、歩行者検知式の自動ブレーキを選ぶ場合、より高い速度から歩行者を見つけ自動ブレーキを作動させ、どれだけ速度を落とせたのかが重要なのだ。歩行者検知式の自動ブレーキではあるものの、30㎞/h以下程度の対応速度であれば、それほど効果は高くないということになる。

例えば、約80㎞/hまで対応の歩行者検知式の自動ブレーキを装備していた場合、60㎞/hで歩行者に衝突しそうになったとき、30㎞/h自動ブレーキにより減速できたとしたら、衝突時の速度は30㎞/hになる。30㎞/hでの衝突では、致死率は数%。60㎞/hでの致死率は、30%超と高い。自動ブレーキにより、死亡事故になる可能性はかなり低くなり、被害軽減ができたことになる。

自動ブレーキは、自動運転の基本機能ともいえるもので、現在メーカー各社間の差が大きく過渡期ともいえる状況。単純に自動ブレーキとひとくくりにして、より安いタイプという選び方はあまり意味が無くなってしまうので要注意。まずは、歩行者検知式の自動ブレーキであることが重要で、その中から歩行者への対応速度がより高いタイプを選ぶといい。もちろん、高性能になる分価格は高くなるが、リスク軽減という視点で積極的に選んでほしい装備。

多くがオプション設定となっている装備だが、こうした機能が標準装備化されたのなら「子供の列に居眠り運転のクルマが衝突。死亡者多数」などという事故が少しでも減ると信じたい。人はミスするもの。クルマの技術は、そのミスをフォローするレベルまで上がっている。人を幸せにするのが技術だとするならば、自動ブレーキは不幸になる人を減らす技術でもある。

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