今月のふせん絵 第5回 ホンダ1300 クーペ9

本田宗一郎氏がこだわった空冷エンジン

軽自動車で自動車メーカーとしての地位を確固たるものとしたホンダが、1969年に送り出した1.3ℓサルーンが「1300」である。当時このクラスでは希少だった前輪駆動だったこと、そしてエンジンは本田宗一郎氏がこだわりぬいた空冷直4エンジン「DDAC」の採用がトピックだった。高性能仕様の「99」では4連キャブがおごられて115馬力(のちに110馬力)を発生した。そして1970年、1300シリーズにクーペが追加され、高性能版は「クーペ9」と呼ばれた。だが1300シリーズの販売はあまり伸びず、そして空冷エンジンの限界も露呈したのも事実だった。これが転機となって、ホンダはシビックを送り出すことになるのだった。

【イラスト/文 遠藤イヅル】

フリーのカーイラストレーター/ライター。東京都出身。自動車雑誌、WEBサイトにクルマをテーマにしたイラストや記事を多数提供。世界各国の生活感があるクルマを好み、20年間で18台のクルマを乗り継ぐ。クレイジーなほど深くて混沌としたクルマ知識を持つ元自動車系デザイナー。自身のクルマ体験をもと、独創的な視点で切り込むイラストやインプレッション記事は、他にないユニークなテイストとして定評がある。2015年7月現在の愛車はプジョー309SI。