すでに生産中止のエクシーガをクロスオーバー化したモデル。価格は約275万円と高価な設定


スバルエクシーガクロスオーバーセブンスバルは、生産中止となったエクシーガをベースとした「都市型SUV ×多人数車」という新ジャンルのクロスオーバーモデル、エクシーガ クロスオーバーセブン (EXIGA CROSSOVER 7)の発売を開始した。

このクロスオーバーセブンは、2013年11月に開催された第東京モーターショーに参考出品したコンセプトモデル「CROSSOVER 7 CONCEPT」をベースとして、市販化されたもの。ファッション性と本格SUVの要素を取り入れた内外装、そしてスバルならではの全天候型AWDのパフォーマンスをもつ。

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クロスオーバーセブンは、エクシーガの2.5L  AWD をベースにしている。そのボディに、フロントやリヤ、フェンダーなどにブラックのプロテクターを装備しひと目でクロスオーバー車と分かるボディパーツをプラスしている。さらに、大型フロントグリルを装着。フロントフェイスに、力強い印象を与えている。

インテリアは、なかなかオシャレだ。タンカラーをメインに使ったシートが鮮やかで、室内を明るい雰囲気にまとめている。同時に、クロスオーバー車らしいアクティブなイメージをプラス。より上質なウルトラスエード/本革シートの組み合わせがオプション設定され、上質感をよりアピールしている。

さて、このクロスオーバーセブンの価格は2,754,000円。サイドエアバッグ&サードシート対応カーテンエアバッグ、アイサイトを標準装備するなど、高いレベルの安全装備を標準装備。装備面では、運転席&助手席8ウェイパワーシート、シートヒーターも標準装備されており、快適装備も高いレベルにある。さらに、AWDで2.5Lとはいえ、なかなか高価な価格設定となっている。

と、いうのもすでに生産が中止になっているエクシーガがベースで、エクシーガは2008年デビューと随分設計が古い。人気のアイサイトもバージョン2で、最新のものではないのだ。

スバルエクシーガクロスオーバーセブンさらに、この価格帯の多人数乗車の5ナンバーミニバンの売れ筋グレードの価格帯に入る。そもそも、エクシーガが売れなかった理由のひとつが、ドアがスライドドアではないということ。もはや、このクラスのミニバンは、セレナの特別仕様車なら、両側パワースライドドアが標準装備。ステップワゴン は、テールゲートが横開きするわくわくゲートが装備されていて、使い勝手ではエクシーガを圧倒。室内スペースや使い勝手では、クロスオーバーセブンをあえて選ぶ理由があまり見つからない。さらに、エコカー減税にも対応していないので、顧客メリットも提示できていない。スバルに対してロイヤリティの低い顧客から見れば、エクシーガの焼き直しモデルにしか見えないのだ。

また、ハイブリッド のホンダ ジェイド もロールーフの多人数乗車としてデビューしたものの、価格が約272万円と激戦の価格帯であり、販売台数は思ったほど伸びていない現状からも、このクラスはかなりニッチなマーケットでもある。ジェイドがハイブリッドシステムを投入しても売れない状況下にあり、最新のダウンサイジングターボを搭載したガソリン車が253万円なのだ。それなのに、価格が新型のジェイドを上回る約275万円では、さすがに一般の顧客には響かないだろう。このパターンは、生産が中止されたエクシーガが売れなかった理由とほぼ同じ。そうなると、スバルブランドへのロイヤリティが高い顧客でないと選びにくい状態。新しい顧客層を取り込むというよりは、よりスバルに対してのロイヤリティが高い顧客層向けのモデルに見える。

価格

スバル エクシーガ クロスオーバーセブン: 2,754,000円

執筆者プロフィール
クルマ評論家 CORISM代表
大岡 智彦 氏

CORISM(http://www.corism.com/)編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員。