消費税の増税に合わせて自動車税制の抜本的な改正が行われるはずだったが、消費税の増税が取り敢えず1年半先延ばしにされたため、自動車税の抜本的な改正も先延ばしになった。

これに合わせてエコカー減税が継続されることになったものの、これまでに比べると格段に厳しい基準が適用されるようになる。このため、新車を買うなら現在のエコカー減税が適用される3月中の登録を目指した買い方が有利になる車種が多い。

エコカー減税の基準がどのように変わるかというは、減税の判定に使われる燃費基準が2015年基準から2020年基準に変わるのだ。現在、2015年燃費基準+20%を達成しているクルマでも、2020年基準を適用すると燃費基準達成(+0%)にとどまってしまうのが普通だ。

エコカー減税判定基準が変更

これによって、現在は自動車取得税と自動車重量税が免税になるのに、4月以降は60%の減税しか受けられなくなる。300万円程度のクルマで考えると、免税だった自動車取得税が4万円程度の負担になり、同様に免税だった自動車重量税が50%の減税で1万8300円(1.5t以下)の負担が発生する。

新エコカー減税 概要図

車両価格が高くなれば自動車取得税の負担がさらに増えることになるし、重量の重いクルマなら自動車重量税の負担も増える。重量が2tを超えるようなミニバンで、車両価格が500万円などというケースでは、ざっと計算しても10万円程度の負担増になる。

最近話題のクルマでいえばアルファード/ヴェルファイアがこれに当てはまるが、アル/ヴェルはすでに納車待ちが長くなっていて3月中の納車は無理。諦めるしかない。日産エルグランドなどなら、なんとかなりそうだ。

それ以外の高級車で、3月中の納車が間に合う車種を買おうとしているなら、何としても早く商談を進めて3月中の納車を目指したい。

なお、電気自動車、プラグインハイブリッド車、クリーンディーゼル車などは、4月以降も免税が継続されるので問題ない。負担増になるのはガソリン車が中心である。

自動車評論家 松下 宏

自動車評論家松下 宏(まつした ひろし)中古車の業界誌から自動車誌の編集者を経て、自動車評論家に。誰でも買える価格帯であり、小さくて軽く、そして燃費がよいということを信念として評論。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員としても、その信念は変わらない。そのため、大本命といわれている車種さえ外してでも自らの信念を貫き通す熱いハートをもつ。