燃費だけではなく、走りの質感で勝負!


ダイハツムーヴダイハツは、ムーヴをフルモデルチェンジした。ムーヴはこれで6代目。ダイハツの主力軽自動車だ。

ムーヴは、初代からスズキのワゴンRと強烈なライバル関係にある。その激しいライバル争いの結果、最近の軽自動車が燃費、居住性、安全性、価格などが大きく進化したといってもいいほどだ。

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直近では、燃費戦争が激しさを増し、抜きつ抜かれつのデットヒートを繰り広げた。しかし、ワゴンRは簡易型ハイブリッドシステムを投入し、32.4㎞/Lというクラスナンバー1の燃費を叩き出し、ムーヴを大きく引き離した。

燃費より低価格が重要

ただし、SエネチャージではないワゴンRの燃費は30.0㎞/L。それに対して、ムーヴの燃費は31.0㎞/L。Sエネチャージには負けたものの、他の通常モデルの燃費性能は1.0km/Lも引き離したのだ。ダイハツは、軽自動車は低価格であることが重要としている。そのため、簡易型ハイブリッドとはいえ、リチウムイオン電池やモーターというコストが上昇することをしてまで、燃費を上げようとしないという考え方だ。まぁ、ダイハツの都合による考え方なので、あまり鵜呑みにしない方がよい。

スマートクール採用で燃費向上を図る

ムーヴの燃費向上は、フロントアンダースポイラー、リヤタイヤ前スパッツ、スポイラー一体型バックドアなど、各種空力改善アイテムを搭載し、Cd値は従来比から約10%も低減させている。さらに、軽量高性能エアコンユニット関連を新開発。オートエアコン車には、ワゴンRなどと同様な蓄冷エバポレータを搭載。アイドリングストップ中の送風時も冷たい風を維持する「スマートクール」を採用するなどにより燃費向上を図っている。

「フォースコントロール」に着目で、快適性と安心化を提供


ダイハツムーヴ最近のダイハツは、クルマの原点に戻り基本性能の向上に注目している。最近の軽自動車は、普通車からのダウンサイザーが多く、一定以上の基本性能が無いと買ってもらえないという傾向もあるからだ。さらに、運転が苦手な人も多く「運転が上手くなった」と感じてもらえるように、新ボディ骨格構造を軸とした外部からクルマにかかる力とクルマから外部へ伝える力をコントロールする「Force Control(フォースコントロール)」に着目。ドライバーの頭部のふらつきを小型車並に低減するなど、ドライバーにかかる疲労を軽減し、快適性と安心感を提供することに成功している。

軽量化と高剛性化による基本性能向上を実現

このフォースコントロールのひとつ目は、軽量高剛性ボディ骨格構造「D monocoque(Dモノコック)」。高剛性化はもちろん、新型ウェイクでも使われた外板樹脂化なども含め、ボディで20kg軽量化した。その上で、アンダーボディに最適な補強を行い、さらに高剛性化による基本性能向上を実現した。

足回りの細部まで改良した「Dサスペンション」

二つ目は、足回りの細部まで改良を加えた「D suspension(Dサスペンション)」。剛性アップなど、細部にわたり最適化。ブレーキフィーリングの向上なども含め改良された結果、フラットで快適な乗り心地を実現している。

三つ目が軽初のパワーモード切替ステアリングスイッチ「D assist(Dアシスト)」。ステアリングスイッチで、ワンタッチ操作による「パワーモード」への切り替えが可能となった。エンジン・CVT の制御を変更することにより、アクセル操作に対するレスポンスが良くなり、出足加速時や登坂時にストレスない運転を実現。ただし、パワーアップする訳ではない。運転の苦手でアクセルをシッカリと踏めない人向けの装備。運転の上手い人には無用の装備ともいえる。

従来のムーヴより静粛性をアップ


静粛性も重要だ。ボディに開けられた水抜き穴などの数を低減し、騒音の元となる音響の車内進入経路を約20%削減。また吸音材の配置見直しやステアリング支持剛性の大幅向上により、従来のムーヴに比べノイズや振動を大幅に低減した。また、風切音の低減も行われている。

新グレード「ハイパーカスタム」を設定


ダイハツムーヴそうした走行性能の向上に加え、新たな試みとしてカスタムに新グレードであるハイパーカスタムを設定した。ダウンサイザーも満足させるため、軽自動車の常識を超えた高品質感をアピールしたグレードだ。なんとも、ストレートなネーミングだが、ダークメッキのグリル&ブランドマークで上質感・高級感を演出。グリル下部とフォグランプ周りにも LED イルミネーションを施し、存在感を一層強調。

他のムーヴとは別格の上質感をアピール


インテリアも同様に、ハイパー専用ギャラクシーマーブル調のインパネガーニッシュ&ドアオーナメントパネルを採用。シートはブルーステッチを施した本革+ファブリックシートとし、他のムーヴとは別格の上質感をアピールしている。

自動ブレーキ関連のスマートアシスト(SA)に新たな機能を追加


安全装備面では、自動ブレーキ関連のスマートアシスト(SA)に新たな機能が追加された。軽初の新機能、後方誤発進抑制制御機能が追加された。従来のスマートアシストの機能に加え、後方に障害物を検知した際、Rレンジでアクセルペダルを強く踏んだ場合、約8秒間エンジン出力を抑えて急発進を防止する。この後方検知には、ソナーセンサー(音波)を採用。10㎞/h以下で走行時、後方約2~3m先までに壁などの障害物を検知している場合に作動する。価格は従来から据置きとしているのは、高く評価したいポイントだ。

スマートアシスト全グレードに設定

スマートアシストは、全グレードに設定。また、スマートアシストが装備されていない車種も、横滑り防止装置(VSC)とトラクションコントロール(TRC)は全車標準装備されている。他のメーカーでは、未だ横滑り防止装置が装備されないグレードがあるだけに、この部分もムーヴを高く評価したいポイントのひとつだ。

ムーヴの選び方


ムーブの選び方は、予算重視ということなら、ムーヴL“SA” 1,198,800円ということになる。ただ、このグレードだとちょっと装備が貧弱気味。通勤用と割り切れれば良いが、一般のユーザーはX“SA”1,306,800円をベースに考えるといいだろう。ほぼ、これで納得できる装備となる。

ムーヴとムーヴカスタムとでは、やはりリセールバリューを考えるとムーヴカスタムを選んだほうが無難。満足度が高いのは、ムーヴ カスタムX“SA。価格は1,458,000円。LEDヘッドライトが標準装備と装備も十分だが、さすがに1.3Lクラスのコンパクトカー以上の価格になっているのが悩みどころでもある。

さらに、この価格は、ワゴンRスティングレーのXグレードと同等。ワゴンRスティングレーXは、簡易型ハイブリッドのSエネチャージ搭載で、アイドリングストップからの再始動音などの静粛性やスムースさはムーヴを上回る。どうしても軽自動車! ということでなければ、1.3Lのコンパクトカーとも試乗して比べてみることをおすすめする。

また、今回新設定されたハイパーグレードで、カスタムX“ハイパーSA”の価格は1,533,600円。ターボのカスタムRS“ハイパーSA”の価格は1,668,600円。もはや、軽自動車の価格とは言えないれべる。もう少し予算が許せば、ハイブリッド車やクリーンディーゼルもターゲットになる。あまり、軽自動車としてのメリットが生かせるとは思えないので、購入する際は慎重に選ぶといいだろう。

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ダイハツ ムーヴ価格


ダイハツ ムーヴの価格は以下の通り。

ムーヴの価格

・L 2WD 1,134,000円
・L “SA” 1,198,800円
・X 1,252,800円
・X “SA” 1,306,800円

ムーヴカスタムの価格

・カスタムX “SA” 1,458,000円
・カスタムX “ハイパーSA” 1,533,600円
・カスタムRS “ハイパーSA” 1,668,600円

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◇執筆者プロフィール◇
クルマ評論家 CORISM代表
大岡 智彦 氏

CORISM(http://www.corism.com/)編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員。


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