ホンダレジェンド

<3モータのSH-AWDに、最新安全装備のホンダセンシングとハイテク満載>

ホンダレジェンドホンダは、フラッグシップモデル「ホンダ レジェンド」 をフルモデルチェンジし発売を開始した。新型ホンダ レジェンドは、このモデルで5代目。2012年に先代モデルが生産中止となってから、2年ぶりの復活となった。この5代目レジェンドのガソリン車は、すでに北米では発売済み。当初、2013年後半にハイブリッドモデルが投入予定ということだったたが、フィットハイブリッドのリコール関連の影響か約1年遅れてのデビューとなった。

日本マーケットに導入された新型レジェンドには、ガソリン車の用意は無くハイブリッドのみの設定。3.5Lエンジンと組み合わされたハイブリッドシステムとなっている。グレードも1グレードのみと、かなり割り切った設定で、価格は680万円となった。

新型レジェンドで注目したいのは、ハイブリッドシステムとAWDを融合したスポーツ ハイブリッドSH-AWD(SPORT HYBRID SH-AWD)だ。このシステムは、3つのモーターを装備しているのが最大の特徴。AWD化するために、後輪側に各37psのパワーをもつ2つのモーターを搭載している。この2つのモーターは、完全にエンジンから独立しているので、左右後輪のトルクや減速力を自由自在にコントロールすることができる。この機能によって、FFベースのクルマでありながら、卓越したトラクション性能と、全速度域で理想的なライントレース性を発揮。まさに、ドライバーのスキルを問わず、どんなドライバーでもスムースにクルマを曲げることができる。

ホンダレジェンドさらに、新型レジェンドには車両前部にも1つのモーターがある。後部の2つのモーターの機能と合わせると、新型レジェンドは、前輪駆動、後輪駆動、4輪駆動 と3つの駆動方式をもつ世界的にも例をみないハイブリッドとなっている。実際の走行では、後輪でのEVモード、前輪でのエンジンモード、4輪でのハイブリッドモードなどを走行状況に合わせて、最もエネルギー効率の良いモードを自動選択する。システム最高出力は、281kW(382PS)と、なかなかパワフル。

そして、気になる新型レジェンドの燃費は16.8㎞/L。同じ3.5LハイブリッドのレクサスGSが18.2㎞/L。フーガ ハイブリッドが18.0㎞/Lなので、新型レジェンドの燃費はやや悪い。しかし、これはAWDであり車重も増えていることによるものといえる。スカイラインハイブリッド4WD タイプSPの燃費も16.8㎞/Lだ。

デザインで、まず目を引くのはフロントフェイス。五角形のグリルで押し出しの強さをアピールすると同時に、レンズが宝石の輝きを思わせる「ジュエルアイLEDヘッドライト」がプラスされる。独特のキラキラ感あるフロントフェイスとなっており、高級車らしいオリジナリティがある。

インテリアは、居住性に優れたFFレイアウトとしたことで、従来モデルとほぼ同等の全長としながらも、後席空間を大幅に拡大し、クラストップレベルの居住性を得ている。インパネ周りは、柔らかくラウンドした広がり感のあるデザイン。センターパネル上部にはナビ、その下にオーディオ操作などを行うモニターが装備されたツインモニタータイプとなった。

やや先進安全装備に関して遅れていたホンダも、ようやく新型レジェンドから「ホンダセンシング」と呼ばれる安全装備が標準装備された。フロントグリル内に設置したミリ波レーダーと、フロントウインドウ内上部に設置した単眼カメラという、特性の異なる2種類のセンサーで構成。ミリ波レーダーは性能を大幅に向上。対象物体の位置や速度だけでなく、検知が難しいとされてきた電波の反射率が低い歩行者まで、検知対象を拡大している。また、単眼カメラは車両前方約60mまでの歩行者や対象物体の属性、大きさなどを識別、より精度の高い認識を可能とした。

こうしたセンサーの進化により、車線維持支援や路外逸脱抑制、歩行者事故軽減ステアリング、標識認識機能、誤発進抑制機能、ブラインドスポットインフォメーション、マルチビューカメラなどなど、車両前方だけでなく車両周辺をトータルに監視し安全に走行できる機能が満載された。

ただ、単眼カメラとミリ波レーダー1台では、世界トップレベルとはいないのが現状でホンダのフラッグシップに搭載される技術としては、少々物足りない印象。すでに、メルセデス・ベンツ は、Sクラスだけでなく、Cクラス にも複眼カメラと6台ものミリ波レーダーを装着した安全装備をほぼ標準装備化しているからだ。

ホンダレジェンド新型ホンダ レジェンドの選び方は、1グレードしかないので選択の余地はない。価格もかなりリーズナブルな設定で680万円というのはお買い得感がある。先代レジェンドはハイブリッドモデルではなかったのに、この程度の価格帯だったkとを考えれば、ホンダも随分戦略的な価格設定をしていきたといえる。新型レジェンドのボディサイズは、全長4995mm×全幅1890mm×全高1480mmと、ボディサイズで比較するとレクサスGS よりやや大きく、レクサスLS より少し小さいといったサイズ。日産フーガ ハイブリッドが比較的近いボディサイズになる。

レクサスGSは、安全装備のレベルも低く、価格もかなり高価。そのため、国内でも苦戦中。新型レジェンドと比較するなら、フーガのVIPとなり価格は6,661,029円と価格が近い。ただし、新型レジェンドはAWDなので、その価格アップ分を含むとすると、フーガVIPよりお買い得感がある。また、安全装備もフーガよりレジェンドの方が勝っている。コストパフォーマンスという点では、新型レジェンドはかなり高いレベルにあるといえるだろう。

新型レジェンドは、ハイブリッド車でありながらAWDであることのメリットが大きい。レクサスGSや日産フーガにはAWD機能がない。ただ、基本的にフーガとスカイラインは同じなので、フーガのマイナーチェンジではAWDが投入される可能性も高い。今のところ、積雪地域でこうした高級ハイブリッドセダンでAWDを望むと新型レジェンドのみとなっている。

■ホンダ レジェンド価格:6,800,000円