日産ラティオ

<先進の自動ブレーキなどの安全装備や価格を比べると、ノートがお勧め>

日産ラティオコンパクトセダンのマーケットは、実質的にトヨタ カローラのみと言える状況だったが、日産はラティオ を2012年10月に日本へ投入した。その後、ホンダがハイブリッドモデルのグレースを投入。国内導入は未定だが、マツダはタイでデミオのセダンを発売予定と、各社、コンパクトセダンマーケットに対して、国内にも力を入れ始めている。そんな状況下で、ハイブリッドもクリーンディーゼルも持たない日産ラティオがマイナーチェンジした。

日産ラティオは、マーチと同じプラットフォームを使用している。そのため、ラティオもマーチ同様、コンパクトカーは価格競争力が必要ということで、タイで生産され日本へ輸入されている。今後注目のクラスとはいえ、あのトヨタのカローラですらセダンのCMはほとんど行われていないくらい、現状では売れないクラスだ。

ただし、売れないクラスとはいえコンパクトセダンをラインアップさせておく理由がある。地道に売って来たティーダラティオなどの古いコンパクトセダンの顧客がまだまだ多く存在し、どうしてもセダンという顧客がいる。その上、ダウンサイジングが続いていることから、日産の上級セダンからの乗り換えの受け皿も必要だ。また、一定数の法人需要もあり、日産関連企業や取引企業の営業車だけでもばかにならない数となるからだ。もし、こうしたラティオのようなセダンを用意していないと、ドンドンと他社へ顧客が流出し、日産の保有は減っていく。つまり、営業戦略的に無いと困る車種なのだ。

そんなラティオのマイナーチェンジは、デザインの一部変更、車体色、グレード体系、装備の見直しを行った。エクステリアではフロントバンパー、フロントグリル、ヘッドランプ、フード、リヤバンパーの形状を変更。あまり変わり映えしないが、エアロパーツっぽいバンパー形状になったことで、スポーティな印象が強くなった。

インテリアではステアリング、センタークラスター、助手席側のインストルメントパネルの形状変更。さらに、シートクロスも変更し、全体の質感を向上させた。最上級グレードの「G」にはセ、ンタークラスターフィニッシャーとエアコンパネルを深みのあるピアノブラックで仕上げ、上質感を高めた。グレード体系も変更された。エントリーグレードの「B」を「S」グレードと統合。「X」・「G」とあわせて3グレード体系となった。

日産ラティオ装備面では、横滑り防止装置であるVDC を全車標準装備した。これは、法規制対応だ。これで標準的なクルマになったと考えるべきだ。快適装備では、紫外線を99%カットするUVカットグリーンガラスを、これまでのフロントガラスに加え、フロントドアガラスにも採用した。

ラティオに搭載されるエンジンは、ハッチバックのノートにも搭載される1.2L直3エンジンHR12DE型で、出力は79ps&106Nm。燃費は22.6㎞/Lだ。エコカー減税は、自動車取得税及び自動車重量税が75%減税となる。ラティオの燃費は、デビュー当時、トップクラスだったが、今ではトヨタ ヴィッツ が1.3Lで25.0㎞/Lという低燃費を達成して、エコカー減税免税対応になっている。カローラアクシオ(セダン) 1.3Xの燃費は20.6㎞/Lなので、カローラより今のところラティオが勝っている状態だ。

日産ラティオの価格は、エントリグレードのSで1,460,160円から。困ったことに、自動ブレーキなどの先進安全装備は用意されていない。同じエンジンを搭載するノートX Vセレクション+セーフティが、自動ブレーキであるエマージェンシーブレーキとLDW(車線逸脱警報)が装備されて1,392,120円。

より高い安全装備をもつノートの方が安いという状況になっている。そういったこともあり、基本的にノートとラティオを比べて選ぶのなら、完全にノートがお勧めだ。ラティオは、どうしてもセダンで無ければならない理由がある個人か法人でないと選びにくいクルマとなってしまった。さらに、4WDの設定も無いので、降雪地域の顧客も選びにくい。

日産ラティオ

・日産ラティ価格:S 1,460,160円/X 1,554,120円/G 1,789,560円