

しかし、マーケットは、トヨタ車のようなストロングハイブリッドを求め、トヨタもハイブリッド車のラインアップをドンドンと拡大。ミニバンにもハイブリッド車が求められていた。そんな中、2011年8月には、ECOモーターを大型化しサブバッテリーも追加したスマートシンプルハイブリッドと呼ばれる、セレナSハイブリッドを投入された。ストロングハイブリッドとは違い、モーター走行こそしないものの、ECOモーターがエンジンをアシストすることで、さらなる低燃費化が施された。また、ハイブリッドという名称からくる良いイメージを巧みに使い、さらに人気ミニバンとしての地位を確立していった。
だが、ついにストロングハイブリッドを搭載し、フルモデルチェンジを目前に控えたトヨタ ノア &ヴォクシーがデビュー直前に、セレナは2013年12月にビッグマイナーチェンジを施す。デザインを刷新し、燃費を若干アップさせてきた。そして、なんといっても日産車の中でもいち早く衝突回避を支援する「エマージェンシーブレーキ」と「LDW(車線逸脱警報)」を、「20S」を除く全グレードに標準装備。さらに、「MOD〔移動物 検知〕」機能を追加した「アラウンドビューモニター」や「踏み間違い衝突防止アシスト」、「ふらつき警報」を、"アドバンスドセーフティ パッケージ"設定してきたのだ。
これは、完全にマーケティング的にノア&ヴォクシーの弱点を攻める戦略だ。マイルドハイブリッドのセレナでは、ストロングハイブリッドをもつノア&ヴォクシーに燃費で勝つことはできない。何もしなければ、セレナの人気は落ちる一方なのは確実だった。
日産のマーケティングが優れていたのは、今までクラスナンバー1燃費一辺倒だった訴求ポイントをイッキに方向転換し「安全」をテーマに変えライバルを迎え撃つ戦略に出たことだ。当時、トヨタの安全装備は大きく遅れていた。追突被害軽減自動ブレーキなどは用意されていなかったのだ。日産自身も安全装備そのものは遅れ気味だったのだが、ノア&ヴォクシーとの戦いに一矢報いるために短期間で自動ブレーキなどの開発を行い装備した。燃費ではノア&ヴォクシーだが「家族を守る安全装備」を軸に差別化し対抗したのだ。
しかし、それでもハイブリッド車が欲しいという顧客のニーズは止められない。さらに、トヨタは姉妹車であるエスクァイアを投入。また、2014年度には、ホンダのステップワゴンがフルモデルチェンジする。ステップワゴンは、自動ブレーキなどの安全装備を装着して投入されることは予想できるため、日産は安全装備だけでは差別化できなくなる。そんな状況下の中で、日産は、セレナS ハイブリッド に特別仕様車「Vセレクション+Safety(プラスセーフティ)」を設定し発売を開始した。

こうした人気モデルに、人気のオプションである「LEDヘッドランプ」、「ワンタッチオートスライドドア〈両側〉(挟み込み防止機構付)」、「16インチアルミホイール」を装備している。これらの装備は、総額22万1千円にもなるのだが、特別仕様車の価格はベース車に対して8万円高という設定。つまり、14万1千円も安く買える特別仕様車ということになる。随分とお買い得感のある設定だ。
日産セレナの選び方は、この特別仕様車Vセレクション+Safetyを中心に選ぶといいだろう。価格設定がリーズナブルになっている分、約9万円アップとなるがアドバンスドセーフティ パッケージ車を選択したほうが満足度は高い。こうした安全装備は、ノア&ヴォクシーには装備されていない。
とくに、ハイブリッド車ではなくガソリン車で十分というのであれば、日産セレナは非常に買い得感のあるモデルとなる可能性が高い。ノア&ヴォクシーの他に、エスクワイアが投入されライバルが増えたこと、そして、2015年前半にはステップワゴンがフルモデルチェンジする。こうしたミニバン達とセレナを競合させれば、お買い得な特別仕様車とはいえ、さらなる値引きが期待できるからだ。セレナは、デビューから5年となりモデル末期に入っていることから、やはり価格競争で優位に立たないと販売台数を維持できない状況になっているからだ。ほぼ値引きゼロに近いノア&ヴォクシーとセレナの特別仕様車を値引きしてもらった場合では、装備や支払総額にかなりの差が出てくる。細かい性能にあまりこだわらないのであれば、セレナは燃費も悪くないし、豪華装備や安全装備も充実している。ガソリン車でOKというのであれば、今、日産セレナはお買い得で満足度も高い。
セレナのカタログ情報
- 現行モデル
- 令和4年12月(2022年12月)〜現在
- 新車時価格
- 276.9万円〜479.8万円
セレナの在庫が現在751件あります
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