BMW X4

<エレガント&タフネスさが人気の低全高型SUV>

BMWX4最近のSUVは、今回発売されたBMW X4のように、クーペ のようなルーフラインをもつSUVタイプが流行している。こうしたタイプのSUVは、ひとクラス上のBMW X6のヒットが起因とも言われおり、着実に販売台数を伸ばしているカテゴリーである。とくに、スポーツイメージを前面に出しているメーカーが力を入れており、このX4と同じクラスには、ポルシェ マカンやレクサスNXなどが投入されて話題となっている。

BMWは、意外かもしれないがSUVのラインアップを豊富に持つメーカー。SUVであることを示すXシリーズにおいて、偶数がSAC(スポーツアクティビティクーペ)で奇数がSAV(スポーツアクティビティビークル)と分けられており、SUVを好む顧客に対して幅の広いラインアップで対応している。日本国内においては、最小モデルであるX1 から、X3 、X4、X5 、X6 と計5タイプも用意されている。このXシリーズは世界的に好調で、BMWは最上級モデルとなるX7の投入も検討をしているというのだから驚きだ。

さて、BMW X4の特徴は、やはりX3に対して50mmも下げられた全高と滑らかな曲線を描くクーペのようなルーフラインだ。ルーフラインだけでなく、サイドビューも新型BMW X4のユニークさは強烈にアピールする。ショルダー部には、2本のキャラクターラインで構成されていて、シャープなサイドビューを形成。この2本目のキャラクターラインは、リヤフェンダーをなぞるように走り、パワフルなFRベースのSUVであることを強調しているようだ。

インテリアは、BMWの文法通り見慣れた機能美にあふれた仕上がり。後席は、2つのシングルシートのようなデザインが採用されていが、後席は3名乗車となっている。エクステリア同様、ちょっと優雅なインテリア空間となっている。

初代X6は、随分振り切ったデザインのためラゲッジスペースが小さかった。その反省から、X4では一定のスペースは確保されている。リヤシートのバックレストは、40:20:40の3分割の可倒式。通常時で500L、最大で1,400Lのスペースをもつ。それでも、X3と比べると通常時で50L、最大で200Lほどラゲッジスペースは小さくなっている。荷物を多く積むことの多い人は、自分が良く積み込む荷物の大きさや量をチェックする必要はある。

搭載されるエンジンは2タイプ。X4 xDrive28iには、180kW(245ps)&350Nm(35.7kgm)を発揮する2.0L直列4気筒で、燃費は13.7km/L。同じ2.0Lターボエンジンを搭載するレクサスNX200tが12.4㎞/Lなので、高い低燃費性能をもっていることが分かる。また、エコカー減税対象モデルであることは当然とはいえ、自動車取得税および重量税が免税されるという最上級レベルになっているのはさすがだ。速さが絶対条件でなければ、X4 xDrive28iがお勧めだ。

速さが必要。そんな人には、3.0L直6ターボ。225kW(306ps)&400Nm(40.8kgm)という余裕あるパワーとトルクをもつX4 xDrive35iだ。燃費は12.1km/Lで、こちらもエコカー減税対象。自動車取得税が80%、および、重量税が75%減税される。残念ながら、優雅なクルマということもあり、低燃費でパワフルなクリーンディーゼルエンジン車は導入されていない。

このエンジンのパワーを路面に伝える役割を果たすのが、インテリジェント4輪駆動 システム「xDrive」だ。BMWらしく、基本的にFRよりの駆動配分を持っていて、優れたハンドリング性能や俊敏性をもつ。xDriveは、ステアリングの切れ角やホイールの回転速度などの車両データから、オーバーステアやアンダーステアなどの兆候を察知すると、電子制御式多板クラッチを装備したトランスファーギアボックスが瞬時に前後アクスルへの駆動トルクを可変配分し、安定したトラクション性能を確保する。

BMWX4X4は、価格も高いこともあり高い安全装備も魅力のひとつだ。車線の逸脱警告であるレーン・ディパーチャー・ウォーニングや前車接近警告機能、衝突回避・被害軽減ブレーキ機能をもつドライビングアシストが全車に標準装備されている。

また、クルマが大柄なので、車両前方および側方をパノラマ・ビューで映し出す「サイドビューカメラ」も全車標準装備した。車両正面の映像に加えて、車両側方と後方の映像を含む周囲360度の映像をコントロールディスプレイに表示する「トップ・ビュー」も全車標準装備。車両の死角などをカメラで補助してくれることで、女性や初心者でも便利で安全に運転することができる。

基本的な安全装備や便利機能が標準装備されているのだが、なぜか高級車では必須アイテムといえる全車速追従式のアダプディブクルーズコントロールがオプションとなっている。ヘッドアップディスプレイとセットで185,000円のオプションだ。価格を少しでも安く見せようとする意図的なものなのかは不明だが、これくらいの装備は標準装備化してほしいものだ。この機能は、長距離ドライブ時に疲労軽減に役立つので、ぜひとも装備したいオプションだ。

BMW X4の価格は、6,740,000円からとなかなか高価。レクサスNX200t が4,920,000円からなので、182万円も違う。まぁ、この価格差はレクサスNXの標準装備がかなり貧弱なことも要因だ。装備を別とするとポルシェ のSUVであるマカン が6,160,000円からだ。装備はX4がマカンをやや上回るものの、やはり価格は高めの印象が強い。実際の購入するときには、少なくともマカンやNXと比較し、商談では競合させてみることをお勧めしたい。

BMW X4のグレード選びは、お勧めはX4 xDrive28i M Sport。その理由は、エコカー減税免税というメリットがあること。そして、Mスポーツを選んでいるのはリセールバリューが他のグレードより高くなる可能性が高いことが上げられる。そんなことよりも、速さが必要というのならX4 xDrive35i M Sportとなる。

一般的にこうしたSUVは、乗り心地や騒音など、スタイル同様にワイルドな感じになるが、このX4は違う。静粛性や乗り心地は、かなり高いレベルにあり、まるで背の高い高級サルーンに乗っている気持ちになる。輸入セダンに飽きたのなら、X4のような少しラグジュアリーな雰囲気をもったSUVを選択してみるのもいいだろう。

■BMW X4価格
・X4 xDrive28i 6,740,000円~X4 xDrive35i M Sport 7,900,000円