メルセデス・ベンツAクラス

 

<高めの価格帯だが、降雪地域でハイパワー4WD車が欲しい顧客のニーズに合うモデル>

メルセデス・ベンツAクラスメルセデス・ベンツAクラスは、2013年1月にデビューしたモデル。従来の背高スタイルから、大きくデザインを一新。ワイド&ローのフォルムを強調したスポーティなFF車となった。クルマ好きの間では、メルセデス・ベンツのFF車? と、否定的な見方もあった。しかし、価格も当時、284万円からと300万円を切るという価格戦略もあり大ヒットモデルとなった。

Aクラスのヒットに加え、モデル末期のCクラスも売れた。その結果、2013年度のメルセデス・ベンツの販売台数は絶好調で、約6万台を販売。なんと、前年対比139.5%を達成している。この数値は、他の輸入車メーカーと比べても突出している数字だ。

そんな好調なメルセデス・ベンツをけん引するAクラスに新たなモデルが加わった。新しく投入されたモデルは、上級グレードA250 SPORTに可変トルク配分型4輪駆動システム「4MATIC」を搭載した「メルセデス・ベンツA250 SPORT 4MATIC」だ。今回は、このモデルと入れ替えにA250 SPORTがラインアップから姿を消している。

このモデルは、最高出力211PSのハイパワーを誇る2.0リッター直列4気筒直噴ターボエンジンを搭載。メルセデス・ベンツのハイパフォーマンスモデルを担当するAMGの開発によるフロントアクスルとサスペンションを搭載されている。

キーとなる可変トルク配分型の4輪駆動システム「4MATIC」は、前輪駆動車のために設計された可変トルク配分型フルタイム4WDシステムだ。タイヤのグリップ状態を常にモニターし、前後トルク配分を100:0~50:50の間で連続的に変化させ最適な駆動力を得る。

エクステリアは、いかにもメルセデス・ベンツらしい強面スポーティ系にまとめられていて、ダイヤモンドグリルのほか、ヘッドライトやフロントスポイラー、リアスカートなど入れられたレッドラインが特徴だ。インテリアも同様に、レッドのアクセントが各部に入れられている。

装備面では、4WD車ということもあり降雪地域での使用を想定したのか運転席/助手席にシートヒーターを装備。電動ランバーサポートを備えたメモリー付パワーシートや、インテリジェントライトシステム、リアビューカメラ等を標準装備している。

安全装備では、衝突が避けられない場合に自動緊急ブレーキを作動させる「CPAプラス」や、車間距離を適切に維持するとともに先行車が停止した場合は減速して停止する渋滞追従機能を備えた「ディストロニック・プラス」などを含む安全運転支援システム「レーダーセーフティパッケージ」をオプション設定している。高額なモデルなので、このあたりは標準装備化してほしい。

価格は4,577,000円。この価格設定は、非常に選択を難しくしている。同じCセグメントのゴルフR の価格は、同じ4WDで5,298,000円。ゴルフRに比べると、ずいぶん安いがレーダーセーフティパッケージがオプションなので、その差は若干縮まる。

ただ、ゴルフRは280psとA250 SPORT 4MATICより圧倒的にパワフル。ゴルフRより安いゴルフGTI はパワーやトルクは同等でも、価格が3,833,000円でかなりコストパフォーマンスに優れるが、残念ながらFFのみで4WD機能はない。さらに、4WD機能クワトロをもつアウディ A3 1.8クワトロは、パワー&トルクは劣るものの価格は、さらに安く4,040,000円。

この人気Cセグメント車と比べると、各車一長一短がある。あえてA250 SPORT 4MATICを積極的に選ぶ理由があまり見当たらないのだ。そういう意味では、直接的なライバルがいないという絶妙なポジションともいえる。

確かに、マーケティング的には絶妙なポジションだが、価格が少々高価。顧客ニーズ的には、A180 Sportsの4MATICが400万円を切るような価格で欲しいと感じているのではないだろうか。Cセグメントのハッチバックで4WD、300万円台といのモデルは、ほとんど存在しないので、このあたりのマーケットを開拓できれば、アウディの牙城を崩せるのかもしれない。

価格:・A 250 SPORT 4MATIC ¥4,577,000