クルマでしか行けない Vol.25 「千葉の山奥でまぐろ料理!?」 まぐろや
正月三が日も過ぎてそろそろお正月気分が抜け始めた1月5日。テレビからは、マグロの初セリを伝えるニュースが聞こえてきました。
「黒いダイヤと呼ばれる大間産のクロマグロが、今年は22本水揚げされました」というキャスターの言葉に、おせち料理の煮物や焼き肴に飽き始めていた筆者の頭の中はマグロ料理でいっぱいに。

早速、新鮮なマグロを堪能できるお店を検索。すると、千葉県山武郡に常に満席だという海鮮料理屋を発見しました。その名も「まぐろや」さん。これ以上わかりやすい名前はないというほどのストレートさ。

そのインパクトに期待感も一気に高まります。お店はどこにあるんだろう? と地図を見ると、九十九里浜からからクルマで30分ほどのところのある山の中。疑問を残しつつ、とりあえず「まぐろや」さんを目指しクルマを走らせることにしました。

首都圏中央連絡自動車道の松尾横芝インターを降りると、視界に飛び込む茶色の物体。一体に何かといいますと、それは「はにわ」です。近くに古墳とはにわ博物館があることから「芝山はにわ道」と名付けられたその道の両脇には、通るクルマを見守るように数百メートルおきにはにわが並びます。

至るところで見かけるはなわ。
凛とした表情で走るクルマを見守ります。
「芝山はにわ道」が「まぐろや」へと続く道です。
そこから先は、山道です。生い茂る木々に「本当にこんなところに海鮮料理の名店があるの?」と、不安な気持ちが心を覆います。


その時です。雑木林に隠れるように「まぐろや」と書かれた赤い看板を発見。周囲を気にしながら走っていなければ気づかずに通り過ぎてしまっていました。あわててハンドルを切って駐車場へと入ります。

お店は木に隠れていて回りこないと見えない場所にあります。
しかも道から見えるのはお店の裏手。
ぐるりと回り込んだところに駐車場。
玄関もこちら側にあります。
高い木々で覆われて孤立しているロケーションに「ここは海鮮料理の名店」と、心の中で再度確認にして暖簾をくぐります。

「いらっしゃいませ!」
活気のある声と店内を埋め尽くすお客さんの数に、店の周りの静けさがウソのようです。どれにしようかなやんだ末に、他のお客さんが食べているのがおいしそうに見え、マグロのユッケ丼とフグのから揚げを注文しました。

待つこと10分。目の前に並んだ料理に驚くのはそのボリューム。両手で持ってもずしりと重みを感じるほどの大きなどんぶり。そして、存分に味わってくださいというメッセージが込められているかのように、たっぷりと盛り付けられたマグロのたたき。マグロの真ん中には、金色に輝くような新鮮なたまごが。このたまごを崩しマグロに絡めます。刺身では味わえない、2つの違った味わいの甘みが口の中で一つになります。
「絶品!...」

絶品のマグロのユッケ丼。
マグロをとことん満喫できる一品です。
まぐろやさんで人気の海鮮丼。
季節によって変わる海鮮はいつ注文しても新鮮です。
ユッケ丼を一口一口堪能していると、湯気をのぼらせながら運ばれてきたフグの唐揚げ。鮮やかなキツネ色がおいしさを予感させます。ポン酢だれにつけてゆっくりと口の中へいれると、サクッとした衣の中からふわっふわの身が現れます。唐揚げなのに軽い口当たり。

これなら胸やけもせず何個でも食べられます。ユッケ丼、唐揚げと交互に食べながらあっという間に完食。自分でもこれだけの量を1人で食べたことに驚きです。

フグの唐揚げ。サクサクの衣と
プリプリの身の食感が癖になります。
親戚の家に来たような温かみのある雰囲気が
心地よい店内。
「ここでお店を始めてから15年になります。夫婦2人で丁寧な仕事をできる店にしたかったので、山を切り開いてこの店をつくりました。お客様には、新鮮でおいしくて安いマグロ料理をお腹いっぱい食べてほしいですね」と、ご主人の鎌形憲二さんと奥様の富子さん。

素敵な笑顔で出迎えてくれた
鎌形憲二さんと奥様の富子さん。
「遠くから来た甲斐がありました」と初めて訪れたお客さんから、そして、常連のお客さんからは「活気を貰いにきたよ」と言葉をかけられることもあり、そんなお客様の喜びの声が、お店を続ける励みになると教えてくれました。

<アクセス>
まぐろや
住所:千葉県山武郡横芝光町中台1509-1
TEL:0479-82-0817
OPEN:水曜日~日曜日
12:00~14:00
17:00~21:30(L.O.21:00)
定休日:月曜日、火曜日