
<ルーフフレームを残してカブリオレにした個性的なオープンルーフモデル>

シトロエンDS3は、DSラインのデビュー作となるモデル。DSラインは、「HERITAGE=伝統」「RAFFINEMENT=洗練」、「CONCEPTION AUDACIEUSE=大胆なコンセプト」「HYPNOTIQUE=幻惑」の4つのキーワードで表される独自のコンセプトによって、個性的なスタイリングや感性に訴えるインテリア、そしてハイレベルなドライビングフィールを具現化したモデルに与えられるモデル名。DS3のベースとなる車両は、シトロエンのコンパクトモデルであるC3で、PSAのプラットフォーム1を採用している。
このDS3カブリオは、なかなかおもしろいコンセプトの元に開発されている。普通、オープンモデルはルーフを持たないことから、ピラーまわりをなど大幅なボディの剛性をアップさせなくてはならい。そうなると、当然、車重が増えて加速やハンドリング、燃費などに悪影響を与える。しかし、シトロエンはDS3のもつ気持ちのよい走りを重量増でスポイルさせたくないと考えた。つまり、オープンエアの爽快感と気持ちのよい走りの両立だ。
DS3カブリオの電動ソフトトップは、そのため個性的な開閉をする。ルーフフレームとCピラーが残り、ソフトトップはCピラーに沿って下方へ下がっていく。ルーフフレームを残すことによって、不要な重量増を減らしている。そのため、ルーフフレームが残るので、完全にフルオープンとはいかないものの、サンルーフなどでは得られないほどの爽快感を手に入れた。
ルーフのサイドを残すキャンバストップの構造を採用することで、ノーマルのDS3に比べ車重をわずかプラス20kgに抑えた。車重は1,210kgと軽量だ。オープンモデル化すると、100kg前後の増加が普通。これだけ重くなると、走りの軽快感も失われるし燃費も当然悪化する。もちろん、フルオープンモデルのほうが爽快感は高いというメリットもあるが、どちらかが正しいというものではない。DS3カブリオは、ダイナミックな走りと爽快感のバランスを取った。

DS3カブリオに搭載エンジンは、1.6Lターボエンジンで156ps&240Nmを発揮。コンパクトなボディに、パワフルなエンジンが組み合わされているので、かなりダイナミックな走りが楽しめる。しかし、ミッションは6MTのみ。これは、AT主流の日本マーケットで、DS3カブリオを購入できる層がイッキに減ることを意味する。DS3カブリオの爽快さを楽しめる人が限られてしまうのは残念でもある。

もちろん、オープン時の気流を整え、巻き込みを防いだり、振動や風切り音を低減する機能として、最前部に設置されているディフレクターネットが立ち上がる。これは、意外と目立たない存在で、シトロエンDS3カブリオのスタイルを損なわないものだ。

■シトロエンDS3カブリオ スポーツシック価格:311万円