日産フーガハイブリッド<270Nmから290Nmへとトルクアップしたモーター効果で燃費向上>
日産は高級セダンであるフーガハイブリッドを一部改良し発売を開始した。 フーガ ハイブリッドは、2010年にデビューし4年目を迎えたモデル。国内では、レクサスGS450hやクラウン ハイブリッドなどと並び、数少ない高級FRハイブリッドセダンだ。

フーガ ハイブリッドには、1モーター2クラッチ方式のハイブリッドシステム「インテリジェント デュアル クラッチ コントロール」が採用されている。1モーター2クラッチ式のハイブリッドシステムは、欧州メーカーも含めよく使われているシステムのひとつだが、日産のハイブリッドシステムは若干異なる性質をもつ。

日産のハイブリッドシステムの違いは、トルクコンバーターを使用していないところだ。トルクコンバーターが無いと、一般的には変速時やモーターの切替時に変速ショックが大きくなる傾向にある。その一方で、アクセル操作に対してトルクコンバーターのスリップが発生し、ダイレクトが無くなったり、エネルギーの伝達効率も悪化傾向になったりする。ショックや振動は高級車にふさわしくなく、多くのメーカーがトルクコンバーターを使う。

しかし、日産はあえて、トルクコンバーターが使わない手法をとっている。シフトショックや振動などのデメリットは、技術力で解消。その結果、アクセル操作に対してダイレクト感あふれるスポーティなハイブリッドシステムを作り上げた。

日産フーガハイブリッドそんなフーガハイブリッドは、一部改良でハイブリッドシステムの要のひとつ、モーターの改良を行った。モーターの最大トルクを270N・m(27.5 kgf・m)から290 N・m (29.6 kgf・m)へ高めたのだ。モーターの出力50Kwに変更はない。ちなみに、最近導入されたばかりのメルセデス・ベンツE400ハイブリッドに搭載されるモーターは、20Kw&250N・mとなっていて、フーガ ハイブリッドのモーターが高出力&高トルクなのが分かる。

トルクがアップした新モーターにより、EV走行領域が拡大した。その結果、JC08モード燃費が16.6km/Lから18.0km/Lへ向上。フーガ ハイブリッドは、約8%も燃費が向上したことになる。さらに、発進レスポンスや加速フィーリングも向上するなど動力性能も高めることができたという。

国内でライバルとなるクラウン ハイブリッドは、燃費重視で2Lの直4へ変更し23.2km/Lという低燃費を実現。フーガ ハイブリッドの燃費は、18.0㎞/Lと及ばないが、クラウンの1.5倍の3.5Lという排気量であるということを考えれば、納得のできる燃費ではある。ちなみに、レクサスGS450hは18.2km/Lなので、2モーター式のレクサスに対して1モーター式で対等に燃費勝負ができているのはさすがと言えるだろう。また、同じ3.5Lエンジンを積むメルセデス・ベンツE400ハイブリッドの燃費は15.2㎞/Lとなっていることからも、同じ1モーター式では飛び抜けてよい燃費なのだ。

フーガハイブリッドに向く顧客像は、やはり燃費一辺倒ではつまらいないと考えている人だろう。2Lのクラウン ハイブリッドでは、さすがにパワー不足なので、スポーティな走りとは無縁。レクサスGS450hの2モーター式では、CVT的フィーリングが好きになれない。メルセデス・ベンツE400ハイブリッドは、高価過ぎる。そんな人に向くだろう。フーガ ハイブリッドは、いざとなれば306psの大パワーで豪快な走りが可能。走りと燃費、価格というバランスが上手く取れている。ただ、他車に比べるとトランクが狭いなどのデメリットもあるので、たくさんの荷物を積むことの多い人は注意が必要だ。

フーガハイブリッドのような大排気量車は、どうしても北米のインフィニティと基幹部品が共通化されるので、仕方ない部分があるにせよ、多少パワーを抑えてでも、日本で売る以上、燃料をハイオクからレギュラーにする対策が必要だ。ガソリンが高価になり続けている現在、最近登場するほとんどの日本車の燃費はレギューラー仕様。ハイオク仕様車など、ほとんど存在しない。ハイブリッドにする以上、ランニングコストも極力抑える必要がある。

<日産フーガ ハイブリッド価格>
フーガ ハイブリッドVIP 6,350,400円
フーガ ハイブリッド 5,825,400円
フーガ ハイブリッドAパッケージ 5,397,000円