ROUND2:達人によるコダワリ評価

評価するのはこの達人たち
松下 宏

小さくて軽く、誰でも買える価格帯、そして燃費がよいということを信念としてクルマを評論。大本命といわれている車種さえ外してでも自らの信念を貫き通す熱いハートをもつ。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員としても、その信念は変わらない。

片岡 英明

学校の先生から自動車雑誌編集者経て、モータージャーナリストになったという異色の経歴を持つ。元教師ということもあり、分かりやすい評論に定評がある。さらに、クルマの細部まで見逃さない観察力はハンパではなく、徹底的に調べ上げてしまうほど。最新のクルマから、ヒストリックカーまで幅広い知識をもつ。

国沢 光宏

歯に衣を着せぬ原稿で、なにかと話題の自動車評論家。歯切れの良い文章も分かりやすく、多くのファンをもつ。カートップやベストカーなど多数の自動車雑誌に寄稿するだけでなく、WRCなどのTV解説まで幅広い活動を行なっている。

コダワリ評価GO!
ハイブリッドシステム
Hybrid System
トヨタ プリウス
ホンダ インサイト
トヨタ プリウス 1.8リッターエンジン ホンダ インサイト 1.3リッターエンジン
松下 宏

何を基準にするかにもよるが、プリウスのストロングハイブリッドは自在な走りを可能にした上で燃費向上の効果が大きい。欠点は機構が複雑で、価格が高くなることだ。

9点

マイルドハイブリッドはコストが安くてシンプルな機構で、効果的に燃費を向上させる点で評価できる。ただし、燃費性能に関してはプリウスほどの数値は得られない。

8点
片岡 英明

リダクションギアを採用して大きなトルクを生み出す新THS IIを搭載する。モーターだけで走行できる距離も長い。排気量が1.5リッターから1.8リッターに拡大され、余裕を増す。

10点

エンジン主体のハイブリッドシステムで、モーターはアシストと割り切っている。エンジンは1.3リッターの4気筒を積む。ゲーム感覚でエコドライブを楽しませる演出も取り入れた。

8点
国沢光宏

よく「プリウスはガソリンと電気半分ずつで走る」と言われるが、半分間違い。というのもエネルギー源はインサイトと同じガソリンだけです。プリウスの方が効率がいいのだ。

10点

プリウスのシステムと比較したなら、まだムダに棄てているエネルギーが多い。雨天時など信号待ちの停止時にエンジンかかってますから。今後の効率向上に期待しておく。

7点
SUBTOTAL
29点
23点
足回り
Suspension
トヨタ プリウス
ホンダ インサイト
トヨタ プリウス 走り ホンダ インサイト 走り
松下 宏

タイヤやショックアブソーバーの違いでタイヤやグレードによって乗り味が大きく異なる。ツーリングセレクションなら10点でもいいが、Lは5点程度の評価しか与えられない。

7点

ちょっと硬めの乗り味でスポーティな雰囲気がある。もう少し乗り心地を重視した味付けにしてもいい感じもあるが、後方に重い電池を積むことでバランスがよくなった面もある。

8点
片岡 英明

ツーリングセレクションは軽快なハンドリングだ。操舵は正確で、乗り心地も意外にもしなやか。15インチタイヤの標準仕様は高速走行での落ち着きが今一歩にとどまる。

7点

ハンドリングは軽快だ。クルマが軽く、車高もそれほど高くないので気持ちいいコーナリングを楽しめる。ブレーキも違和感がない。が、突っ張った硬質な乗り心地は不満。

7点
国沢光宏

仕様やグレードによって足まわりが違うため一様に扱えないものの、もっともいい組み合わせ(ソーラーベンチレーションシステム/15インチホイール)なら文句なし!

8点

リヤサスのブッシュの動きが渋いため、硬めの乗り心地。好きか嫌いかで大きく意見は分かれるようだ。ハイスピード域で乗る人ならVSA(姿勢制御装置)の装着を推奨したい。

7点
SUBTOTAL
22点
22点
デザイン
Design
トヨタ プリウス
ホンダ インサイト
トヨタ プリウス エクステリア ホンダ インサイト エクステリア
松下 宏

ルーフ形状からボディの四隅の形状に至るまで、細かな空力的な工夫を積み上げて作られたデザインだ。2代目のデザインを継承していて、変わり映えしないのがやや不満な点。

9点

空力デザインのルーツは初代インサイトにあるという主張は理解できなくもないが、2代目プリウスの後で似た印象のデザインを採用して登場してきたのは確か。もうひとつだ。

7点
片岡 英明

2代目の流れを汲むデザインだが、さらに洗練度を高めた。バンパーの両サイドを立てるなど、新しい試みにも挑戦している。守りに徹したリアのデザインは物足りない。

8点

燃料電池車のFCXクラリティを小さくしたようなキュートなデザインだ。小型車枠のなかで上手にまとめた。ただし、空力性能を重視したためか後席の乗降性は今一歩。

8点
国沢光宏

フロントから見たときのデザインは、どの基準を持ってしてもカッコ悪いと思う。ただ慣れれば気にならなくなります。サイドビューについちゃ、先代より大幅に改善された。

6点

日本車の中でトップクラスのカッコよさだと思う。デザインだけでインサイトを選んでいる人も少なくない。コストダウンしているインテリアの評価は大きく分かれる。

9点
SUBTOTAL
23点
24点
パッケージング
Packaging
トヨタ プリウス
ホンダ インサイト
トヨタ プリウス インテリア ホンダ インサイト インテリア
松下宏

ルーフの三角形デザインの頂点を後方に移動して居住性を高めている。ヘッドクリアランスには余裕が生まれた。できれば、ボディの全幅を拡大せずに居住性を高めてほしかった。

9点

リヤシートのヘッドクリアランスが小さめなのはインサイトの弱点ながら、5ナンバーサイズの手頃なボディをベースにしたパッケージングについては十分に評価できるものだ。

9点
片岡英明

海外からのリクエストで少し大柄になったが、実用上の使いにくさはない。複雑なメカニズムを用いているが、パッケージングは頑張った。ラゲッジ容量も満足できる。

8点

小型車枠のなかで最適なパッケージングに挑んだが、プリウスと比べると後席の広さ感と乗降性は一歩譲る。頭上の余裕はもう少しほしい。内装の質感も物足りなく感じる。

7点
国沢光宏

ベースになっているのは、欧州Cセグメントのオーリス。リヤシートにも成人男性が座れる実用性をもつ。ラゲッジスペースはゴルフバッグ3セットを積むことができる。

8点

こちらのベースは欧州Bセグメントのフィット。プリウスと車格がワンランク違う。さらに空気抵抗減らすためボディ後半を強く絞り込んでおり、後席の乗降性からしてイマイチ。

6点
SUBTOTAL
25点
22点
どっちが買いか?
Which to Buy
トヨタ プリウス
ホンダ インサイト
トヨタ プリウス エンブレム ホンダ インサイト エンブレム
松下 宏

今、人から問われたならば「プリウスを買いなさい」と勧めている。ただし廉価グレードであるLはダメ。Sのそれもツーリングセレクションを選ぶように勧めている。

9点

ベースグレードが189万円でプリウスとは明確な価格差がある。この価格帯とこのサイズのボディが欲しい人にはインサイトがおすすめだ。その意味でプリウスとの差は小さい。

8点
片岡 英明

3代目プリウスは衝撃的なバーゲンプライスでデビューした。しかも実用燃費は文句なし。とくに渋滞の多い都市部では燃費の悪化が少ない。買い得感は群を抜いて高い。

10点

プリウスと車格の違いや燃費差を考えると割安感は今一歩と感じる。アイドルストップ時間も短いなど、ハイブリッドカーとしては物足りなく感じる部分も。高速巡航は得意。

8点
国沢 光宏

原稿を書いている時点(09年07月)での納期は早くて9カ月後。10万円の補助金も予算が尽きて受けられない可能性大。ただ納期さえ納得できれば、圧倒的にプリウスがお買い得。

5点

「ハイブリッド車にすぐ乗りたい」などという人は納期1カ月半程度のインサイトを買うしかない。さらにアンチトヨタ派やホンダ好きもインサイトを選ぶしかなかろう。

5点
SUBTOTAL
24点
21点