日産 新型 Z34 フェアレディZ エクステリア

世のスポーツカー好きよ、目覚めよ!

日産 新型 Z34 フェアレディZ ヘッドライト

 日産は12月1日、新型「フェアレディZ」を発表した。V6 3.7リッターエンジンをフロントに搭載する後輪駆動、2人乗りのピュアスポーツカーだ。1969年のS30型初代「フェアレディZ」デビュー以来約40年、今モデルで6代目のZとなる。
 イマドキの主流である多人数乗り出来るミニバンに比べれば、あるいはエコノミーな軽自動車に比べれば、わずか2人しか乗れないスポーツカーなんて非効率極まりない乗り物である。しかもミニバンや軽自動車に比べれば、大した台数が売れるワケでもないだろう。コストカッターの異名を持つカルロス・ゴーン氏から、真っ先に「無駄ナクルマデス、必要アリマセーン」と一蹴されてもおかしくはないはずだ。ところがゴーン氏は、先代Z33型に続き今度のZ34型「Z」にもGOを出した。
 世間ではまことしやかに「若者のクルマ離れが進んでいる」とか、「世の中からクルマ好きが減った」なんて言われている。果たしてそれは本当だろうか。Zからは「違イマース」という声が聞こえてくる。日産から、世間に潜む(?)クルマ好き、スポーツカー好きに向けた熱いメッセージ、それこそがNEW Zが登場した意義に他ならない。

日産 新型 Z34 フェアレディZ エクステリア
日産 新型 Z34 フェアレディZ リアビュー
日産 新型 Z34 フェアレディZ インテリア

全ては走りのために

日産 新型 Z34 フェアレディZ テールランプ

 2002年、「日産リバイバルプラン」の象徴として復活した先代Z33型フェアレディZは、北米市場ではピーク時に月3000台、モデル末期でも1500〜2000台のペースでコンスタントに売れ続けていたという。日本市場においても同様に、ピーク時1500〜2000台、末期でも300台ペースと、スポーツカー冬の時代にあって十分に健闘していた。その約6年の間、日産ではフェアレディZに対し毎年のように小改良してきた。例えばエンジンだけでも6年間に4度も改良を加えている。先代Z33型Zに続きNEW Z(今度はZ34型と呼ぶ)の開発責任者となった日産自動車の湯川 伸次郎 チーフ・プロダクト・スペシャリストは、「先代”Z”のプラットフォームでは全てやりきった」と熱く語る。新型フェアレディZの開発キーワードは「全ては走りのために」。先代Z33では達成できなかった走りの領域を目指し開発された。
 新型フェアレディZのボディサイズは、全長x全幅x全高4250x1845x1315mm、ホイールベース2550mm。V36型「スカイラインクーペ」の新プラットフォームを流用するNEW Zだが、ホイールベースはスカイラインクーペの2850mmに対し300mm短く、先代Z33に比べても100mm短縮されている。そのため実際にはプラットフォームのリア側については専用設計で造り変えられている。
 年々さらに高まる安全性能の要求や剛性アップのため、先代Z33に比べ100kg程度の重量増が見込まれたが、車体設計の合理化やホイールベース短縮、さらに先代ではボンネットのみに採用されていた軽量なアルミ合金をドアやバックドアにも採用するなどして、結果的にはZ33とほぼ同等の重量に抑えることが出来た。

日産 新型 Z34 フェアレディZ リアビュー

世界初!マニュアルシフトにシンクロレブコントロール採用

日産 新型 Z34 フェアレディZ インパネ周り

 エンジンは3.5リッターから3.7リッターに拡大。こちらもスカイラインクーペに採用済みの「VQ37VHR」型V6 DOHC VVEL(バルブ作動角・リフト量連続可変システム)エンジンを搭載する。最高出力336ps(247kW)/7000rpm、最大トルク37.2kg-m(365N・m)/5200rpmを発生させる。スカイライン版に比べ排気系のチューンにより3psパワーアップしていている。なおアクセル開度に対する意図的な演出は加えられず(逆にいえば、スカイラインクーペには、アクセルの加速感演出チューンが入っているということらしい)、新型フェアレディZの場合は踏み込みに応じたリニアな加速が得られるという。言葉で聞いただけではピンと来ない面もあるが、わざわざそのようにうたうということは、その違いをぜひ実際の試乗で確かめてみたいところだ。
 組み合わされるトランスミッションは2種類。6速MTには、世界初の「MTシンクロレブコントロール」が採用された。シフト操作に合わせ最適なエンジン回転に合わせる制御のことで、従来、ATや2ペダルMTに採用されていた機構だ。ヒール&トゥのような特殊なテクニックなしに素早くスムーズなシフト操作が可能で、その分ドライビングにも集中できるし、普段使いの際にもスムーズな走りに貢献するはずだ。ただし、そういったテクニックを駆使することもドライビングの楽しみのひとつであることも確か。OFFスイッチも付いているので、気分や用途に応じて使い分けたい。

日産 新型 Z34 フェアレディZ 「VQ37DE」型 V6 DOHC VVEL(バルブ作動角・リフト量連続可変システム)エンジン
「VQ37DE」型 V6 DOHC VVEL(バルブ作動角・リフト量連続可変システム)エンジン
日産 新型 Z34 フェアレディZ 「MTシンクロレブコントロール」付き6速マニュアルトランスミッション
「MTシンクロレブコントロール」付き6速マニュアルトランスミッション。
日産 新型 Z34 フェアレディZ 日産初のマニュアルモード付き7速AT(パドルシフト付き)
日産で初めて、7速AT(マニュアルモード・パドルシフト付き)を採用した。

 そして、多段化で後れを取っていた感のある日産FR車で初めて7段ATが採用された点も大きなニュースだろう。ロックアップ領域の拡大により、ATの滑りを感じさせないダイレクトな変速を実現しているという。もちろんパドルシフト付きマニュアルモードも設定されている。新型フェアレディZの走りを担当する責任者、田村 正樹 チーフ・ビークル・エンジニアも「他社に遅れた分、出すのなら世界一のATを目指した」とし、新型7速ATがマニュアルライクな走りであることを約束する。
 サスペンションは先代同様フロント:ダブルウイッシュボーン式、リア:マルチリンク式。ブレーキシステムには、一部グレードに4輪アルミキャリパー対向ピストンブレーキを採用。先代のイタリア・ブレンボ社製に対し、F1マクラーレンチームやポルシェへの純正採用で話題を呼んだ曙ブレーキ製を搭載する。なお横滑り防止装置「VDC(ビークルダイナミクスコントロール)」は、新型フェアレディZでは全車に標準装備される。

日産 新型 Z34 フェアレディZ ポップアップエンジンフード
ポップアップエンジンフードで歩行者への傷害を軽減させながら低いボンネットを実現した。
日産 新型 Z34 フェアレディZ エアバッグシステム
運転席・助手席のほかにサイド・カーテンエアバッグが全車に標準装備される。
日産 新型 Z34 フェアレディZ 4輪アルミキャリパー対向ピストンブレーキ
曙ブレーキ製の4輪アルミキャリパー対向ピストンブレーキをVersion ST・Sに装備する。

「”Z”らしさ」に走りの進化を加えた造形

日産 新型 Z34 フェアレディZ 19インチアルミホイール(レイズ製アルミ鍛造ホイール)

 スポーツカーは、走りの性能だけでは一流とはいえない。流麗で格好良く、かつ独自のデザインを持っていなければ所有する歓びも得られないだろう。フェアレディZにはデビューから39年もの歴史の積み重ねがある。多くのファンがイメージするZの姿。そんな「”Z”らしさ」という資産を生かしつつ、新型フェアレディZでは更なる走りの進化をデザインでも表現した。
新型フェアレディZのエクステリアでは、力強く張り出した前後のフェンダーが目を惹く。特に、後輪駆動車であることを主張するかのようなワイドなリアフェンダーのグラマラスさが印象的だ。そして「ブーメランモーション」と日産が呼ぶL字形の異型ヘッドライトとリアコンビランプの造形が、ボディの前後をキリリと引き締めている。全体としては確かに”Z”に見えるフォルムであるし、それでいて新しさが表現されているデザインだ。その格好よさや新しさは、写真で見るより実際の車両を屋外で見たほうが、風景の映り込みなどを通して実感できるだろう。それだけ凝っている複雑な造形である。

日産 新型 Z34 フェアレディZ ワイドフェンダー

 インテリアは、基本的には先代のイメージを踏襲。ワイドなボディだがタイトな空間とし、スポーツカーらしい居心地を表現した。本格的な走りに対応するニーパッドも左右席ともに用意されている。ややプラスチッキーだった先代Z33に比べ、質感の大幅な向上も図られている。また新型ではインテリキーとプッシュ式のエンジンスターターも全車に標準装備となっている。初代S30型以来フェアレディZの伝統であるインパネ上の3連メーターも踏襲されているが、インパネセンターを占拠する7インチワイドモニターやナビコントローラーの存在感が大きく、ちょっと煩雑な印象もある。また先代Z33ではなぜか用意されていなかった助手席グローブボックスを装備したほか、室内の収納も大幅に拡大された。ラゲッジスペースの容量は、数値上は235リッター(VDJ)と変わりはないが、リアを占拠していた大型のバーが姿を消し、実質的な使い勝手を向上させた。
 価格は、標準グレード3,622,500円(6MT)から、「Version ST」4,462,500円(7速AT)まで(共に消費税込み)。
 世界的に冷え込んだ景気の中、趣味の乗り物であるスポーツカーが登場するのは、時期としてはちょっとハズした感もある。しかしだからこそ、日産にはフェアレディZを通じて、もう一度クルマの楽しさをぜひアピールして欲しいところだ。自動車業界全体を盛り上げる起爆剤として期待したい。

日産 新型 Z34 フェアレディZ ラゲッジルーム
日産 新型 Z34 フェアレディZ 運転席シート
日産 新型 Z34 フェアレディZ インパネ
日産 新型 Z34 フェアレディZ リアビュー

( Photo:日産自動車・和田 清志・CORISM編集部/レポート:CORISM編集部 徳田 透 )

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代表グレード
Version ST(6速MT)
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高)
4250x1845x1315mm
車両重量[kg]
1520kg
総排気量[cc]
3696cc
最高出力[ps(kw)/rpm]
336ps(247kW)/7000rpm
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm]
37.2kg-m(365N・m)/5200rpm
トランスミッション
6速MT(シンクロレブコントロール付)
10・15モード燃焼[km/l]
9.5km/L
定員[人]
2人
消費税込価格[万円]
4,357,500円
発売日
2008年12月1日
レポート
CORISM編集部 徳田 透
写真
日産自動車・和田 清志・CORISM編集部

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