スズキ ワゴンR スティングレー
サスペンションの見直しで
さらにロングホイールベース化
軽ナンバー1を掲げて、軽自動車作りではトップを走ってきたスズキ。ダイハツの猛攻を受けつつも、満を持してリリースしてきたのが、5年ぶりにフルモデルチェンジした4代目ワゴンRだ。スタイル的には3代目からのキープコンセプト感は強いが、ひと目でワゴンRとわかるスタイルを実現している。インテリアは面をより強調して質感をアピールしつつ、しっかりと作り込むことで、軽自動車とは思えない出来のよさを見せつける。もちろん、開放感も上々だ。気になるパッケージングは、まずホイールベースを40mm広げて走行安定性をアップ。それに合わせて、室内長を105mmも拡大することに成功している。その結果、前後乗員間隔を140mmも拡大することで、よりゆったりと座ることができるようになった。エンジンはもちろんNAとターボの2本立て。NAは低速トルクをアップさせて扱いやすさを増しているだけでなく、CVTと組み合わせることで23.0km/Lという低燃費を実現している。一方のターボは新開発で、高過給圧化で64馬力の高出力を実現した。こちらもCVTとの組み合わせだ。また今回からスティングレーがエアログレードとして、カスタムに代って登場。押し出しの強いフロントマスクやブラックで統一された内装など、じつに精悍なスタイルで、ひと味違ったワゴンRの魅力をアピールする。CVTにはハドルシフトが付くのもスティングレーならでは。
[エコ&燃費] NAの23.0km/Lという数値はもちろん立派な数値だが、ターボでも21.5km/Lを記録しているのはさすがだ。新開発ということもあるが、CVTの制御も大きく関係しており、違和感がない程度に回転をうまく抑えた結果だ。
[安全性能] 前席エアバッグをすべてにおいて標準装備化しているのだが、一方でABSは廉価グレードでオプション扱いにしているのは、メーカーの安全意識の低さを強烈に感じさせる。ボディは歩行者傷害軽減対策もされている。
[取材時実測燃費] 12.7km/L
[ワゴンR価格帯] 90.825〜167.16万円 |
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ダイハツ ムーヴ カスタム
古くささはまったくなし
ワゴンR永遠のライバル
言わずもがな、スズキのワゴンRと人気を二分するダイハツのムーヴ。モデルチェンジ時期がまったく違い、2〜3年ごとに交互にくるのもまたその争いに拍車をかけている。今回はワゴンRが新型になったばかりということで、ムーヴのほうが古くはなってしまうのだが、正直なところ、時代遅れ的な印象はまったくない。 「クラスを超えた新次元へ進化」というコンセプトを掲げて登場しただけに、まずシャーシを新開発。タイヤを可能な限り四隅に押しやりつつ、エンジンをできるだけ前方に追いやり、その分をパッケージングに回している。その結果、室内はじつに広大だし、実感として実際に乗り込んだ瞬間にその広さが十分に体感できる。とくに後席足下は大型サルーン並みといっても過言ではない。 そして走り。エンジンはダイハツ自慢のトパーズNEOエンジンで、新開発ではないものの、可変バルブシステムのDVVTを採用するなど、各部を徹底的にブラッシュアップ。さらにスズキに先んじてCVTを組み合わせることで、燃費や駆動伝達力向上だけでなく、小型化による軽量化といった効果もある。さらに前述のタイヤ配置により、ロングホイールベース化しているのも特徴で、その数値はなんとあのソニカ以上と、操安性や乗り心地の向上に貢献。まさに理詰めでクラスを超えていると言っていい。ラインナップ的には、以前より人気のカスタムも標準グレードとともに用意されており、ターボの設定や丸目を強調したフロントマスクなど、より一層の差別化が図られている。
[エコ&燃費] ダイハツが満を持して開発・採用したのが世界初となる、自己再生機能をもつインテリジェント触媒。燃費はNAで23.5km/L、ターボで21.5km/Lと現在でも立派な数値といっていい。また実用燃費のよさにも注目だ。
[安全性能] ムーヴも一部ABSがオプション装備という安全意識が低いグレードが存在する。ABSのような基本的な安全装備は全車標準にするべきだ。だが一部のグレードでは軽初の7サイドエアバッグ、プリクラッシュセーフティシステムや車線逸脱警報機能など、高級車にしかないような装備を選ぶこともできる。
[取材時実測燃費] 16.6km/L
[ムーヴ価格帯] 101.85〜167.475万円 |