プジョー308シリーズは、ハッチバックの登場からわずかな遅れでSWを追加設定した。
ステーションワゴンともスポーツワゴンともいえるSWは、プジョーならではのデザインや乗り心地に加え、優れた使い勝手を実現したモデルだ。

この記事では、308SWのエクステリアやインテリア、充実装備といった項目について、詳しく解説する。
7人乗車も可能だが、アレンジ次第で大容量のラゲッジスペースも確保できるステーションワゴン。購入を検討している方の後押しとなる記事だ。

この記事の目次 CONTENTS
1.達人「松下 宏」が斬る!
2.使い勝手の良さはワゴンとミニバンのいいとこ取り!
3.プジョー308SWのエクステリア
4.プジョーらしいしなやかで快適な乗り心地が味わえる
5.プジョー308SWの走行性能
6.ベースグレードのプレミアムでも装備は充実している
7.プジョー308SWのインテリア
8.プジョー 308SWのスペック情報

ライター紹介

自動車評論家

松下 宏 氏

中古車の業界誌から自動車誌の編集者を経て、自動車評論家に。 誰でも買える価格帯であり、小さくて軽く、そして燃費がよいということを信念として評論。

1.達人「松下 宏」が斬る!

達人「松下 宏」が5つの評価軸を用いてクルマを評価。

2.使い勝手の良さはワゴンとミニバンのいいとこ取り!

外観は大きなフロントグリルを持つ最近のプジョー顔。ちょっと迫力があり過ぎる印象だが、存在感は十分である。インテリア回りの仕様や雰囲気もプジョーらしさに溢れている。

7人乗りでミニバンとしての使い勝手も実現

使い勝手の面では3列7人乗りのシートを持つのがSWの特徴。
これは307SWでも採用されていたシート配置で、単にステーションワゴンとしてだけでなく、ミニバンとしての使い勝手も実現するモデルである。

後席取り外しで大容量の収納スペースを確保

後席のシートはそれぞれ独立して取り外しが可能。
日本では外したシートをどこに置いておくのかという問題が発生するため、後席を全部外すのは現実的ではない。だが、2席だけを残した状態なら、1700Lを超える大容量のラゲッジスペースを作ることができる。

3.プジョー308SWのエクステリア

プジョー308SWのエクステリアについて詳しく解説。

プジョーらしく、かつワゴンらしい308SW

フロントマスクは、ベースの308と変わらないデザインだ。サイドに目をやると、全長の延長やルーフレールの装着はワゴンらしい。

ハッチバックのリヤ部分を延長し、ラゲッジとサードシートのスペースを稼いでいる。プジョーらしいおしゃれな雰囲気のワゴンといえる。

フロントマスクのデザインはハッチバック仕様の308と基本的に同じデザイン。207など他のプジョーファミリーと共通のイメージだ。

最新のプジョーファミリーのアイデンティティでもあるツリ目で切れ長のヘッドランプを採用する。前後にも長い個性的なデザインだ。

一体感と実用性を両立させるデザイン

ドアミラーの支柱部分にはウインカーが内蔵されている。これは207でも取り入れられている手法だ。
風切り音も低く抑えられている。

リヤコンビランプは非点灯時にはウインカーやバックランプの部分も赤く見えるのが最大の特徴だ。
これにより一体感を感じさせてくれる。

4.プジョーらしいしなやかで快適な乗り心地が味わえる

搭載エンジンは1.6Lの直噴DOHC+インタークーラー付きターボ。すでにハッチバックに搭載されているのと同じエンジンだ。
170ps(103kW)/24.5g-m(240N・m)のパワー&トルクは、自然吸気エンジンなら1.8Lを超えるパワーと2.4L級のトルクを備えている。

ターボでも扱いやすい新世代のエンジン

ターボとは思えないような滑らかな吹き上がりを見せる。それと同時に、低速域から太いトルクを発生するので、とても扱いやすい印象を与えるエンジンだ。
最近のヨーロッパでは過給器をうまく使ったエンジンが次々に登場しているが、これもそうした新世代のエンジンのひとつだ。

一世代前の4速ATで変速ショックは大きめ

プジョー308では、組み合わされるATが一世代前のATともいえる4速ATだ。エンジンに余裕があるのでそれほど大きな不満を感じずに走らせることはできる。
しかし、それでも変速ショックが大きめになるのは避けられないし、高速クルージング時の燃費や静粛性でも不利になる。早めに5速または6速にして欲しいところだ。

乗り心地を重視した足回りを採用

乗り心地の良さはプジョーらしさ十分。
プジョーは207で、一時足回りを硬めにチューニングしてドイツ車風の味付けにしていたが、308では改めて乗り心地を重視した足回りを採用している。少々荒れた路面でも快適性を損なうことなく乗りこなしていく。

5.プジョー308SWの走行性能

プジョー308SWの走行性能について詳しく解説。

扱いやすいエンジンだが燃費や騒音面では不利

1.6リッターターボエンジンのみのラインアップ。2.4リッター並のトルクを発揮し、街中から高速まで扱いやすい特性が与えられている。

マニュアルモードを備え、スポーティな走りが楽しめる。だが、4速ATというのは燃費や騒音などで不利なので、早期の多段化を望みたい。

5本スポークの17インチホイールは、スポーティなデザイン。荒れた路面でも快適な乗り心地を味わえるのはさすがプジョーらしいところだ。

6.ベースグレードのプレミアムでも装備は充実している

プジョー308SWにはプレミアムとグリフの2グレードが用意されている。
ベースグレードにプレミアムという名前をつけていることからも分かるように、装備の充実度は高いレベルにある。安全装備はニーエアバッグを含む7つのSRSエアバッグやESP、EBD付きABSなどが全車に標準だ。

ガラスルーフやオーディオといった快適装備が標準装備

快適装備は、左右独立調整式オートエアコン(花粉フィルター付き)を始め、オーディオ(FM/AM/CDプレーヤー)、フロント/バック・ソナー、熱線入り電動格納式ドアミラー、リバースギア連動チルト機能付ドアミラー、パノラミック・ガラスルーフなどが全車に標準となる。

装備の充実さを考えると納得の価格設定

プレミアムとグリフでは、運転席電動シート(メモリー付き)、レザーシート、バイキセノンヘッドライトの有無、タイヤサイズなどが相違点となる。
プレミアムが339万円、グリフが389万円という価格設定は必ずしも割安とはいえない水準だが、装備の充実度の高さを考えると納得できる水準だ。

7.プジョー308SWのインテリア

プジョー308SWのインテリアについて詳しく解説。

おしゃれな雰囲気と実用性を兼ね備えたインテリア

シンプルながらおしゃれな雰囲気のインテリア。視界も広く非常に運転はしやすい。ナビやエアコンを始めとした装備類も充実している。

ホワイトの文字盤が印象的なメーターを採用。メーター中央の他、インパネの上部にも各種情報が表示可能なディスプレーが設置される。

大きな開口部をもつパノラミック ガラスルーフは全車に標準装備。
電動サンシェード付きで、夏場でも車内が暑くなることはない。

長距離ドライブでも疲労感の少ないシート

プレミアムはファブリック、グリフ(写真)は本革シートを採用している。
しなやかな足まわりの設定のおかげもあり、とても快適な移動空間だ。

セカンドシートは左右、中央それぞれ独立してスライドが可能だ。
足元や頭上の空間にもゆとりがあり、長距離ドライブでも疲労感は少ない。

サードシートは狭く、あくまでも緊急用のスペース。
3点式シートベルトとヘッドレストは、サードシートも含め全席に装備される。

アレンジ次第で有効活用できるラゲッジスペース

7人乗車時にはほとんどラゲッジスペースはないが、サードシートの背もたれを折りたためば実用に耐える容量を確保することは可能だ。

308SWのサードシートは取り外し可能。
シートの置き場の問題はあるが、7人乗車の機会がほとんどないならこういった使い方もありだ。

さらにセカンドシートをダブルフォールディングさせれば、このように広大な空間が現われる。
かなり大きな荷物も余裕で積み込める。

8.プジョー 308SWのスペック情報

プジョー 308SW プレミアムのスペック情報は以下の通り。

代表グレード プジョー 308SW プレミアム
ボディサイズ(全長×全幅×全高) 4515×1820×1560mm
車両重量 1560kg
総排気量 1598cc
最高出力 140ps(103kw)/5800rpm
最大トルク 24.5kg-m(240N・m)/1400〜3500rpm
ミッション 4速AT
10・15モード燃焼 10.2km/l
定員 7人
税込価格 339.0万円
発売日 2008/9/8
写真 和田 清志