シトロエンC5 

達人「国沢光宏」が斬る!

達人「国沢 光宏」がシトロエン C5を徹底評価!

国沢光宏

職業:自動車評論家
歯に衣を着せぬ原稿で、なにかと話題の自動車評論家。歯切れの良い文章も分かりやすく、多くのファンをもつ。カートップやベストカーなど、多数の自動車雑誌に寄稿するだけでなくWRCなどのTV解説まで幅広い活動を行なっている。

シトロエンの魅力は大型のモデルにこそ詰まってる!

 クルマ好きにとって大型のシトロエンは特別な存在である。例えばサスペンション。C5の下回りを見ても、普通のクルマなら必ず付いている金属や空気のバネが無い。液体とガスを組み合わせた『ハイドラクティブ』なる特殊なタイプを採用しているのだ。

 何にも似ていないスタイルも魅力的であります。ちなみに先代のC5がイマイチ人気出なかったのは、常識的なデザインだったためだとシトロエン自身反省しているそうな。1960年代のDSなどを見ると、カンペキに周りから浮いてました。

個性に加え装備も充実! 商品力の高いシトロエン

シトロエンC5 テールランプ

 ということで新しいC5である。スタイルは100点でしょう! 個性的な顔つきに長いボンネット、そして猫背のテールとくればシトロエンの文法通り。サスペンションだってハイドラクティブ。もはや文句ありません。それでいて値段も高くない。

シトロエンC5
伸びやかなフォルム、実際の長さより短く見えるトランクリッドなどシトロエンらしさ満点のスタイリング
シトロエンC5 ツアラー
「ツアラー」と呼ばれるステーションワゴン、全長はセダンより50mm延長されている
シトロエンC5 ツアラー
個性的なテールランプやルーフレールがステーションワゴンらしい優雅な雰囲気を醸し出すリアビュー

 ベースグレードとなる2リッターセダンの価格表を見たら、399万円だって。全長4795mm×全幅1860mmというボディサイズは完全にヨーロッパのEセグメントに属す。BMW5シリーズやベンツEクラスとガチのクラス。

 加えて装備内容も充実している。基本的にフル装備で、ライバルなら上級グレードにしか付かないバイキセノンライト(ロービーム&ハイビーム共にHID)や超音波式パーキングアシスト、ハーフレザーシートまで標準。こら相当なお買い得価格だ。

シトロエンC5 インテリア
「シトロエン」というアバンギャルドなイメージよりはオーソドックスな印象のインテリア
シトロエンC5 フロントシート
V6にはレザーシートが標準となる、サイズはたっぷりとしておりバックレスト上部の調整機構も付く
シトロエンC5 ツアラー
写真は2リッター直4のハーフレザーシート、ツアラーには大きなガラス面積を確保したサンルーフも標準装備
シトロエンC5 ラゲッジルーム
通常時でも467リッターという容量を確保している上に、分割可倒機能も備えるセダンのラゲッジルーム
シトロエンC5ツアラー ラゲッジルーム
フラットかつスクエアなツアラーのラゲッジルーム、容量は505リッターで電源ソケットなども付く
シトロエンC5ツアラー ラゲッジルーム
リアシートを倒せば容量は1490リッターに拡大、セパレートネットを使いラゲッジスペースを区切ることも可能

シトロエン風味満点! クラスを超えた乗り心地に満足

 乗るとどうか? 400万円で買える輸入車と思えないほど上質だったりして。例のハイドラクティブサスは大きくウネる路面を通過した時の挙動など「空飛ぶ絨毯のような乗り心地」と賞された古き佳き時代のシトロエンの雰囲気を残す。

 ソフトな乗り心地の割にコーナーでハンドル切った時のロール感が少ないのもハイドラクティブ特有の挙動である。フランス車に共通する「座り心地の良いシート」と合わせ、もはや苦しゅうない感じ。ロングドライブなど余裕だ。

 パワフルな3リッターV6エンジン車も選べるけれど、走りは2リッター4気筒で何ら不満無し。というかアンダーパワー気味のクルマこそシトロエンの面白さだと思う。パワフルなクルマに乗りたいなら、素直にドイツ車を選ぶべき。

 ちなみに2リッターのATは4速タイプ(V6は6速タイプ)。時代遅れだと考えるだろうが、ロックアップを上手に使う絶妙のセッティング。流れの良い郊外の道だけでなく、都内の渋滞を走っても全く不満のないレベルに仕上がっている。
 

シトロエンC5 エンジンルーム
143馬力とスペックは控えめながら、数値以上の実力を持つ2リッター直4エンジン
シトロエンC5 エンジンルーム
3リッターV6も最高出力は215馬力と同排気量の平均値よりかなり控えめなスペック
シトロエンC5 セレクトレバー
2リッター/4速、3リッター/6速となるAT、画面後ろ下に見えるスイッチはハイドラクティブサスの調整用

 以上。400万円くらいの予算で4ドア車を考えているなら、ぜひともC5もショッピングリストに加えたらいい。「最近クルマがツマらない」と思っている人にピッタリかと。百聞は一見にしかず。週末にでも試乗してみて欲しい。

シトロエンC5 走り
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達人プロフィール: 国沢光宏
職業:自動車評論家
歯に衣を着せぬ原稿で、なにかと話題の自動車評論家。歯切れの良い文章も分かりやすく、多くのファンをもつ。カートップやベストカーなど、多数の自動車雑誌に寄稿するだけでなくWRCなどのTV解説まで幅広い活動を行なっている。