【トヨタ「iQ」試乗記】トヨタ「iQ」エクステリア フロントビュー  画像

超強敵!軽自動車

 iQは3m未満のクルマに対する優遇措置の多いヨーロッパ市場を強く意識して企画された。だからこそ3mという全長に意義もある。おそらく「リアシート付きのスマートがあったら欲しい」というユーザー層をガッチリ取り込めることだろう。しかし! 我が国だと軽自動車という超強敵を相手にしなくちゃならない。ムーヴのようなモデルはiQより明らかに広い室内スペースを確保しており、価格だって安価。加えて軽自動車ならではの優遇措置をタップリ受けられるのだ。税金や強制保険、任意保険に代表されるランニングコストだけで年額5万円程度違ってくるほど。加えて3mという全長にほとんど意味なし。使い勝手からすれば軽自動車サイズで全く困らない。加えてコンパクトカーは近距離の移動が大半だから、燃費の良さも体感しづらいと思う。さらに日本のユーザーって2ドアを避ける傾向。「世界一2ドアが嫌い」と言ってもいい。強い強い向かい風です。

【トヨタ「iQ」試乗記】トヨタ「iQ」 エクステリア フロントビュー 走り 画像
【トヨタ「iQ」試乗記】トヨタ「iQ」 エクステリア フロントビュー 走り  画像
【トヨタ「iQ」試乗記】トヨタ「iQ」 エクステリア リヤビュー 走り  画像

走り、動力性能は合格点

 パッケージングはどうか? iQのアピールポイントの一つに「大柄な成人男性3人+1の計4人乗れる実用性」というものがある。試してみたら確かに座れるものの、助手席を目一杯前にスライドさせないと後席のレッグスペースを確保できない。つまりガタイの良いオトコが、運転手のナナメ前方に座ることになるワケ。試してみたら、思いっきり視界のジャマになってしまう。そいつさえガマン出来れば、トヨタのアピール通りかと。走りは余裕の合格点。「プロトタイプ」ということで、発進時にヘッドライトの光軸が上を向くほどスクワット(リアの沈み込み現象)したり、ブレーキ掛けながらハンドル切ると容易に姿勢制御装置VSCの制御入ったりする現象を感じたけれど(二つともリアサスペンションの煮詰め不足か?)、市販車になれば全て解消していると思う。車重が900kgを切っているため、1リッターエンジンでも動力性能は不満無し。

【トヨタ「iQ」試乗記】トヨタ「iQ」 インテリア インストルメントパネル  画像
【トヨタ「iQ」試乗記】トヨタ「iQ」 インテリア フロントシート  画像
【トヨタ「iQ」試乗記】トヨタ「iQ」 インテリア リヤシート  画像

ECOよりスタイル重視な「iQ」

 iQをどう評価するかは、スタイルや雰囲気に魅力を感じるかどうかだと思う。日本だとコストパフォーマンスで軽自動車に勝てず、実用燃費についちゃ来年早々デビュー予定のホンダ製ハイブリッド(200万円を切るらしい)という強敵が存在する。したがって「カッコいい!」と考えるなら大いにおすすめ。「別に」という人からすれば魅力無いということになります。ECOカーというより趣味性を重視したクルマになるだろう。

【トヨタ「iQ」試乗記】トヨタ「iQ」 エクステリア フロントビュー  画像
【トヨタ「iQ」試乗記】トヨタ「iQ」 エクステリア サイドビュー  画像
【トヨタ「iQ」試乗記】トヨタ「iQ」 エクステリア リヤビュー  画像
達人プロフィール: 国沢光宏
職業:自動車評論家
歯に衣を着せぬ原稿で、なにかと話題の自動車評論家。歯切れの良い文章も分かりやすく、多くのファンをもつ。カートップやベストカーなど、多数の自動車雑誌に寄稿するだけでなくWRCなどのTV解説まで幅広い活動を行なっている。

 

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