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リチウムイオン電池とEV用システムで優位な日産

 日産は電気自動車(EV)の開発にも熱心に取り組んでいて、試験的な形ながらハイパーミニを市販して街を走らせてきた過去もある。私も丸の内でレンタルされていたハイパーミニを借りて試乗した覚えがある。またルノー・日産のアライアンスがイスラエルでEVを前提とした交通インフラの仕組みを整えることでプロジェクト・ベター・プレイス社と合意したと1月に発表している。
 日産は次期型EVを2010年度から日米で市販することを表明しているが、その最新のEVシステムを搭載した試作車(性能確認実験車)に試乗した。この試作車はキューブをベースにしたもので、EC-02と大きく書かれたボディの外観はキューブそのものだが、駆動システムは完全にEVのものになっている。
 日産ではEVやHEV(ハイブリッド車)、FCV(燃料電池自動車)のためにリチウムイオン電池の技術開発を積極的に進めており、これをベースにした新システムを搭載している。
 電気の力でクルマを走らせるには、たくさんの電気を貯め込み、それを必要に応じて力強く引き出すことなどが要求される。つまりエネルギー密度と出力密度の高さが必要になるわけだ。この点で日産がNECと共同開発したリチウムイオン電池とEV用のシステムは他社のものに比べて大きく優位に立っているという。

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EV開発競争へ!日産の改良点は…

 EVの試作車に試乗した印象は、まずは発進加速の良さが印象的だった。そもそも電気モーターは瞬時に最大トルクを発生できるので、ガソリンエンジンと違って極めて力強い発進加速が得られる。試作車はリチウムイオン電池の重さとシステムの重さが300kgに達しており、重量的には通常のキューブに比べて相当に重くなっているとのことだったが、発進加速から通常走行の間も重さを感じさせられるシーンは全くなかった。相当な出力のモーターを搭載していることがよく分かった。
 また静かな走りもいかにもEVらしいものだった。モーター音やシステム音はそれなりに聞こえるものの、非常に静なクルージングが可能。これはEVならではのメリットといっていい。
 逆に電池などの重量の重さが気になったのはタイトなコーナーを曲がるとき。重さが影響してフットワークは必ずしも軽快とはいえない面があり、このあたりはEVとして発売するまでに改良が必要な部分かと思う。
 いずれにしても、三菱やスバルもEVの発売を表明しており、当面は激しいEV開発競争が進められるのは間違いない。
 EVの普及にはEVそのものの(というか電池の)コストダウンが必要なほか、充電設備などインフラの普及も必要となるが、たくさんのEVが走り出せばそれも急速に進むはず。ここ数年のうちに電気で走る自動車が大きく増加していくことになるだろう。

日産先進技術 その2「EV(電気自動車)」
日産先進技術 その2「EV(電気自動車)」
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達人プロフィール: 松下 宏
職業:自動車評論家
中古車の業界誌から自動車誌の編集者を経て、自動車評論家に。誰でも買える価格帯であり、小さくて軽く、そして燃費がよいということを信念として評論。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員としても、その信念は変わらない。そのため、大本命といわれている車種さえ外して...

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