マツダはプレマシーとMPVという2車種のミニバンをラインナップしていたが、売れ行きは必ずしも好調ではなかった。最近のミニバン市場で良く売れているのは全高の高い1BOXタイプのモデルで、トヨタ ノア/ヴォクシーや日産 セレナ、ホンダ ステップワゴンなどがこれに当たる。このため、マツダがミニバン市場の売れ筋ジャンルに改めて投入してきたのがトール系ミニバンのビアンテだ。
ほかの競合車は5ナンバーボディを基本とするが、ビアンテはプレマシーの基本プラットホームを流用したこともあって、全幅の広い3ナンバーボディとなっている。この点がまず大きな特徴で、ワイドボディをベースに広々とした室内空間を作っている。
外観デザインは相当に個性的だ。ヘッドライトから左右のフェンダー、そして三角窓へと続くあたりの造形は、ほかのミニバンにはないビアンテならではのもの。これまでに見たことがなく、どのクルマにも似ていない特徴的な外観を持つことは評価していい。
ただ、そのフロントフェンダーの部分や真正面から見たフロント回りのデザインは、けっこうな迫力がある怖い系の印象。ファミリーユーザー向けのミニバンがこんなに怖い顔で良いのかなという印象もある。その点をチーフデザイナーの小泉さんに聞くと、そんなに怖い顔にしたつもりはないという。むしろ見る人の心の中の問題として、怖く見えたりすることがあるとのことだ。
大きめサイズのミニバンでは、トヨタ アルファードや日産 エルグランドのように、威風堂々といった感じの顔つきを持つモデルが人気を集めているので、このクラスのミニバンも少々迫力があるくらいのほうが良いのかも知れない。
またデザインは見ているうちに慣れてくるもの。今は違和感があっても、この顔のクルマがどんどん街を走るようになると、イメージも変わってくるのだと思う。