スズキ エスクード エクステリア

達人「松下 宏」が斬る!

スズキ エスクード 評価

松下 宏

職業:自動車評論家
中古車の業界誌から自動車誌の編集者を経て、自動車評論家に。誰でも買える価格帯であり、小さくて軽く、そして燃費がよいということを信念として評論。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員としても、その信念は変わらない。そのため、大本命といわれている車種さえ外して...

SUVらしさを強く感じさせる個性的なルックス

スズキ エスクード エンブレム

 スズキのエスクードは初代モデルがデビューしたのが1988年だから、今年で20周年を迎えた。手頃なサイズのシティランナバウトとして人気を集め、特に1990年に追加されたロングボディのノマドがヒットモデルになったことが記憶されている。
 その後、1997年11月に2代目モデルに切り替わり、2005年5月からは現行の3代目モデルへとフルモデルチェンジされてきたが、2代目モデル以降は欧米市場を意識してボディサイズを拡大したことなどから、日本市場では初代モデルほどのヒットとはならずに現在に至っている。今年(2008年)1〜6月の販売台数を見ても3310台にとどまっている。
 今回のマイナーチェンジでは、搭載エンジンの変更が大きなポイントで、外観デザインについてはほとんど変更を受けていない。
 フロントバンパーとグリル回りのデザインが変更されたほか、サイドターンランプ付きのドアミラーが採用された(2.4XEを除く)のが目につく程度。ほかに18インチタイヤの装着に合わせてアルミホイールのデザインが新しくなったことなどが変更点だ。
 現行モデルのデザインは2代目に比べたらすっきりしたSUVらしさがあり、デビューから3年を経過した現在でも陳腐化が進んでいない。大きく変更する必要がなかったともいえる。

スズキ エスクード フロント
フロントバンパーやグリルのデザインが変更され、より洗練された雰囲気を手に入れた。デビューから3年経過したが古くさい印象はない。
スズキ エスクード リヤ
リヤまわりのデザインはウインカー内蔵のドアミラーに変更された程度でほとんど手が加えられていない。背面タイヤがSUVらしさを演出する。
スズキ エスクード フロントマスク
新デザインのバンパーやグリルは洗練された雰囲気。海外市場を意識しボディサイズが拡大されただけあり、存在感はとても高い。

プリクラッシュセーフティシステムをオプション設定

スズキ エスクード インテリア

 インテリア回りはエクステリア以上に変更点が少ない。燃費計や航続可能距離などを表示するマルチインフォメーションディスプレーを備えたメーターを採用したほか、センタースピーカー、グレードによって照明付きステアリングスイッチやオートライトシステムなどを採用したのが変更点だ。
 装備面では、2.4XGに装着車が設定され、3.2XSには標準装備されるESPの機能が向上したのが注目される点。センターデフのLOCKモードを選択したときに下り坂での速度を制御するヒルデセントコントロールをAT車に設定したほか、上り坂でのヒルホールドコントロールも同様にAT車に設定されている。
 このほかベースグレードの2.4XEを除いてクルーズコントロールが標準装備された上、3.2XSには先行車との距離をミリ波レーダーで測定し、設定した距離を維持するよう自動的に加速・減速するアクティブクルーズコントロールシステムをメーカーオプションで設定し、衝突が避けられないときには自動的にブレーキをかけて被害を軽減するプリクラッシュセーフティシステムもオプション設定した。

スズキ エスクード インテリア
インテリアのデザインは大きな変化はない。グレードによりセンタースピーカーや照明付きのステアリングなどが新たに追加されている。
スズキ エスクード フロントシート
フロントシートまわりのスペースは余裕たっぷり。シートのホールド性も高く、オフロードでのハードな走りでも体をしっかりと支えてくれる。
スズキ エスクード リヤシート
足元や頭上の空間にもゆとりがあり、長距離ドライブでも快適に過ごせる。ヘッドレストと3点式シートベルトは人数分装着されている。
スズキ エスクード メーター
220km/hスケールのスピードメーターを中心に配置したメーターは非常に見やすい。新たにインフォメーションディスプレーが装備された。
スズキ エスクード ラゲッジ
ラゲッジスペースは広さはもちろん、開口部も大きく内部の形状もいいので使い勝手はとてもいい。テールゲートは横開き式を採用している。
スズキ エスクード ラゲッジ
リヤシートをダブルフォールディングさせれば広いスペースが現われる。フロアもフラットなので大きなものの積み込みも容易にできる。

エンジンの排気量アップで力強い走りを手に入れた

スズキ エスクード 走り

 エスクードは現行モデルからセンターデフ式のフルタイム4WDシステムを採用しているが、FRを基本とする4WDシステムである点は従来と変わらない。最近のSUVはほとんどがFF車をベースに作られているが、エスクードはそうしたSUVとは一線を画す素性の良さを持っている。センターデフのLOCKモードに加え、4Hと4Lの選択が可能なのもエスクードが並みのSUVと違うことを示している。
 今回のマイナーチェンジでは搭載エンジンの排気量が拡大された。直列4気筒は2.0Lから2.4Lに排気量アップされて4速ATと組み合わされ、V型6気筒は2.7Lから3.2Lに排気量アップされて5速ATと組み合わされる。
 現行モデルではボディが大きく重くなったことから、特に2.0Lエンジンでは力不足との指摘もあったことから排気量アップが図られたわけだが、エンジンに限らず、ボディやタイヤなども含めてクルマが大きくなる方向に向かうのは必ずしも歓迎できることではない。
 そのことをおいてみると、今回の排気量アップによって走りの性能は大きく向上した。2.4L車にはオフロード特設コースで、3.2L車には伊豆スカイラインを中心にした一般道で試乗したが、いずれも走りの良さを感じさせてくれた。

スズキ エスクード 3.2リッターV6エンジン
エンジンはV6(写真)が3.2リッターに、直4が2.4リッターに排気量アップされた。中低速域でも十分なトルクがあるのでとても扱いやすくなった。
スズキ エスクード シフトレバー
V6搭載車(写真)は5速AT、直4には4速ATが組み合わされる。エンジンとのマッチングもよく、滑らかで力強い走りを味わうことができる。
スズキ エスクード 4WD モード切替スイッチ
4WDのモード切替により、あらゆる路面にも対応可能。さらにヒルデセントコントロールやヒルホールドコントロールのセッティングも絶妙だ。
スズキ エスクード 18インチタイヤ
タイヤ&ホイールが18インチとなり、ホイールのデザインも一新された。オフロードでの走りと市街地での快適性を両立したタイヤを装着する。
スズキ エスクード 走り
しっかりしたハンドリング特性でキビキビした走りを楽しむことができる。静粛性も高められており、市街地での快適性も十分満足できる。
スズキ エスクード 走り
LOCKモードを持つ本格的な4WDシステムと、ヒルデセントコントロールやなどの電子デバイスのおかげで、悪路走破性の高さは驚くほどだ。

オンロードでも快適な乗り心地を実現した

スズキ エスクード 走り

 3.2Lエンジンは絶対的な動力性能が十分なレベルにあり、1700kgを超える車両重量をものともせずにグイグイと引っ張っていくだけの実力がある。SUVに搭載されるエンジンなので高回転域でのパワー感よりも低回転域でのトルク特性を重視したチューニングになっていて、走りの力強さが感じられる。
 足回りは弾力のあるゴムの上に乗っているような印象。ロールを抑えたしっかりした感じの乗り味で、乗り心地というか快適性の面でも不満はない。ステアリングはかなりクイックでキビキビした感じの走りになる。
 静粛性も向上しているとのことだったが、従来のモデルと同時に試乗したわけではないので、そのあたりは実感としては良く分からなかった。SUVなので乗用車のような静粛性は望めないが、加速時などを除けばそれなりに静かなクルージングが可能だ。
 ESP(横滑り防止装置)を装着した2.4XGではモビリティパークの特設オフロードコースで試乗し、V字路やモーグル、急な坂道の上り下りなどを試したが、いずれも余裕十分。エスクードの持つ性能に対して、コース設定が甘かったこともあるが、4Lを選択して走れば相当な悪路でも走破できることが分かった。
 またLOCKモードにしてヒルデセントコントロールやヒルホールドコントロールなども試したが、これらも上々の効き具合。一般のユーザーがこれらを使う機会は少ないだろうが、今のSUVではESPを装着することでこれらが容易に設定できるため、装備されているのが当然という時代になりつつある。

スズキ エスクード 走り
スズキ エスクード 走り
スズキ エスクード 走り
スズキ エスクード 走り
スズキ エスクード 走り
スズキ エスクード 走り
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代表グレード
スズキ エスクード 2.4XG
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高)
4420×1810×1695mm
車両重量[kg]
1620kg
総排気量[cc]
2393cc
最高出力[ps(kw)/rpm]
166ps(122kw)/6000rpm
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm]
22.9kg-m(225N・m)/4000rpm
ミッション
4速AT
10・15モード燃焼[km/l]
10.6km/l
定員[人]
5人
税込価格[万円]
219.5万円
発売日
2008/6/26
レポート
松下宏
写真
和田清志