スバル車らしい走りを目指して開発されたモデルらしく、走りのバランスの良さは並みのBOX系ミニバンとは別物だった。
最初に試乗したのは自然吸気エンジンを搭載した2.0iLのFF車で16インチタイヤを装着したモデル。水平対向2.0Lの自然吸気DOHCエンジンは新しいチューニングが施されたもので、レガシィに搭載されていたスポーティなDOHCとは違い、パワー&トルクも148ps(109kW)/19.5kg-m(191N・m)に抑えられている。トルクの数値はほとんど変わらないが、パワーはぐんと控えめな数値になっている。
このため特に元気の良い走りを示すというほどではないが、必要十分な動力性能は備えている。アクセルを全開にして加速していくときなどはもっとパワーが欲しいという気持ちなるかも知れないが、常用ユースを考えたらまずまず十分な実力だ。むしろ今どきまだ4速ATを組み合わせているのが物足りない部分で、ギア比の設定とエンジンのチューニングなどで苦労して仕上げたのは分かるが、記号的にも今どき4速ATではいかにも古い。
良かったのは乗り心地や静粛性。室内空間が大きな空洞となるミニバンは静粛性などの面で不利になりがちだが、そんな不利を感じさせないセダン並みの静粛性が確保されている。乗り心地の良さもなかなかのもので、試乗した西湘バイパスは高架道路の継ぎ目から厳しい入力があるが、それをスムーズに超えていく。最近試乗したティアナも際立って優れた乗り心地を示したが、エクシーガもミニバン系のモデルの中で相当に高いレベルの乗り心地といえる。
もうひとつ電動パワーステアリングが自然なフィールだったのが印象的だった。というか、後からターボ車に乗ってターボだけが油圧式のパワステを採用していることに気づいたのだが、それまでは自然吸気エンジンの搭載車も油圧式のパワステかと思っていたくらい。それほど自然な感じだった。
ターボエンジンを搭載した2.0GTはAWDだけの設定で、225ps(165kW)/33.2kg-m(326N・m)のパワー&トルク。動力性能的には断然こちらが優位に立つ。エクシーガはミニバンながら1500kg前後の比較的軽いボディのため、ターボ車は極めて軽快な走りを示してくれる。ワインディングなども気持ち良く走れるのがGTなので、走り志向の強いユーザーならこちらがお勧め。
ターボ車には5速ATが組み合わされていて、走りの滑らかさでも優位に立つ。高速クルージングでのエンジン回転数が自然吸気エンジンに比べて400〜500回転ほど低く抑えられるので、より静かな走りが可能だ。
●お勧めグレード
最終的に売れ筋グレードになるのは2.0iLだと思うが、発売当初は2.0GTも相当に高い比率で売れるはず。どちらをお勧めグレードにするのは悩ましいところだが、レガシィでGTに乗っていたユーザーなら、エクシーガでもGTを選ぶのが妥当だと思う。少々価格が高くなっても走りを重視するのがスバル車の買い方だ。