ミニバンのボディは大きめになるので車両重量も重くなるのが避けられない。フリードも車両重量は1300kg台に達するので、乗る前には1.5Lエンジンでどれだけ走るのかというのが気になったが、実際に走らせてみると意外なくらいに良く走ってくれた。
試乗したのは5人乗りと7人乗りで、さすがに定員乗車は試せなかったが、1〜3人が乗った状態で、市街地から高速道路、ワインディングなどを走ってみると、どのシーンでも不満を感じさせるようなことはなかった。
118ps(87kW)/14.7kg-m(144N・m)と1.5Lとしては標準よりもやや動力性能に優れる搭載エンジンは、けっこう力強い走りを感じさせる。VTECエンジンらしく吹き上がりも軽快で、気持ち良く走らせることができる。FF車は無段変速のCVTと組み合わされているので走りも滑らかだ。
乗り心地はちょっと柔らかめの印象。多人数乗車を想定したミニバンらしい味付けだ。コーナーではそれなりにロールするものの、グラッとくる感じではなくゆったりとロールするので落ち着いた感じの走りが得られる。ステアリングは低速域では相当に柔らかいが、中高速域ではそれなりの手応えがある。
追い越し加速を得ようとしてアクセルを踏み込んだときにはエンジン音も大きくなるが、クルージング状態のときには室内もまずまず静かだ。
●お勧めグレード
フリードは3列シートでコンパクトカーという今どきの売れる要素を兼ね備えたクルマなので、良く売れるのは間違いないと思う。
フリードらしいグレードで価格的にも手頃なのがG Lパッケージだ。これにカーナビとセキュリティパッケージを装着すれば、まずまず満足して乗れる仕様になる。
ただ、問題なのはG Lパッケージだと安全装備の装着に制限があることだ。VSAやサイド&カーテンエアバッグはオプション設定もされていないので装着することができない。これらが標準で装備されているのは最上級グレードのGiエアロだけで、これだと価格が220万円台に乗ってしまう。カーナビをオプション装着すると250万円を超える予算になり、1.5L車を買う感じではなくなる。安全装備は幅広いグレードで装着できるようにして欲しい。
さらにいえば、この6月から後席シートベルトの義務化が始まったというのに、そのタイミングで登場してきたフリードの後席中央にはまだ3点式シートベルトが用意されていない。このあたりも積極的に対応して欲しいものだ。