大ヒットとなっているホンダ フリード

走りやパッケージングのレベルはクラスを超えている!

 5月30日に発売が開始され、2週間で月販目標の2.5倍となる1万台の受注を記録し、その後も好調に販売を伸ばしているホンダのフリード。今回はその人気の理由でもある、魅力的な○ポイントと、私がイマイチだと思った×ポイントを紹介していこうと思います。

ここが○ 2列目&3列目の優れたパッケージング

このクラスで初のキャプテンシートを採用した7人乗りが選べるのは魅力

 フリードの最大の魅力は優れたパッケージングです。2列目にキャプテンシートを採用した7人乗りと、ベンチシートの8人乗り、そしてラゲッジを広く使える5人乗りを設定することで様々なニーズに対応してくれます。

 特に2列目のキャプテンシート車は快適性が高く、中央をウォークスルーして3列目にアクセスできるので、チャイルドシートを2脚取り付ける必要があるファミリーには、まさにちょうど良いパッケージングといえるでしょう。通常はキャプテンシートのほうが少し価格が高いのですが、フリードはキャプテンシートのほうが安いのも魅力です。

 そして3列目シートもステップワゴン並みの幅があり、床も3列目までフラットなのでコンパクトサイズでありながらも、多人数乗車も苦にならない居住性を実現しています。私のおすすめは7人乗りのG・Lパッケージです。

ここが○ 足回りの安定感が高く1.5リットルでも走りやすい

1.5リットルでもCVTが上手くパワーを引き出してくれる

 フリードは走りのバランスも上手くまとまっています。乗る前は1.5リットルなので力不足を感じるかと思ったのですが、大人4人で街中を走る程度なら意外に軽快に走ってくれます。3列目までフル乗車した場合や、登坂路では1.5リットルの辛さはありますが、日常的な使い方なら重さを感じることはありません。

 フットワークと乗り心地のバランスも良好で、街中ではキビキビと走ってくれます。重心が高いパッケージングのわりには、ミニバン独特のロール感が抑えられており、山道での安定感も高いレベルに仕上がっています。高速の風切り音がやや大きいのが気になりますが、街中から高速まで気持ちよく走ってくれるクルマです。

ここが○ 誰が乗っても似合うスタイリング

落ち着いたスタイリングなので老若男女を問わず選びやすいデザインだ

 フリードのスタイリングはフィットを少し大きくしたようなフォルムを採用し、老若男女の誰が乗っても似合うスタイリングを採用しています。前身となったモビリオは、男性が乗るには少し子供っぽいデザインでしたが、フリードのデザインなら20代の独身男性や熟年層のオジさまが乗っても似合うデザインだと思います。

 インパネは少し奇抜なデザインですが、優れた運転席からの視界が確保されており、操作系も使いやすくまとめているので、実際の使い勝手は良好です。

ここが× 運転席ハイトアジャスターとシートベルトの高さ調節がない

ハイトアジャスターとシートベルトの高さ調節が全車に設定がない

 フリードは1.5リットルクラスでは少し高めの価格設定になっています。この点は優れたパッケージングや走りの良さで納得することができますが、この価格なのにお粗末だな感じたのが、運転席のハイトアジャスターとシートベルトアンカーの高さ調節が用意されていないことです。

 開発者の話によると、背の低い女性で試したところ問題がなかったということでしたが、やはり体形や運転姿勢は千差万別なので、それに合わせてドライビングポジションを調整できる機能はできるだけ装備しておくべきでしょう。ちなみに旧型と言えるモビリオや、フリードよりも価格の安いフィットには両方用意されています。

ここが× 2列目シートがあまり後ろにスライドしない

2列目を最も後ろに下げても足元が広々と使えないのは残念

 フリードの2列目シートにはスライド機能が装備されているのですが、このスライドを一番後ろまでスライドさせても、あまり下がらないのも残念なところです。3列目に人を乗せていない時には、2列目を思いきり後ろにスライドさせて、足元を広々と使いたいのですが、思ったよりも後ろに下がってくれません…。5人乗りのフレックスも同じなので、2列シート化による居住性のメリットがないのも惜しいところです。

ここが× 3列目の跳ね上げ操作に少し力が必要

3列目の跳ね上げは便利だが操作に多少力が必要

 フリードが優れたパッケージングを実現しているひとつの要因でもあるのが、3列目シートにワンボックスミニバンのような跳ね上げ式シートを採用していること。でも、この3列目を跳ね上げるのには少し力が必要なので、女性は操作が大変かもしれません。

 シートは重い物なので力が必要なのは仕方のないことですが、トヨタのノア&ヴォクシーや日産のセレナは跳ね上げる際にスプリングのアシストが効くので、女性でも楽に跳ね上げることができます。特別にフリードが重いわけではないのですが、ノアやセレナに比べると重く感じてしまうということです。

 それと、室内の開放感が高まるスカイルーフが5人乗りにしか設定されていないのも×ポイントのひとつです。

【まとめ】基本性能は優れているが細かいところは気になる点がある

スカイルーフは3列シート車にこそ欲しい装備だ

 こんな感じの○と×のポイントが挙げられます。フリードはクルマのパッケージングや走りに関する基本性能は非常に良くできているので、1.5リットルクラスでは少し高めの価格を払ってでも満足のできる買い物となるでしょう。ただし、シートベルトアンカーなどの細かい点ではツメの甘さが見られます。

 私が感じた×ポイントは基本的には些細な点なので、気にならないという人も多いはずです。これからフリードの購入を検討している人は、これらのポイントをご自身でチェックしてみてください。