輸入車の中でも独自の地位を確保して、高い人気を集めているミニに、クラブマンという新しいモデルが追加された。ミニはハッチバックのほかにカブリオレの設定もあるが、ほとんど1モデルだけの設定で2007年には1万4000台を販売している。これはわずかな差でアウディに次ぐ輸入車5位の数字で、豊富なバリエーションを持つボルボやプジョーなどを上回っているのだから、いかに効率の良い商売をしているかが分かる。
ミニのユーザー層を広げるモデルとして追加されたのがクラブマンだ。現在のミニはBMWが開発するようになって2代目のモデルだが、かつての純英国車時代のミニにはカントリーやトラベラー、クラブマン・エステートなどのステーションワゴンタイプのモデルが設定されていた。それを現在に復活させたのが今回のクラブマンである。
そもそも英国では狩猟用に使うクルマとしてシューティング・ブレークというジャンルがあり、かつてはアストンマーチンやジャガーなどの高級車をベースにしたカスタムカーが作られたことがあった。かつてのステーションワゴンタイプのミニもそうした使われ方をしたことがあり、そのコンセプトを現代に再生させたクルマである。
クラブマンのボディはハッチバックに対して240mm程度延長され、ホイールベースも80mm延長されている。同時に、ボディの右側には観音開きで開くクラブドアが設定されて、左右が1:2ドアの設定となる。このクラブドアは、ドイツなどで販売される左ハンドル車でも右側に設けられており、日本向けの右ハンドル車でも右側にクラブドアというのは左右が逆の設定ともいえる。またバックドアが中央から左右に観音開きで開くタイプとされたのも特徴だ。
右側に後席への乗り降りが容易なクラブドアが用意されるのは、左側にあるより便利になる面もあり、単純にどちらが良いとはいえない。ただ、BMWとしてはクラブマンの右ハンドル車を左側にクラブドアを持つ形で開発するのは、設計上かなり大変なことになり、販売台数の少ない右ハンドル用に多くの開発コストをかけることはできなかった面があるのも確かだろう。
ボディカラーは11色が用意され、ルーフがボディカラーと同じ場合にはCピラーがシルバーかブラックになり、ルーフがシルバーの場合にはCピラーもシルバー、ルーフがブラックの場合にはCピラーもブラックとなる。この結果、外観だけで11色+4パターンの11タイプが用意されることになる。