ガソリン枯れどもカーホビーは滅せず!

 暫定税率だ二重課税だという側面は放っておいても、いい加減面白く無くなってきた昨今のガソリン価格高騰。一時の熱病ならしょうがあるめぇとフテ寝を決め込むところだが、ここまで高熱が続くと我が身のキンタマ(お財布)の具合が気になってしょうがない。
 というわけで昨今の新車は燃費の数値が何より重要視されるわけだが、丁度世の中エコブーム到来で低燃費だハイブリッドだという流れが出来ていたので、乗ってカンガルーするまでもなくメーカーと消費者の思惑の歯車はガッチリと噛み合っている状況だ。
 こと新車に関してはそれで良いとしても、チューニングカーや旧車等、カーホビーを趣味の中心に据えている人にとっては相変わらずこのガソリン価格高騰は悩みの種。特に燃料をポカリのようにガブ飲みする古いアメ車なんかを所有していたら、今やマフラーから小銭を撒き散らしながら走っているようなものだ。
 そんなキンタマ事情はかの自動車大国アメリカも同様で、京都議定書はシカトしても、最近は低燃費だとかエコロジーといった単語には敏感なご様子。ハイブリッドカーの売り上げも好調で、最近はバイオフューエルの浸透も著しいようだ。そしてこうした流れが新車業界だけでなく、ホットロッド業界にも反映されるあたりが流石の自動車大国である。
 大排気量エンジンに過給器付けて、直線だけは親の敵のように速いのがホットロッドマシンのアイデンティティだが、8リッターのビッグブロックユニットにスーパーチャージャー付けてブン回せば、その燃費はキロどころかメートル換算したくなるほどである事は明らか。白人を中心とした成功者の趣味であるホットロッドだが、このご時世あまりガソリンをブチ撒けて遊んでいるのは風当たりが強いのか、最近ガソリンエンジン以外のモーターを積んだホットロッドが次々とデビューした。
 植物由来のバイオエタノールやプロパンガスを使用したこれらのマシンは、ある意味技術をアピールする作品であり本来のエコ精神が反映された結果ではないかもしれないのだが、自動車社会を取り巻く空気を鑑み、しっかり見せるクルマとして仕上げてくるあたりは流石と言うほか無い。またコンペティションの世界でもハイブリッドやディーゼルエンジンが使用されており、あくまでもカーホビーの範疇の中で新たな技術を模索しているこのスタンスは、アメリカンホットロッド世界の広い裾野を感じさせてくれる。いわば改造車文化であるホットロッドだが、本場の世界は市販車の先を行くような先進的な試みもされているのだ。

プロパン燃料仕様でメイクされた'70年型シェベル
プロパン燃料仕様でメイクされた'70年型シェベル
プロパン燃料仕様でメイクされた'70年型シェベル

プロパン燃料仕様でメイクされた'70年型シェベル

往年のマッスルカーをベースに、最新のエンジン、サスペンション、インテリアを与えて現代車を凌駕するスペックを実現する"プロ・ツーリング"が最近流行だが、このシェベルはエンジンをプロパン仕様にしてきた。形はシェベルだがその全てがワンオフされたスーパーマシンで、エンジンはGM製をベースに専用設計されたアルミブロックを使用。排気量は527キュービックインチ、約8.5リッターだ。このエンジンは8連スロットルとツインインジェクターを装備し、なんと1000馬力オーバーを発生! 車体各部のパーツには航空宇宙技術まで使用され、究極のプロパンマシンとして誕生した。
バイオエタノール仕様の未来派ホットロッド
バイオエタノール仕様の未来派ホットロッド
バイオエタノール仕様の未来派ホットロッド

バイオエタノール仕様の未来派ホットロッド

植物由来のバイオエタノールをガソリンに対して85%配合した、E85というエタノール燃料を使用したレースカー。ボンネビルでの速度記録用のマシンで、1934年式のシボレー・クーペがベースだ。エンジンはエタノールの混合率を問わずに使用できるGM製の"フレックスフューエル"エンジンをベースにターボチューンが施され、525馬力を発生する。レースカーといえどもショーカークオリティでメイクされており、非常にクリーンな仕上がりだ。
ディーゼルエンジンのドラッグスターも登場
ディーゼルエンジンのドラッグスターも登場

ディーゼルエンジンのドラッグスターも登場

トラック用のディーゼルエンジンに巨大なターボを装着したドラッグスターも存在する。今のところ7秒台が最速タイムらしいが、PDRA(PRO DIESEL RACERS ASSOCIATION)という団体があることに驚く! CO2排出量の少なさで注目の高まるディーゼルエンジンだが、このドラッグスターは冗談のように黒煙を吐きまくって加速する強烈マシン。しかしこうした出力の追求は、将来的に技術貢献しなくもないだろう。
最高速仕様プリウス!
最高速仕様プリウス!

最高速仕様プリウス!

2004年のボンネビル・ナショナル・スピードウィークに参加し、約210キロという記録を打ち立てたプリウスの速度記録マシン。レース用タイヤと空気抵抗低減のためのムーンディスク、そして室内に張り巡らされたロールケージが物々しい。USトヨタ主導によるこのチャレンジは、燃費ばかりが話題になるプリウスに、新たな可能性を見せてくれた。しかし何よりシャコタンが意外とカッコイイ!

written by ポルノ鈴木