達人「松下 宏」が斬る!
職業:自動車評論家
中古車の業界誌から自動車誌の編集者を経て、自動車評論家に。誰でも買える価格帯であり、小さくて軽く、そして燃費がよいということを信念として評論。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員としても、その信念は変わらない。そのため、大本命といわれている車種さえ外して...
エクステリアデザインはもちろん搭載エンジンも変更された
日産の高級車フーガが発売されたのは2004年10月。発売から3年ほど経過した昨年12月に初めてのマイナーチェンジ受けた。それもけっこう大幅な変更だ。前後のデザインはリヤのコンビネーションランプの形状を大きく変更するなどボディプレスにも変更が加えられたし、搭載エンジンもスカイラインクーペに搭載したのと同じVQ35HR/VQ25HRエンジンが新たに搭載された。さらに最新の安全装備を採用するなど、かなり意欲的なマイナーチェンジとなった。
今回は最新の安全装備であるインテリジェントペダル(ディスタンスコントロール)やインテリジェントクルーズコントロールを中心に試乗による確認を行った。
まずインテリジェントペダルだが、これはクルーズコントロールを使って走行中、前方のクルマとの距離が接近すると、アクセルペダルを戻す方向に力が加わって、ドライバーにアクセルからブレーキへの踏み替えを促すもの。アクセルペダルから足を離せば、さらにブレーキを働かせる制御が加わる。
このアクセルペダルへの反力は車間距離の接近具合によって2段階に切り換えられるとのことだが、はっきり感じられる形で発生してくるので、ドライバーは自然にペダルを踏み変えようという感じになる。
自動ブレーキの制御は前方のクルマが完全に停止したときには、完全にクルマを停止させるところまで働くので、安全性はより高められた。
もうひとつのインテリジェントクルーズコントロールは、クルーズコントロールを使って高速道路などを走行しているとき、前方にカーブが迫ってくると、カーナビとの協調によってカーブを認識して手前から速度を落とす仕組み。すでにトヨタのナビAIシフトなどで同様の機能が備えられているが、トヨタの方式はエンジンブレーキを効かせるところまで。今回のフーガの方式では通常のブレーキも働かせて速度を制御する。
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専用の足まわりは安定感あるハンドリングを実現!
今回はテストコースでの比較的小さなカーブを曲がるような設定で試したので、時速100kmから60kmや50kmへと自動的に速度を落として安全にカーブを抜けていくことができた。
実際には、もう少し高い速度でも走れるなと感じさせるくらいに安全マージンを確保して機能するのだが、幅広いユーザーに対応しようとするとこうした設定になるのだろう。
インテリジェントペダルもインテリジェントクルーズコントロールも、どちらも基本的にドライバーの意志が優先する。この機構が速度を落とそうとしても、ドライバーがアクセルを踏み続けるなどの操作をすれば、その操作のほうが優先されて制御はキャンセルされる仕組みだ。
自動的にブレーキを働かせたりするのは、クルマの完全な自動運転への道を歩んでいるような一面もあるのだが、単純に自動化を目指したのではなく、あくまでもドライバーを主体にしたシステムとされていることが基本としてある。このような安全装備がだんだんに進化していくことで、クルマの安全性が高まっていくことになる。
やや残念なのは最新の安全装備であるため価格的にはまだまだ高めの設定となること。インテリジェントペダルだけで12万6000円もするから、装着するかどうかはちょっとした悩みになりそう。ただ、500万〜600万円級のフーガを買うユーザーにはそう大きな負担とはいえないので積極的に装着すれば良いと思う。装着率が高まれば、ほかの車種にも展開され、結果として価格が下がることになるはず。大いに期待しておきたい。
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代表グレード
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350GT
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ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高)
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4930×1805×1510mm
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車両重量[kg]
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1700kg
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総排気量[cc]
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3498cc
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最高出力[ps(kw)/rpm]
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313ps(230kw)/6800rpm
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最大トルク[kg-m(N・m)/rpm]
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36.5kg・m(358N・m)/4800rpm
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ミッション
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5速AT
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10・15モード燃焼[km/l]
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9.3km/l
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定員[人]
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5人
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税込価格[万円]
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451.5万円
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レポート
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松下宏
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写真
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佐藤靖彦
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フーガのカタログ情報
- 平成21年11月(2009年11月)〜令和4年8月(2022年8月)
- 新車時価格
- 399.0万円〜626.3万円
フーガの在庫が現在9件あります
以下車両の保証内容詳細は画像をクリックした遷移先をご確認ください。