いよいよ決戦の幕開けだ!
2008年1月24日、いよいよ決戦の幕開けだ。スズキから新型軽ハイトワゴン「パレット」が、遂に正式に発表された。同社の人気No.1モデル「ワゴンR」に比べさらに背が高く、またスペース効率を高めた四角いキャビンと組み合わせることで、クラスを超えた広々空間を持つ新ジャンルのモデルが生まれた。
しかしこの新ジャンルをもともと”創造”したのは、誰あろうライバルメーカー「ダイハツ」だった。
03年秋デビューの初代「タント」は、その驚愕のスペース効率の高さがファミリー層を中心に熱い支持を受け、瞬く間にヒット作となり、新たな市場を開拓していったのだ。
それから遅れること4年余り、No.1メーカーのプライドと意地が遂にぶつけられる。もちろん正式な発表があったワケではないが、それがズバリ「タント」対抗車だということは、誰の目にも明らかである。
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既に07年秋の東京モーターショーにおいて、ほぼ市販版と変わらない姿で参考出品されていたこのパレット。同じ会場内で、2代目となる新型タントもやはり参考出品の状態で展示していたのは、単なる偶然ではなく「必然」!? なおダイハツは、その後先行して07年12月末に市販版を投入しているのはご存知の通りだ。
さて、今までの軽の広さでは飽き足りないユーザーたちを満足させるのは、果たして「パレット」と「タント」のどちらか! 新型タントとの比較も交えながら、順を追って紹介してゆこう。
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“両側”スライドドアがアドバンテージ
パレットのボディサイズは、全長x全幅x全高が3395x1475x1735mm(FF車)。タントも全高が15mm高いだけで同寸だ。共に車幅に対して車高のほうが圧倒的に高く、見た目にも不安定な印象を与えてしまうこのレイアウトを、エクステリアデザインでどのようにフォローしているか。その手法の違いをチェックしてみよう。
パレットは、ドーンとデッカくボディサイドまで大胆に回りこませたツリ目異形ヘッドライトと、四角く立派なグリル&ロアグリルを持つ。つまり大きな「顔」を持たせることで、見た目のアンバランス感を和らげているのだ。それに対し、細くて横長なヘッドライトとフラットなボンネット、それに対しバンパーを分厚く配置し、さらに側面にかけて低めのキャラクターラインを配することで、より低重心な印象を与えようとするタント。
リアビューについても、パレットは立体的な造型とすることで平板かつ単調な印象を解消しているのに対し、タントはシンプルな路線ながら、品質感にも気をつかった印象。両車は同じハイトワゴンのコンセプトをベースにしながら、随分と異なるデザイン手法を使ってきたことが判る。
サイドから見ると、フロントウィンドウの付け根はタントのほうがより前進しているが、基本的なフォルムは良く似ている。大きな違いはドアだ。共に後席左右ドアともスライドドアを配するのがパレット。それに対しタントは、運転席後ろの席は通常のヒンジドア、助手席側はピラーレス&スライドドアによる “ミラクルオープンドア”を採用する。確かにミラクルなのだが、果たして前後ドアを同時にガバっと開けることがどれほどあるのかというと、ちょっと疑問。なお後席スライドドアの開口部はパレットもタントも共に、偶然にも580mmと同寸! 実のところ、両側にスライドドアがあるパレットのほうが実用的ではないだろうか。
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新設計の低床プラットホームを採用!
新型パレットのために、スズキは新たな低床プラットホームを採用した。その効果を数値で見てみよう。
乗降性に大きく関係するリアステップ地上高はパレットが340mm。その低さは軽トップクラスだ。それに対しタントは370mmとやや高い(ともに2WD車)。室内高もパレットの1365mmに対し、15mm車高が高いはずのタントが1335mmと30mmほど劣る。天地方向の広さは、パレットに軍配が上がる。
いっぽうホイールベースはパレットが2400mm。タントは2490mmと、こちらはタントがアドバンテージを取る。室内長はパレットが2025mm、タントは2160mmとやはり優勢だ。
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荷室の使い勝手も重要だ。特に重い荷物を持ち上げ積み込むときなどは、その高さが使いやすさの鍵となる。パレットの荷室開口部の地上高は535mm。荷室の床面地上高は525mmだ。方やタントは595mm(荷室地上高)と、こちらもパレットの低床プラットホームが功を奏したようだ。
※各寸法は各社調べ
と細かい比較をしたものの、そもそも他の軽自動車に比べパレットもタントも、共に圧倒的に広い空間を有していることでは他に類を見ない。まずは新車ディーラーで実車をチェックし、その凄さを体感して欲しいところだ。
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ノンターボとMターボの2機種を用意
パレットは、K6A型 直列3気筒660cc DOHC 12バルブ VVT エンジンの2機種を搭載する。ベーシックな54ps版ノンターボ車(NA)と、60psのインタークーラー付きMターボ車が用意され、全車、インパネシフトタイプの4速ATと組み合わされる。前者は10.15モード燃費20.0km/L(FF車)、後者は18.6km/Lをマークする。
いっぽうライバルのタントは、ノンターボ車の58ps版が「タント」「タントカスタム」共に搭載され、CVTか4ATと組み合わされる。そのほか「タントカスタム」にのみ、64psのハイパワーターボエンジン+CVT仕様も用意する。前者は20.5km/L(CVT)、後者は19.2km/Lの低燃費を誇る。パレットにはハイパワーの高性能版がなく、タントには実用性重視のマイルドターボ車の設定がないことが大きな違いである。
なお環境性能では、パレットのノンターボ版(FF)車が平静17年排出ガス基準75%低減レベル☆☆☆☆と、平成22年度燃費基準+10%を達成し、グリーン税制に対応する。タントもノンターボ+CVT(FF)車がやはりグリーン税制に適合している。
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2タイプ計5グレードを用意
タントがベーシックな「タント」とエアロ仕様の「タントカスタム」という、明確に分かれた2ラインナップで構成されるのに対し、パレットは明確に車名で標準タイプとエアロタイプが区分けされているワケではない。
エアロタイプは、前およびサイドのアンダースポイラー・リアスパッツ・ルーフエンドスポイラーなどのエアロパーツが装備されるほか、フロントメッキグリルやディスチャージヘッドランプ、LEDサイドターンランプ付ドアミラーなどが加えられる。インテリアも、標準タイプのベージュ色に対しブラックで統一される。
ラインナップは、2タイプで計5グレードを用意。標準タイプがベーシックな「G」と上級「X」(※4WD車のみターボエンジン搭載)、エアロタイプが「XS」とターボエンジンの「T」と「TS」。XSがFFのみの設定で、残りの4グレードには4WD仕様も設定される。
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タントが標準で4タイプ、タントカスタムで4タイプと多彩なバリエーション展開をするのに比べると、ちょっとあっさりとした構成でまとめてきた感もある。 ただしスズキでは過去に、MRワゴンに「ウィット」を、セルボに「SR」と、エクステリアなどが異なる派生モデルを後から追加する例も多い。したがってパレットも、今後何かしら新しいバリエーション追加が行われる可能性もある。もちろん、現時点ではもちろん何の発表もないので念のため。
さてこうして比べてみると、似たようなコンセプトを基本としながらも実際にはパレットとタントとで、随分と異なる点があることがわかる。その個性の違いをユーザーがどのように受け止めるか、その勝敗の行方は気になるところだ。
発売開始は1月30日。新型パレットの価格は、「G」(FF)の1,113,000円から「TS」(4WD)の1,693,650円まで(共に消費税込み)。月販目標台数は6000台。
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( PHOTO:和田 清志・スズキ・CORISM編集部/レポート:徳田 透(CORISM編集部) )
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代表グレード
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パレット X(FF・NA)
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ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高)
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3395x1475x1735mm
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車両重量[kg]
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910kg
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総排気量[cc]
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658cc
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最高出力[ps(kw)/rpm]
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54ps(40kW)/6500rpm
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最大トルク[kg-m(N・m)/rpm]
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6.4kg-m(63N・m)/3500rpm
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ミッション
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4速AT(インパネシフト)
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10・15モード燃焼[km/l]
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20.0km/L
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定員[人]
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4人
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消費税込価格[万円]
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123.9万円
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発売日
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2008年1月30日
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レポート
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CORISM編集部 徳田 透
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写真
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和田 清志/スズキ/CORISM編集部
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パレットのカタログ情報
- 平成20年1月(2008年1月)〜平成25年2月(2013年2月)
- 新車時価格
- 111.3万円〜169.4万円
パレットの在庫が現在11件あります
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