初期のプリウスは燃費を徹底的に追求した結果、絶対的な動力性能が不足気味になるなど未完成な部分も多いクルマであった。そんなことからハイブリッドに対し「燃費良いけれど遅い」というイメージを未だ持っている人も少なくないようだ。けれど03年秋に登場した2代目からハイブリッドシステムを大幅に改良。動力性能と燃費も高い次元でバランスさせてきた。実際、追い越し加速性能など、2,4リッターエンジン搭載車と同等。それでいてリッター20以上走ってしまうのだから凄い。モデルサイクル後期に入っているが、販売台数も評価も色褪せていないあたりに実力の高さを感じさせる。
直接的なライバルはシビック・ハイブリッドとなる。しかし、2台を比べてみると動力性能、燃費、スタイリング、室内スペース、コストパフォーマンスなどほとんどの部分でプリウスが大きくリード(乗り心地とハンドリングはシビック・ハイブリッド優勢)。シビック・ハイブリッドに対しては圧勝といっていいだろう。「ハイブリッド」という枠を外し、250万円から300万円あたりで買えるクルマという基準で考えると、VWゴルフもライバルとなる。1.4リッターエンジンにスーパーチャージャーとターボを組み合わせるTSIエンジン搭載車(ワゴンで300万円弱)はプリウスほど低燃費ではないものの、2.4リッターエンジン級の動力性能を考えれば十分納得できる良好な燃費性能を有す。クルマ好きなら迷う価値は大いにある。
せっかくプリウスを選ぶのだから、燃費を重視した15インチタイヤを履く『S』か『G』にするべき、とバイヤーズガイドの度に書いてきた。ただHIDライトが欲しい場合、燃費で不利な16インチタイヤの「ツーリングパッケージ」を選ぶしかないという困った事態になってしまう。そんなニーズに答えましょうと言うことなんだろう。最近設定された特別仕様車『S“10th Aniversary edition”』は15インチタイヤ装着車にHIDライトが付く。さらにHDDカーナビや姿勢制御装置S−VSC、クルーズコントロールも装備されて273万円。このグレードにオプションのサイド&カーテンエアバッグ(6万3000円)を付ければ完璧なプリウスが出来上がる。