現行モデルは、1998年の軽自動車規格改定から2世代目となる新プラットフォームを採用。これによってハイト系ボディは、セルシオ並みの室内長を誇る同社のタントを凌ぐ広い居住性を実現した。前後シートの間隔は、カローラクラスよりも広いのではと感じさせるほどの空間スペースを確保している。175cmのドライバーがゆったりとしたポジションを取っても後席で足を組めるほど、と表現すればイメージできるだろう。さらに室内の質感は高く、軽自動車とは思えないクオリティ。ボディ剛性も高められ、コンパクトカーを凌駕する走りの質感までも達成しているのだ。
ムーヴの強敵といえば、なんといっても同じハイト系ボディを採用するワゴンR。こちらも標準仕様とスポーティ系のRRをラインアップ。さらにちょっと派手目のスティングレーもある。商品ラインアップの充実度では、ワゴンRに歩がある。しかし、ワゴンRのシャシーは、98年の軽自動車規格改定で一新されたものの、現行モデルは、その進化版。この点では、すでに2世代目シャシーとなるムーヴのほうが、居住性はもちろん高剛性ボディによる安心感といった部分では明らかにリードしている。ハイト系ではeKワゴンもライバルになるだろうが、こちらもシャシーをキャリーオーバーしているため、走りの質ではムーヴにアドバンテージがある。ただし、08年にワゴンRはフルモデルチェンジを予定しており、その仕上がり次第では、ムーヴVSワゴンR戦争が激化することだろう。さらにライフも08年にフルモデルチェンジの噂もあり、ますます軽自動車市場が激戦区となるのは間違いないだろう。
先代モデルでは派生グレードだったカスタムシリーズは、じつは主力グレード。現行モデルでは、発売時か標準仕様(3グレード)とカスタム(5グレード)をラインアップしてきた。さらにこのモデルのトピックは、新設計シャシーだけでなくターボ/NAともに新型アルミブロックエンジンを搭載している。ミッションは、標準仕様のL(ベーシックグレード)に5速MTと4速ATが設定されるが、それ以外はすべて4速ATまたはCVTとなる。このように多彩なラインアップのなかでオススメのグレードは、NAエンジンを搭載するカスタムのXリミテッドを推したい。パワーで不利な軽自動車と考えるとターボを候補に入れたくなるだろうが、ムーヴのNAエンジンは高速道路などでもストレスなく走れる実力をもっている。さらに、XリミテッドにはCVTが採用されスムースな走りが可能だ。さらに利便性の高いアイテムが満載され、4速ATのXとの価格差8.4万円を埋めるどころか割安に感じるほどの内容だ。もし、おとなしい外観の標準仕様がお好みというなら、CVTや装備内容から、こちらもXリミテッドが賢い選択だ。