トヨペット店で販売するクルマなのでマークXの名前を冠したのは後付けの話。基本的には新しいコンセプトと新しいパッケージングの提案から生まれたクルマだ。2005年に東京モーターショーに出品されたときには、全高を抑えたパッケージングからオデッセイのライバル車といった印象で受け止められたクルマだが、出来上がった市販車は必ずしもオデッセイ対抗のモデルではなく、セダンにもワゴンにもミニバンにもなるフレキシブルな室内空間を持った特徴的なクルマとして登場してきた。7人乗りの設定まであるのはやや興醒めだが、4/6人乗りとして使うなら面白いクルマである。
マークXジオは新コンセプトのクルマなのでこれといったライバル車はない。強いていえば、全高抑えた3列シート車ということでオデッセイをライバル車として挙げることになるが、全高の低さはともかくほかの部分では必ずしもオデッセイがライバル車というわけではない。
搭載エンジンは2.4Ｌが共通だが、オデッセイのほうが動力性能でやや上回るほか、アブソルート用のエンジンはさらにパワフルな実力を発揮する。スポーティな走りという点では断然オデッセイのほうが上位にくる。逆に快適な乗り心地とラグジュアリーな走りという点ではマークXジオのほうが有利である。3.5Ｌエンジンの搭載車はオデッセイを大きく引き離す実力を持つが、いかにも過剰な印象だ。
はっきり言ってお勧めグレードを指名しにくいのがマークXジオだ。搭載エンジンはV型6気筒の3.5Ｌと直列4気筒の2.4Ｌがあるが、これは当然ながら2.4Ｌで十分。3.5Ｌエンジンはいかにも過剰な印象だからだ。で、装備もほどほどに充実した240Fを選ぼうとすると、2列目シートが3人掛けとなる7人乗り仕様になってしまう。マークXジオのコンセプトに合致した6人乗りを選ぼうとすると、ひとつ上の240Gを選ばなければならなくなるのだ。240Gを選ぶと価格が高くなるだけでなく、タイヤも18インチ仕様になる。これじゃあ後々スタッドレスタイヤを買うときに高くついて困る。そんなこんなで決定的なお勧めグレードが見つからないのがマークXジオである。直列4気筒の2.4Ｌエンジンを搭載し、シート配置は6人乗りで、タイヤは16インチ仕様といったグレードを早期に設定して欲しい。7人乗り仕様がこのクルマに似合わないのは明白である。
トヨタ マークＸジオの試乗記
