AMG E63AMG 走り

達人「松下 宏」が斬る!

AMG E63AMG評価

松下 宏

職業:自動車評論家
中古車の業界誌から自動車誌の編集者を経て、自動車評論家に。誰でも買える価格帯であり、小さくて軽く、そして燃費がよいということを信念として評論。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員としても、その信念は変わらない。そのため、大本命といわれている車種さえ外して...

新エンジン搭載で圧倒的なパフォーマンスを発揮する!

 メルセデス・ベンツのAMG仕様は少し前まではV型8気筒の5.5Lエンジンを搭載したものだったが、最近ではV型8気筒の6.3Lエンジンへの変更が進められており、各モデルとも新エンジンを搭載するようになっている。東京モーターショーの会場では新しいCクラスをベースにしたC63AMGが発表されたが、Cクラスにまで6.3Lエンジンを搭載するというのだから、これはもう無茶苦茶といえるくらいだ。
 Eクラスにとっても6.3Lエンジンの性能が過剰であるのは変わらない。EクラスのAMG仕様では従来の5.5Lエンジンの時代にはSOHC+スーパーチャージャー仕様のエンジンを搭載していたが、今回試乗したE63AMGステーションワゴンでは自然吸気のDOHCエンジンとしている。スーパーチャージャーはターボと違って低速域からでも効くのがメリットだったが、それでも過給器付きのエンジンと自然吸気エンジンとでは走りのフィールに大きな違いがある。やはり自然吸気エンジンのほうが吹き上がりがスムーズで人間の感覚に合った感じなのだ。
 燃費性能は、排気量が大きくなったことで10・15モード燃費が5.5Lエンジンの6.1km/Lから5.5km/Lに下がっているが、10・15モード燃費を測定するときの走行パターンではなく、高速道路などで元気良く走るようなときには、自然吸気になった6.3Lエンジンも同等以上の燃費性能を発揮できるはず。
 6.3L387kWのパワーは馬力に換算すると514psにも達しており、630N・mのトルクと合わせて豪快な加速フィールを味わわせてくれる。試乗時に雨が降っていたこともあり、この日はそのパワーを存分に味わうことはできなかったが、同じエンジンを搭載した別のモデルには試乗しており、このエンジンの実力は確認済みだ。

AMG E63AMG フロント
専用のエアロはさりげないデザインながら、とkべつなもデルであることを感じさせてくれる。
AMG E63AMG リヤ
ディフューザー風のリヤバンパーがとてもスポーティ。4本出しのマフラーもハイレベルな走りを想像させる。
AMG E63AMG リヤコンビランプ
E63のエンブレムが誇らしげに装着されている。派手な演出は少ないが、車格に見合ったさりげなさが魅力だ。
AMG E63AMG 18インチホイール
前後異サイズの18インチタイヤ&ホイールを装着する。硬めの乗り心地だが、コーナーでの安定感は抜群だ。
AMG E63AMG 6.3リッターエンジン
6.3リッターのNAエンジンを搭載する。500ps以上のパワーと圧倒的なトルクにより、豪快な加速が味わえる。
AMG E63AMG フロントマスク
基本的なデザインに大きな変更はないが、前後バンパーをはじめ数々の専用アイテムが奢られている。

専用の足まわりは安定感あるハンドリングを実現!

AMG E63AMG 走り

 AMGモデルでは7Gトロニックの変速制御が余分な変速を抑えた専用のプログラムに基づいたものになるし、パドルシフトを操作してステアリングから手を離すことなく容易に変速操作ができるので、単に豪快なだけでなく見た目以上にスポーティで軽快な走りが可能になる。
 足回りは相当に硬めの印象だ。AMG専用にチューンされたAIRマテックDCサスペンションは、乗り心地も決して悪くはないが、荒れた路面や段差を超えるときなどは相当に硬いという印象を受ける。ローダウンされたサスペンションや18インチの前後異サイズタイヤによって、操縦安定性のレベルはとても高い。コーナーなどでも姿勢を乱すことなく、安定した姿勢で駆け抜けていくことができる。
 E63AMGステーションワゴンには1500万円近い価格が設定されていて、E300ステーションワゴンを買うのに比べるとざっと2倍くらいの予算が必要になるが、それにふさわしいくらいのパフォーマンスを備えたモデルであるのは確か。これだけのパフォーマンスを発揮できるシーンが日本にはないので、特にお勧めできるモデルではないが、パフォーマンスに魅力を感じる人は間違いなくいるだろう。

AMG E63AMG インテリア
AMG専用のステアリングやメーター、そしてシルバーアルミのパドルシフトなど、パフォーマンスの高さを感じさせるアイテムが満載だ。
AMG E63AMG フロントシート
ショルダー部にアルカンターラを採用した専用の本革シートは再度サポートなどを細かく調整可能で、スポーティな走りにも対応したもの。
AMG E63AMG リヤシート
リヤシートは居住性も高く、足元スペースやヘッドクリアランスにも余裕がある。シートの手触りはとてもよく、高級感が感じられる。
AMG E63AMG シフト
マニュアルモード付きの7速ATを採用。パドルシフトも可能でスポーティな走りが味わえる。ショックの少ない滑らかな走りを実現している。
AMG E63AMG メーター
メーターは320km/hまで刻まれた専用品を装着する。さりげない演出だが、高いポテンシャルを想像させてくれる。
AMG E63AMG ラゲッジ
ラゲッジスペースは十分な広さを確保している。これだけの実用性と圧倒的なパフォーマンスを両立させたのはさすがだ。
代表グレード
E63AMGステーションワゴン
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高)
4920×1820×1500mm
車両重量[kg]
2020kg
総排気量[cc]
6208cc
最高出力[ps(kw)/rpm]
514ps(378kw)/6800rpm
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm]
64.2kg・m(630N・m)/5200rpm
ミッション
7速AT
10・15モード燃焼[km/l]
5.5km/l
定員[人]
5人
税込価格[万円]
1460.0万円
レポート
松下宏
写真
佐藤靖彦
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