ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

エントリーグレードCLA180、スポーツモデルAMG CLA35 を新導入

メルセデス・ベンツは、流麗なボディラインをもつ4ドアの「CLA」とワゴンの「CLAシューティングブレーク」に、エントリーモデルとなる「CLA180」新設定。

さらに、 公道での気持ちの良いドライビングに焦点を当てたハイパフォーマンスモデル 「メルセデスAMG CLA35 4MATIC(以下CLA35)」も新設定し発売を開始した。

メルセデス・ベンツCLAは「Sensual Purity(官能的純粋)」というデザインの基本思想に基づき、ラインやエッジを大幅に削減した。

輪郭など、シンプルな造形でありながら、流麗、かつ、力強さも表現したエクステリアデザインと、高い質感と若々しさを感じさせるインテリアデザインを採用したモデルだ。

CLAは、4ドアクーペなどと呼ばれるタイプのモデル。
クーペのように流麗なルーフランを持ちながら、セダンの使い勝手の良さをあわせ持つ。

最近では、こうしたデザインが流行りで、多くのセダンがこうしたテイストを採用している。

CLA180には1.3L直4ターボエンジンを搭載、残念な安全装備設定

新しく設定されたメルセデス・ベンツCLA180には、1.3Lの「M282」エンジンを搭載。
このエンジンは、先代モデルから14ps向。最高出力136ps(100kW)、最大トルク200N・mを発生する。

このエンジンの特徴は「デルタ形シリンダーヘッド」。
その名前が示すように、シリンダーヘッドが三角柱を横に寝かした形状となっている。
通常のシリンダーヘッドに比べると、装着時の高さがあるが、幅や重さが小さくなり、軽量化、省スペース性が向上する。

組み合わされたミッションは、7速デュアルクラッチトランスミッション「7G-DCT」。
ダイレクトな変速を実現しながら、振動も抑える優れたセッティングが施された。

CLA180の価格は446万円だ。すでに発売済みのCLA220dが472万円なので、26万円安となる。

このCLAシリーズを購入する場合、注意点がある。
CLA180、CLA220d、CLA250には、歩行者検知式自動ブレーキを含む、メルセデス・ベンツの予防安全装備パッケージ「レーダーセーフティパッケージ」がオプション設定なのだ。

日本では、今や軽自動車でも標準装備が当り前になってきているだけに、メルセデス・ベンツという高級車ブランドで、安全装備パッケージがオプションなのは、かなり物足りない。

CLAを購入する場合は、忘れずにレーダーセーフティパッケージを選択したい。

さり気なくハイパフォーマンスモデルであることをアピールするCLA35

そして、公道でより扱いやすいスポーツモデルでとして投入されたのが「メルセデスAMG CLA35 4MATIC(以下CLA35)」だ。

CLA35系のエクステリアは、メルセデス・ベンツのAMGラインをベースとして、標準モデルとは差別化されたパフォーマンスの高さを感じさせるデザインとなっている。

フロントには、メルセデスAMG特有のツインブレードを備えたフロントグリルを採用。
専用のシルバークロームのフロントスプリッターや左右エアインテーク部にはシルバークロームの水平フィンが2本ずつあしらわれ、その外側にフリックが採用されている。

標準車に対して、それほど大きく変化した印象は少ないが、精悍さは増している。ハデハデしくない大人のデザインだ。

リアまわりは、CLA35がトランクリッドスポイラーを、CLA35 4MATICシューティングブレークにはルーフスポイラーを装着。

専用デザインの大型リアディフューザーとクローム仕上げで円形のデュアルエグゾーストエンドが組み合わされ、さり気なくハイパフォーマンスモデルであることを主張している。

インテリアも同様に高いパフォーマンス感じさせるスポーツマインドあふれる仕様となった。コックピットディスプレイは「スーパースポーツ」を含む3つのAMG専用の表示スタイルから選択可能。

オプションの「AMGパフォーマンスパッケージ」を選択すると、フラットボトム型のナッパレザー/DINAMICAの「AMGパフォーマンス ステアリング」が装着される。
グリップ部にDINAMICAを採用し、やや古典的だがレッドコントラストステッチとブラックのステアリングマークが入る。

このステアリングホイールには、スポーツドライビングを想定し、手を離さずに走行モードを変更することができる「AMGドライブコントロールスイッチ」が装備された。
右側のスポークの根元に位置するボタンを操作することによって、AMG DYNAMIC SELECTの走行モードなどを選択可能だ。

標準のフロントシートは、ヘッドレストとバックレストが一体化したセミバケットタイプ。
高Gでのドライビング時でも、ドライバーの体をしっかりと受け止める。

AMGパフォーマンスパッケージでは、さらにスポーツドライビングに適したサイドサポートが高い、メルセデスAMGのトップモデルに採用される「AMG パフォーマンスシート」が装着される。

直4 2.0Lターボを搭載し、306ps&400Nmを発揮

CLA35には、2.0Lの直列4気筒ターボエンジン「M260」が搭載された。

このエンジンの最高出力306ps(225kW)、最大トルク400N・m。
低回転域での力強くて自然なレスポンスと、中高回転域での伸びやかな加速感を両立するために、ツインスクロールターボチャージャーや可変バルブリフトシステム「CAMTRONIC(カムトロニック)」を採用した。

ミッションは、AMGスピードシフトDCTの7速デュアルクラッチトランスミッション。俊敏かつダイナミックで気持ちの良い加減速を実現。

また、エグゾーストシステムには自動制御のフラップを装備。選択したドライブモードに応じてサウンドが異なり、ドライバーの感性を刺激する。

このハイパワーエンジンに合わせて、CLA35のボディは標準車と比べて大幅に強化された。
フロントセクションには、ねじれ剛性を強化するためアルミニウムのプレートをエンジンルーム下部に設置。また、アンダーボディ前部に2本のブレース追加しねじれ剛性を高めている。フロントサスペンションはマクファーソンストラット式、リアはマルチリンクサスペンション採用している。

オプション装備の「AMG RIDE CONTROLサスペンション」では、3つのサスペンションを制御からドライバーが好みのモードを選択することができる。

ブレーキも当然強化されている。
フロントには新型モノブロック対向4ピストンキャリパーと350mmディスク、リアには1ピストンフローティング キャリパーと330mmディスクを搭載。ディスクはドリルドベンチレーテッドタイプで、熱の発散を高める。

4WDを採用しトラクション重視!

最近のAMGモデルは、積極的に4WD化された。
これは、ハイパワー化により2輪駆動で最適なトラクションを得ることができないからだ。
CLA35もFF(前輪駆動)では306ps&400Nmという大出力をしっかりと路面に伝えることができない。

CLA35は電子制御式のフルタイム4輪駆動システムを採用。
パフォーマンス志向のトルク可変配分4輪駆動AMG 4MATICとなる。

トルクの前後配分は、状況に応じて連続可変制御され、トルク配分比は、前後100:0から50:50までの範囲で変化する。

横滑り防止装置であるESPがONの場合は、4MATICシステムは「コンフォート」モードに固定されている。

「ESP SPORT Handling」または「ESP OFF」を選択すると、すぐに4MATICが「スポーツ」モードに切り替わり、敏捷性を高める設定となる。

メルセデス・ベンツCLA価格、スペック

・CLA180:4,460,000円
・メルセデスAMG CLA35 4MATIC:6,850,000円
・CLA180シューティングブレーク:4,570,000円
・メルセデスAMG CLA35 4MATIC シューティングブレーク:6,950,000円


■燃費、ボディサイズなどスペック
代表グレード:メルセデスAMG CLA35 4MATIC

・全長×全幅×全高:4,695×1,835×1,405mm
・ホイールベース:2,730mm
・車両重量:1,600kg
・最高出力 :306ps(225kW)/5,800~6,100rpm
・最大トルク:400N・m(40.8kg・m)/3,000~4,000rpm
・エンジン:M260型直列4気筒DOHCターボ
・総排気量:1,991cc
・WLTCモード燃費:12.4㎞/L
・駆動方式:4MATIC(4WD)
・トランスミッション:7速DCT