達人「松下 宏」が斬る!
職業:自動車評論家
中古車の業界誌から自動車誌の編集者を経て、自動車評論家に。誰でも買える価格帯であり、小さくて軽く、そして燃費がよいということを信念として評論。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員としても、その信念は変わらない。そのため、大本命といわれている車種さえ外して...
スポーティなエクステリアと上質なインテリア
スペシャリティ色の強い独特の性格を持つスズキのセルボに、直噴ターボ仕様のエンジンに無段変速のCVT組み合わせたセルボSRが追加設定された。これまでのセルボに搭載されていたのは44kW(60ps)仕様のMターボで、4速ATと組み合わされていたが、今回はよりパワフルな47kW(64ps)仕様の直噴ターボが搭載され、さらにCVTと組み合わされた。この組み合わせは国産車で唯一のものだ。
セルボSRにはほかに、専用の前後エアロバンパーやフロントグリルのほかディスチャージヘッドライトを採用するなどして外観の差別化を進めた。インテリアもピアノブラック調のパネルやシルバーステッチの本革巻きステアリングなどによって質感を高めたほか、セットオプション装着車には本革&人工皮革シートやオートライトが設定されている。
そもそもセルボはスズキの軽自動車の中でスペシャリティカーとして位置付けられるモデルだったが、搭載エンジンや内外装の仕様向上によって、そのセルボにふさわしい最上級グレードが追加設定されたことになる。
軽自動車の上限に達する47kW(64ps)を発揮する直噴ターボだけに、動力性能については余裕十分の実力を持つ。吹き上がりも良く一直線にパワーが伸びていく感じがある。組み合わされるCVTの変速フィールも上々のレベルで、ショックのないCVTならではの加速感が味わえる。
CVTには7速マニュアルモードが設定されていて、シフトレバーを前後に動かすだけでマニュアル車感覚の走りが可能になる。この操作をしたときのレスポンスも不満はない。
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NAモデルを凌ぐ低燃費を実現した!
直噴仕様のインタークーラー付きターボエンジンにCVTを組み合わせたことで、セルボSRは燃費性能も高いレベルにある。10・15モード燃費で23km/Lというのは、平成22年燃費基準に対して20%プラスの数字であり、軽自動車として優れた数字である。MターボのT系や自然吸気エンジンを搭載したG系よりも優れた燃費なのだ。
足回りについてはちょっと柔らかすぎる印象を受けた。ステアリングを切り始めたときのロールの挙動がちょっと早めに出るため、これが柔らかすぎる印象につながっている。ロールした状態ではそれなりに受け止めてくれる感じがあり、コーナーを抜ける姿勢は安定している。セルボが発売された当初、足回りが硬いとの指摘が多かったそうで、それに対応して今回は乗り心地にも配慮した味付けにしたとのことだ。
電動式パワーステアリングは小径のステアリングがキビキビした操舵感を実現しているが、状況によってわずかにフリクションを感じさせる部分があり、さらに滑らかさなフィールを望みたいところ。
軽自動車では安全装備のABSがオプション設定にされてしまいがちだが、このセルボSRでは全車に標準装備されている。ただ、ベースのセルボではG、GリミテッドのFF車ではオプション設定とされているので、このあたりは標準装備化を望みたい。
車両価格はベース車で140万円台に乗り、試乗したセットオプション装着車では147万円の設定になる。フィットなどのコンパクトカーの売れ筋グレードが110万円台にあることを考えると相当に高いのは確か。ただ、フィットでも1.5L車は150万円台の後半なので、それに比べると10万円ほど安い。このあたりがやや微妙ところといえる。
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代表グレード
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SR
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ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高)
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3395×1475×1535mm
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車両重量[kg]
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820kg
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総排気量[cc]
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658cc
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最高出力[ps(kw)/rpm]
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64ps(47kw)/6500rpm
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最大トルク[kg-m(N・m)/rpm]
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10.5kg・m(103N・m)/3500rpm
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ミッション
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CVT
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10・15モード燃焼[km/l]
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23.0km/l
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定員[人]
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4人
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税込価格[万円]
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141.75万円
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発売日
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2007/10/16
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レポート
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松下宏
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写真
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佐藤靖彦
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セルボのカタログ情報
- 平成18年11月(2006年11月)〜平成21年12月(2009年12月)
- 新車時価格
- 99.5万円〜154.6万円
セルボの在庫が現在1件あります
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