さまざまなワックス拭き取り布

 最終仕上げ作業である、「固形ワックスの正しい掛け方」をお伝えしようと思っていた矢先、大切なことを忘れておりました。今回は地味〜な内容ですが、ワックス拭き取り用の『布』についての話です。
 この拭き取り作業は、ヒジョウーに重要でいくら高級ワックスを塗布したとしても、拭き取りが中途半端では、性能を発揮できないばかりかムラの原因になりかねません。
 拭き取り布は、塗装面に塗布したワックスの余剰成分を除去し、均等な皮膜を形成。最終的に硬化をはじめた皮膜をさらに均等仕上げを行い、乱反射のない光沢を生み出すために、布の繊維の目を変えながら仕上げていきます。
 ここでは、拭き取り作業に必要な布を順をおって紹介していきます。「えっ?お年賀用タオルじゃダメなの?」そんなことを言っていますと、デリケートな塗装面にキズを刻んでしまいますよ・・・。

セレクト1 余剰成分を掻き取るやや目の粗いもの

やや目の粗い荒拭き用の拭き取り布

 ワックスを塗布して、軽く乾燥した時点(生乾き)で大まかに拭き上げる際に使用します。布の使い方としては、余剰成分を伸ばしながら、掻き取っていきます。ワックスを掻き取りやすいように布の表面に凹凸があり、作業性に優れています。もちろん、塗装へのタッチは優しく、非常に柔らかい素材です。
 価格は500円前後で各メーカーから発売されております。

セレクト2 ワックス皮膜をムラなく拭き取る極細布

ワックスをムラなく拭き取る布

 塗布したワックス皮膜をムラなく均等に拭き取り、塗装面保護に有効な皮膜だけを定着させる極細布です。ステップ1の布地より繊維の目が細かく、さらに柔らかいものになっています。一般的には、この布での拭き取り作業でフィニッシュですが、極上の艶を得るためには更なる拭き上げが必要となります。
 価格は極細繊維のもので1000円前後で入手できます。

セレクト3 眼鏡用クロスと同等の超極細繊維で艶に冴えを与える

超極細繊維で艶をさらに極める

 塗装面に形成されたワックス皮膜を平坦化し、光の乱反射を抑え、鏡面のような艶を再現するために使用します。塗装面を擦るのではなく、あくまで滑らすような感覚で作業を行います。髪の毛よりはるかに細かい繊維は、眼鏡や光学機器のお手入れ布と変わらないほどで、価格も一枚2000円前後と高価ですが、驚くほど深みのある艶を出すことが出来ます。

セレクト4 天然鹿革セームで最終仕上げ

鹿革セームで最終仕上げ

 「まだ拭くの?」と突っ込みを入れられそうですが、ワックス皮膜というのは、空気と触れることで硬化をしていきます。硬化し始めた皮膜は、収縮などをすることで新たなムラを発生することがあります。最終的な艶を作るために、天然鹿革のセームを使い、硬化し始めた皮膜を均等化させます。この最終的な拭き上げ作業は、ワックス塗布から2時間後くらいが理想ですが、風のある日などは埃の付着が避けられないため、オススメできません。作業は無風の日、もしくは室内での作業が理想です。
 ちなみに良質の天然鹿革セームは一枚3000円前後と高価ですが、合成繊維にはない独特の風合いが、塗装面に優しく、さらなる艶を与えるのに最適です。

 いよいよ、最終仕上げの『至福のワクシング』作業を近日お伝え予定です。その前に、必須アイテムである拭き取り用の布を紹介しました。実は、これらの布を使い分けることで、ワックスの性能を最大限に引き出すことが出来るんです。ぜひ、参考にしてみてください。

written by 外川 信太郎