圧倒的なパワーにも負けない足まわり
3.5Lの2GR-FE型エンジンと組み合わされるのは電子制御6速ATで、シーケンシャルモード付きとなるほか、ステアリングの裏側のパドルによる操作も可能だ。駆動方式はFFのみで4WD車は設定されていない。
このV型6気筒はツインインジェクターでオーバー300psを発生するレクサス用のエンジンとは仕様が異なるが、それでも3.5Lという排気量の余裕を生かして自然吸気で280ps/35.1kg-mの動力性能を発揮する。V型6気筒エンジンを搭載したことなどによって車両重量が80kgほど増加したものの、従来の直列4気筒2.4Lエンジンに比べたら1.5倍以上の動力性能だから、余裕十分という以上に余裕の走りが味わえる。
試乗する前は強大なパワー&トルクを2輪だけでうまく路面に伝えられるのかどうかが心配になるほどのスペックだったが、実際に走らせた印象は意外なくらいに穏やかなものだった。もちろん発進時にラフにアクセルを開ければ、すぐにトラクションコントロールが効きだすくらいにパワフルな実力を持つものの、普通に走らせようとすれば、とてもスムーズな走りが可能だからだ。
上質な乗り心地を実現する絶妙なサスセッティング
余裕ある動力性能によって、アクセルを深く踏み込むことなく、力強い加速感が滑らかに盛り上がっていく。ほかのクルマではあまり感じられないような独特の加速フィールが味わえる。そして積極的に走りを楽しもうとすれば十分に速い。今回は台風の影響で高速道路での試乗ができない環境だったが、一般道でもマスターGの速さは十分に体感できた。
乗り心地の良さも特筆されるポイント。標準のブレイドも後輪にダブルウィッシュボーン式のサスペンションを採用することで優れた乗り心地を示していたが、マスターGでもその乗り心地良さはスポイルされていない。適度な手応えがあって滑らかな操舵感を感じさせるステアリングのフィールと合わせ、シャシーの性能もエンジンの性能と同様に質感の高いものとされている。
ブレイドに3.5Lもの大排気量エンジンが必要かどうかは疑問の余地も十分にあるが、走らせた印象はとても好ましいもので、こんなクルマがあっても良いなというものだった。
●お勧めグレード
マスターとマスターGでは、オプション価格が30万円以上のプリクラッシュセーフティシステムやレーダークルーズコントロールの有無の違いがあるため、価格差が50万円にも達している。これだけ価格差があると上級グレードは進めにくいが、ブレイドではマスターGを選んでも良いと思う。予算に余裕があるならマスターGがお勧めだ。