新型エクストレイルディーゼル車

2リッターで360Nmって、すごくないですか?

 日産の先進技術説明会で2008年秋に発売されるという新型エクストレイルのディーゼルエンジン車に乗ることができた。試乗したクルマは、すでにヨーロッパでは発売されてヨーロッパの排ガス規制であるEuro4に対応した新型エクストレイルのイギリス仕様だ。
 この新型エクストレイルに搭載されているM9R型エンジンは、ルノーと共同開発したもの。排気量は2リッターでMTとATでエンジンのスペックが若干違う。MTが173ps&360Nmで、ATが150ps&320Nmとなる。ちなみにAT車は日産では恐らく初の6速ATとなっているのもトピックだ。

明らかにパワフル&スポーティなMT車

 最初に乗ったのはMT車だ。ゆっくりとアクセルを踏んでいく。アクセルの開度が30%くらいでも、ディーゼルターボ特有のブ厚いトルクで車速をグイグイと伸ばしていく。レスポンスも良好で、約1500回転以上エンジンが回っていればアクセルをチョンと踏むだけでスッと加速してくれる。ターボ車にありがちなアクセルを踏んでも少しの時間エンジンが反応しないという、いわゆるターボラグはほとんど感じなかった。そういう意味では3.5リッタークラス以上の大排気量車に乗っている雰囲気に近い。
 この大トルクの恩恵は偉大で、100km/hを超える高速でもほんのチョットアクセルを踏み込むだけでグングンと車速を伸ばしていくに違いない。アクセルをグッと大きく踏み込み、シフトダウンさせて加速するガソリン車とはひと味違う。とくにこのトルクの塊感は高速道路のクルージングで、ドライバーの疲労として大きな差がつく。ほんのチョットアクセルを踏み込めばいいだけのディーゼルエンジンのほうが、明らかに疲労が軽減されるだろう。エンジンの回転もガソリンエンジンと遜色のないレベル。レブリミットが4千回転半ばくらいだったと思ったが、そこまでキレイに回って行く。まるでガソリン車? って感じ。
 お次は6速AT車だ。日産に6速ATがあるんだ! なんてちょっと感動しながら、AT仕様に乗る。こちらは150psで320Nmとちょっと控え目バージョン。さすがにMTバージョンと比べるとちょっと非力。だが、冷静に考えてみると320Nmといえばガソリン車で3リッター車以上のトルク。遅いワケがなく、マイル表示のスピードメーターがグイグイと上がっていく。エンジン制御の違いのせいなのか、全体にMT車のほうがエンジンのピックアップもパワー感もワイルド。AT車は意外とマイルドな印象を受けた。

新型エクストレイルディーゼル車エンジン
燃料を600気圧まで高め、ピエゾ式インジェクタ—で噴射する高精度なコモンレールシステムを採用。
新型エクストレイルディーゼル車エンジン
DPF(ディーゼル・パーティキュレート・フィルター)を装備して黒煙を吸着。黒煙を酸化させDPFの再生を繰り返し行い排気ガスをクリーン化している。ディーゼルエンジンにおいて、とても重要なパーツのひとつ。
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格段に静かになったが、やっぱりディーゼル音はそれなりに・・・。

 気になるエンジン音は、車外も車内でもやっぱりにぎやか。車外音はイッパツでディーゼル車だと分かるレベル。ほとんどディーゼルと分からない800万超のベンツEクラスCDIとは、やはり違う。まあ、エクストレイルに比べ3倍以上違うので当たり前といえば当たり前だが、エクストレイルは音にウルサイ日本人向けにもうひとつ工夫が必要だ。
 それでも、随分昔のディーゼル車に比べればかなり静かになったと思う。走り出すと、さらにディーゼルのにぎやかさは姿を消す。不快な振動はない。レブリミット近くまで回すとやはり少々音はする。ただ、ガマンできないほどではなく、さらにちょっとにぎやかに感じる程度。トルクがあるので、そんなにエンジンを回す必要がないので、それほど気にならないかも。おもしろいことに、試乗したクルマの個体差なのかMTよりATのほうがにぎやかに感じた。日産の説明員に尋ねたところ明確な回答はなかった。

渋滞の少ない郊外、たくさん距離を走る人にはディーゼルの効果は大きい

 ボクは両手を上げてクリーンディーゼル万歳! と、いうタイプではないが、それなりに環境派。ヨーロッパのメーカーの多くは、ディーゼルこそが環境だ! って感じだが、ヨーロッパには日本のような凄まじい渋滞はないし、住宅事情だって日本のように過密ではないので車外音だってそんなに気にならないだろう。だから、日本においてはユーザーのクルマを使う環境によってディーゼルだったりハイブリッドだったりなどのエンジンやシステムを選べばいいと思っている。
 だから、渋滞の少ない郊外で年間走行距離が1万5千キロを超えるようなユーザーには燃費の恩恵を大きく受けるのでクリーンディーゼル車は、燃料費やCO2排出を含めオススメといえる。都内の渋滞や年間走行距離の少ない人には、燃費の恩恵を受けることが出来ないので、CO2の排出量ではまだまだガソリン車のハイブリッド車が有効だろう。そう考えるとディーゼルハイブリッド車こそが、CO2排出量の少ないクルマってことになるのだろうか?

日産エライ!! 国内メーカー初のクリーンディーゼル導入決定に拍手!!

 ともあれ、日産では世界的に重要視されているディーゼルエンジンの環境対策を大幅に強化中。最終ゴールは、ディーゼルエンジンで大気並みのクリーンな排気レベルのSULEVを目指して研究中だという。今回乗ったエクストレイルは、2008年秋の発売までにEuro4より規制の厳しい日本の新長期規制に対応しての登場だという。ディーゼル車の未来も楽しくなってきた。国内で最初にクリーンディーゼルを導入することを決断した日産に拍手!!

達人プロフィール: 大岡 智彦
職業:コリズム編集長
自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。

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