BMWらし滑らかな回転フィールの直6エンジンが魅力
新型X5の搭載エンジンは直列6気筒3.0LとV型8気筒4.8Lの2機種。従来のモデルに設定されていた4.4Lエンジンは廃止された。
駆動方式はX3などに採用されているxDriveと呼ぶ電子制御トルクスプリット式のフルタイム4WDで、通常は前後駆動力配分が40:60で、FRに近い走りのフィールを実現する。路面状況や走行状態に応じて0:100から100:0まで変化する仕組みだ。
最初に試乗したのは3.0si。今では世界的に見ても数少なくなった直列6気筒エンジンの搭載車だ。バルブトロニックやダブルVANOSといったバルブ系に可変機構を採用することで、動力性能を200kWにまで向上させると同時に燃費性能も10%以上向上させている。
車両重量は2tを軽く超える水準で相当に重いクルマといえるが、3.0Lエンジンの動力性能もそれに十分に見合ったもの。アクセルを踏み込むとレッドゾーンの始まる7000回転まできれいに回っていくエンジンフィールは、さすがにBMWのエンジンという印象。
変速レスポンスがアップしスムーズな加速が味わえる
3.0L車にも電子制御6速ATが組み合わされるようになっただけでなく、このATの変速時間がこれまでの半分ほどに短縮されているので、滑らかでレスポンスに優れた変速フィールが味わえる。
ステップトロニック付きのATなのでレバーを操作してスポーツモードでの変速を楽しんだり、さらに積極的に動かしてマニュアル車感覚の走りを楽しむこともできる。時速80kmなら1700回転あたり、時速100kmでも2000回転を少し超えたあたりの回転数でクルージングできるので、静かな走りを味わうことも可能だ。クルージング中にはロードノイズ入ってくるが、エンジン音はほとんど気にならない。
V型8気筒4.8Lエンジンの搭載車になると、格段にスムーズで力強い走りが可能だ。重量はさらに重くなってオプションを装着した試乗車では2360kgに達していたが、261kWの余裕あるパワーと475N・mのたっぷりしたトルクによって、重量級のボディをぐいぐい押し出していく。回転の上限は直列6気筒に比べてやや抑えられて6500回転とされているが、そこまできれいに回って変速していく加速フィールの気持ち良さは、さすがにBMWという印象である。
●お勧めグレード
新型X5では1000万円を超えるグレードはなくなったが、3.0siでも753万円の設定。4.8iでは963万円だから、普通に選ぶなら3.0siということになるだろう。
753万円の価格は十分に高いが、これまでのX5に乗っていた人には割安感が感じられる部分もある。というのは、先に述べたように本革シートやHDDナビが標準装備されるなど、金額に換算すると150万円近い仕様の向上がありながら、従来のモデルに比べるた価格アップはその半分くらいに抑えられている。実質的に数十万円分の買い得感がある計算だ。
スポーツパッケージやコンフォートパッケージなどのセットオプションのほか、さまざまな単品オプションも用意されているので、これらを含めて購入予算を考えたい。