私は自動車雑誌のほかにカー用品専門誌の執筆も頻繁に行っている。中でも洗車記事が多いのは、この「コリズム」でも同様だが、近年純正装着率が飛躍的に延びているHID(High Intensity Discharged lamp)も大変興味を持っており、未装備車のための「後付けHID」製品も数多くテストをしてきた。
そんな「後付けHID」で以前から発売を待ち望んでいたものが、今回紹介するCRUIZE(クルーズ)製H4対応デュアル・バナーである。実は、この商品と出会ったのが今から一年前。まだ試作段階の製品を見せてもらったのだが、H4式「後付けHID」の弱点を全て克服している実に画期的な商品で、久々に感銘を受けたのだ。それから早一年、いよいよ完成品として正式に発売されることになった。
このHIDシステムのスゴイところは上記の写真を見ていただければおわかりのとおり、一つのガラス管の中に2本のバナー(発光体)が内蔵されていることである。これはもちろん世界初の試み!(特許出願中、意匠登録済)
現在でも大衆車では、高い採用率を誇るH4方式(一つの電球にハイローのフィラメントを持つヘッドライト)のクルマをHID化するために改良に改良を重ね製品化にこぎつけたものである。
さてここからがキモ。今までにもH4方式のヘッドライトをHID化するキットは各社から発売されていた。しかし問題はハイビームの配光だった。より遠くに照射するためバナーの後方にソレノイドという磁石が内蔵されており、ハイビームの際には磁石の力でバナーを引っ張りながら斜度をつけるという方法が用いられていた。そのため、車両に装着する際にはライト側後方に最低でも5センチほどのクリアランスを必要とした。しかし、スペースの問題から小型車やワンボックス車、旧車などではHID化することが不可能だったのが現状。
また、ソレノイドで傾斜をつけたとしても、ハロゲンライトのようなハイロー2個のフィラメントを持たないため、思ったほど遠くを照射してくれないという不満も多く、車検未対応のものも存在した。
CRUIZE(クルーズ)デュアルバナーは、一本のガラス管にハイロー2本のバナーを内蔵したことにより、配光の原理はハロゲンと同じ。そのためバナーを引っ張り傾斜をつけるソレノイドは不要である。これにより、ライト後方スペースは純正のハロゲンと同様のサイズのため、取り付けスペースの問題を解消。また、機械的な駆動部を廃したことにより故障を最小限に抑えることができた。
テスターだけでの配光テストでは、その視認性がどれほど優れているのか納得できない。ということでメーカーの広報車両を借り受け、深夜の林道で照射テストを敢行!左がロービーム、右がハイビームである。特にハイビームでは、ハロゲンの配光を忠実に再現しながらも、HIDの特性であるハロゲン比3倍の圧倒的な光量で遠方まで均等に照射している。また、ハイビーム側のバナーが放つ発光は、最も明るく視認性が高い4300ケルビンが装着される。
セット内容は、複雑な配線を極力省いたものでハロゲンから簡単にHID化できるように考慮されている。取り付けは、純正の3又カプラーにHID側の配線を差し込めば完了。制御装置となるバラストは国内最小、最軽量で完全防水を実現。フェンダーの裏など水のかかる場所にも設置が可能だ。
また、バナー本体の交換も簡単。クラシカルなイエローから、HIDの標準色である4300ケルビン、そしてファッション性を高めた6000ケルビン以上と好みによって色温度を選ぶことが出来る。待ち乗りでは、人目を引く青白い光、そして山道では視認性の高いイエローと使い分けも簡単にできるのだ。
このCRUIZE(クルーズ)HIDデュアルバナーシステムは、基本的にH4方式であれば取り付け車種の制約がない。今まで設置スペースの問題から取り付けを諦めていたクルマや、ライトが暗くて夜道が怖いと嘆くクラシックカーのオーナーまでオススメの製品といえる。
価格は、セットで47,800 円〜55,800 円とリーズナブルなのも魅力。またバナーも一本10,000円〜14,000円で好みの色に交換可能。発売はいずれも、7月中旬を予定している。
Part,2では、愛車の「ルノー・トゥインゴ」にこのCRUIZE(クルーズ)HIDデュアル・バナーを装着したいと思います。その驚くべき実力、気になる取り付けレポートは次ページをチェック!