ソフトな乗り心地とスポーティな走りを両立
クーペと比べると車両重量が205kg増えているカブリオレだが、この重量のお蔭で乗り心地は3シリーズ中一番良い。重さがある分揺れにくくなっている。そしてタイヤの当たりもソフトに感じられるからだ。
しかし走りに関しては大きなマイナスにはなっていない。まずは重心点がクーペより15mm下がったことで助けられている。フロアレベルの補強とメタルトップを電気モーターと油圧で作動させるシステムがトランクの下にレイアウトされているからだ。クーペのサスペンションはMスポーツサスペンションだからノーマルより15mm車高が下がっている。しかしノーマルサスペンションのカブリオレがクーペより15mm重心が低いということは、ボディだけを比べると30mmも重心が低いことになるからだ。
余裕あるエンジンと優れた重量バランスによる軽快な走り
もうひとつの強い味方は3リッターツインターボエンジンだ。そのトルクはたった1300rpmで400NmというV8 4リッターエンジンと同じ最大トルクを発揮してしまうことだ。さらにこのトルクは5000rpmまで持続する。このトルクの余裕が普通に走るときはもちろん、ちょっとくらい飛ばして走るにも充分以上の力を発揮してくれるのだ。
BMWのセオリーに則って335iカブリオレも50:50の前後重量バランスでできている。だから走りもいいのだ。
しかしメタルルーフをトランク内に収納したらバランスが崩れるだろうと開発者に質問したら、「オープンの場合にはクローズより後ろ寄りになるが、後席に幼稚園の子供が乗った程度の変化でしかない。判る人は少ない。」という答えが返ってきた。
しっかりした作りによる高い安全性を実現した
カブリオレのフロントシートは3点式シートベルトがすべてシートに組み込まれたインテグレーテッドタイプだ。これはシートのフレーム、シートレール、フロアの剛性まで出さないとできない豪華な仕様なのだ。他社のカブリオレを見ると、このコストの掛かる方法を採用しているところはほとんどない。後席への乗り降りのしやすさと乗員の安全性向上のためだ。
ここまでやっているのにクーペに対してたった82万円高いだけというのはバーゲン価格だ。