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221616 編集部

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高度な車両運動統合制御システム『S-AWC』

三菱自動車は7月10日、今秋発売予定の『ランサーエボリューションX(テン)』に搭載する車両運動統合制御システム『S-AWC(Super All Wheel Control)』と、2ペダル自動MT『Twin Clutch SST(Sport Shift Tansmission)』を初めて報道陣に公開した。

S-AWCは、従来の「ランサーエボリューション」シリーズが搭載してきた「ACD(Active Center Differenttial)」、「AYC(Active Yaw Control)」、「スポーツABS(Sport Antilock Brake System)」に、「アクティブスタビリティコントロール(ASC:Active Stability Control)」を新たに加え、さらにこれを統合制御するという、非常に高度なシステムだ。
 4輪の駆動力、制動力をそれぞれ独立してコントロールし、さらにエンジントルク情報、ブレーキ圧センサー、ヨーレイトフィードバック制御の採用することで、ありとあらゆる走行状況下でも、ドライバーの操作に忠実な車両制御を行えるという。三菱ではこのS-AWCの開発にあたり、『意のままの操縦性』と『卓越した安定性』を高次元で具現化することを目標にしたと話す。

『S-AWC(Super All Wheel Control)』統合制御システムの機能概要

従来型の制御システム(左:ランエボIX MR)と、新型「S-AWC」統合制御(右:新型ランエボX用)の比較図。統合制御されたS-AWCにより、あらゆる走行状況化でもシームレスに車両運動性能が向上していることを表す。

「S-AWC」のシステム概念図。従来型からASC(アクティブスタビリティコントロール)を追加し統合制御化。意のままのハンドリングと圧倒的なスタビリティを実現したと言う。

ランエボとともに進化し続けて来た「AYC」(Active Yaw Control:アクティブ ヨー コントロール)。新型ではヨーレイトフィードバック制御とブレーキ制御が追加され、よりドライバーに忠実な制御を目指す。

他モデルにも展開予定! 2ペダル自動MT『Twin Clutch SST』

ランエボX向けのもうひとつの新技術として、新たに2ペダル自動MT『Twin Clutch SST(Sport Shift Transmission)』の採用も明らかにされた。
 これは、自動変速マニュアルトランスミッションに、奇数段(1、3、5段)用クラッチと偶数段(2、4、6段)用に2系統のクラッチを交互に切り替える、ツインクラッチ方式を採用し、俊敏な変速を可能としたもの。トルクコンバーターを使用するATに比べ、クラッチで動力を伝達するシンプルな構造ゆえ、動力損失も少なく伝達効率が良く、燃費の向上にもつながるという優れモノだ。
 なお、走行シーンに合わせ、市街地向けで快適性や燃費性能を考慮した「Normal」、ワインディング向け「Sport」、より高回転で変速し、更に素早いシフトが可能な「S-Sport」の3ツの変速プログラムが選択出来るほか、もちろんマニュアルシフトも可能となっている。

 このTwin Clutch SSTは高トルクにも対応出来ることから、高性能スポーツセダン「ランサーエボリューション」のみならず、現在三菱のFF系モデルで多く採用されるCVT(無段自動変速機)では対応出来ない車種にも搭載する計画があることも会見の席で明らかにされた。具体的には、今後登場予定の高性能ターボディーゼルエンジン車などが候補にあがっているようだ。

2ペダル自動変速マニュアルトランスミッション『Twin Clutch SST(Sport Shift Transmission)』の構造

『Twin Clutch SST(Sport Shift Transmission)』の構造モデル

'07秋にデビューする予定の三菱 新型 ランサーエボリューション X(テン)。

既にフォルクスワーゲン(VW)が『DSG』名で採用しているものに近い存在となるが、VWがクラッチを内外に配列するのに対し、三菱のTwin Clutch SSTは並列に2つ配置。冷却性能を高め、耐久性や発信の滑らかさが向上しているのがジマンなのだとか。今秋が待ち遠しいっ!