トルクフルなエンジンによるゆったりとした走り
大柄なボディのミニバンで車両重量は1600kgを超える水準。相当に重いボディに対して2.0Lの自然吸気DOHCを搭載しているので、乗る前には走りはどうかという懸念があった。でも実際に走らせてみると、動力性能が103kW/200N・mのエンジンでも、走りに特に不満は感じない。特にシティモードでミニバンらしくおとなしい走りをするときには、これで十分という印象になる。
定員乗車で高速道路での追い越し加速をしたいときや、あるいは急な山道を走るようなときにはやや非力な感じにならないでもないが、C4ピカソはゆったりした走りが似合うミニバンである。パワーはさほどではないがトルクは排気量に見合って十分に出ているのも走りの好ましさにつながっているし、クルージング時の静粛性の高さも上々のレベルにある。
しなやかで快適なエアサスを新採用
トランスミッションは4速ATと電子制御マニュアルオートマの6速EGS。どちらもパドルシフトによってレスポンスに優れた変速か得られるので、追い越し加速や山道などではパドルを積極的に操作すれば良い。
4速ATは今では物足りない感じを与えるが、6速のEGSは電子制御によってスムーズで素早い変速が可能になり、従来のヨーロッパの小型車用のマニュアルオートマとは違った滑らかな変速フィールを実現している。これならデキの良いATに慣れた日本のユーザーにも納得してもらえると思う。
足回りもクサラ・ピカソから大きく進化した部分。リヤにエアサスペンションが採用されており、乗員や荷物にかかわらず安定した乗り味を実現している。クサラ・ピカソでは走行状態によって違和感のある揺れ方なども感じられたが、C4ピカソではそれが解消され、優れた乗り心地を実現している。
●お勧めグレード
C4ピカソは単一グレード。C4ピカソ2.0エクスクルーシブだけの設定となる。4速ATと6速EGSとが選択可能だが、これはどちらが良いかは好みの問題。変速の滑らかさではまだ4速ATのほうが上回っているが、6速EGSのデキも良いので、どちらかといえばこちらがお勧めになる。ミニバンの常識的な走りをする範囲では6速EGSでも十分に滑らかな走りになるからだ。
価格は、345万円の設定。満足度の高い快適装備や充実した安全装備を考えると、国産ミニバンとの実質的な価格差はさほどではないと思うが、カーナビなどをオプション装着すると諸費用込みで400万円を超えるのはちょっと高いかなという印象。シトロエンのブランドにどれだけの価値を見いだすかが選択のポイントになるだろう。
日本で使うにはちょっと大き過ぎることを除けば、クルマそのものは相当に良くできている。