パワフルなエンジンによる滑らかな加速が味わえる
XKにはV型気筒4.2リッターの自然吸気エンジンが搭載されていたが、XKRではこれにスーパーチャージャーが装着され、313kW(426ps)、560N・mの強大なパワー&トルクを発生する。自然吸気エンジンが224kW(304ps)、421N・mであったことを考えると動力性能が大きく向上しているのが分かる。
ZF製の6速ATとの組み合わせは上々で、滑らかかつ力強い変速フィールが味わえる。今回の試乗は芦ノ湖スカイラインを中心にした箱根の山道だった上に、路面がウエットだったこともあってアクセルを大きく開くことはできなかったが、それでもXKRのスーパーチャージャーエンジンの実力の一端をかいま見ることができた。
マニュアルモードつきATはアグレッシブな走りを実現する
クルージング時には静かな走りが得られるが、いざアクセルを踏み込んだときには排気音が大きく高まって豪快な走りのフィールを感じさせるのはそのひとつ。あるいは電子制御6速ATに組み込まれたシーケンシャルモード時のブリッピング機能も走りの高揚感を高めてくれる。
これはJゲートのATレバーをDSモードにするなどした上で、ステアリングコラムの裏側にあるパドルを操作してシフトダウンするとき、エンジンを軽く空吹かしして回転を合わせ、スムーズかつ素早い加速を実現するもの。ほかのメーカーのATにも同様の機構を持つ例があるが、XKRのそれは俊敏かつダイレクトな反応を示してくれた。
前輪が40で後輪が35という前後異サイズの偏平タイヤを採用するが、その割に乗り心地に優れるのも注目される点。ゆったりした感じの乗り味は、XKRであってもジャガーであることを示していた。ステアリングの操舵力もかなり軽めに設定されている。これなどはもを少し確かな手応えとシュアな操舵フィールが欲しいところである。
●お勧めグレード
XKRの価格はクーペが1330万円でコンバーチブルが1430万円。今回の試乗車はそれぞれアクティブヘッドライトやプレミアムサウンドシステム、ソフトグレインレザーのインテリアなどが装備されており、80万円ほどプラスした仕様となっていた。
いずれにしても簡単に買えるクルマではないが、ベースとなったXKに対してそれぞれ200万円の価格アップとなっている。動力性能の向上幅を考えると、この価格アップの幅はかなり抑えた設定といえなくもない。
XKやXKRのような1000万円超の価格帯のクルマを買えるユーザーなら、XKではなくいっそのことXKRを選んだほうが良いだろう。この豪快な走りはなかなか得難いものだ。