感銘を受ける仕上がりのアクティブステア
最初に試乗したのはVQ35HRエンジンを搭載する350GTタイプSP。V36スカイラインの最上級グレードとなるモデルで、快適装備のスポーティな装備の両方を兼ね備えたモデルだ。
オプションのアクティブステアが装着されていたので、走り出してハンドルを切るとすぐにこれは! という感じを受ける。芦ノ湖スカイラインのワインディングまで行くと、その感覚はさらに明確なものになり、操舵に応じてキビキビと反応し、いかにもクルマを操っているという印象を受ける。
BMWも前輪にアクティブステアを採用しているが、スカイラインのアクティブステアは4輪を操舵するほか、前輪の切り増し分をやや控えた設定になっている。その分だけ違和感が少なく、より自然な感覚で操れるのが好印象だった。
3.5リッタ-エンジンはノイジーながらパワフル
それ以上に好感が持てたのがVQ35HRエンジンの吹き上がりの良さとパワーフィール。アクセルを踏み込むのに応じてタコメーターの針が一気に駆け上がってゆき、それに伴って豪快にパワーが盛り上がる。3.5L級のエンジンではトヨタの2GR-FGSE型が断然デキの良いエンジンといえるが、このVQ35HR型もそれに匹敵するくらいのエンジンだ。単にパワーの数字が同じというだけでなく、吹き上がりのフィールなども含めて互角に近い。
ただ、エンジン騒音はかなり大きめだ。V35型に比べると静粛性を向上させたとのことだったが、エンジンを回すと室内でも車外で聞いていても相当に大きな音がする。これは走りの実感につながるものとはいえ、このクラスのクルマはもっと静かで良い。
VQ25HRエンジンの搭載車にも、FRと4WDの両方に試乗した。こちらはともに4輪アクティブステアを装備していない仕様だったが、これがまた好印象だった。4WASにはそれなりの良さがあるものの、非装着車にはスカイラインが本来的にも持つ素性の良さが感じられた。これは十分に確保されたボディ剛性によるところが大きく、それが走りの良さだけでなく乗り心地の良さなども好影響を与えているのが良くわかる。
●お勧めグレード
運転している実感の持てるクルマという意味で、V36スカイラインはとても良くできたクルマだと思う。ボディがちょっと大きくなったのは必ずしも歓迎できないし、タイヤも大きくなる方向に進んでいるが、余裕十分の性能によって容易に走りを楽しめるクルマに仕上がっていたことは、いかにもスカイラインらしいポイントである。
お勧めグレードはちょっと悩ましいところがある。予算も含めて総合的に考えたら、250GTタイプVが最もリーズナブルなグレードといえる。スカイラインの素の良さが感じられるモデルである。ただ、V36スカイラインがデビューしたばかりの今の時点で考えたら、4WASのオプション装着も考慮して350GTタイプSPなどにも心が動く。予算(諸費用込みでざっと500万円)に余裕があるなら、最新・最高の仕様を手に入れたい。