パワー面では大柄なボディを感じさせないが……
大柄なボディを持つQ7は車両重量も2300kg台と相当に重くなる。ただ搭載エンジンも直噴仕様のV型8気筒4.2Lで、257kW(350ps)/440N・mという余裕十分のパワー&トルクを発生するため、動力性能的には不満のない実力を示す。低速域から排気量に見合った太いトルクを発生するので、力強い加速フィールが得られる。アクセルを踏み込めば重さを感じさせない加速が見せるのだ。
組み合わされるトランスミッションはSトロニックではなく6速のティプトロニックAT。今ではこれがアウディの標準仕様である。マニュアル操作が可能なティプトロATだが、エンジンが余裕の動力性能を発揮するだけに、積極的なマニュアル操作をしなくても実に良く走る。
ただ、大柄なボディはさすがに扱いにくさも感じさせる。特にUターンなど小回りが必要なシーンでは、余分な切り返しが必要になる。今回は箱根での試乗だったが、都市部では扱いにくいクルマになってしまいそうだ。
秀抜な出来のエアサスペンション
試乗車はオプションの電子制御アダプティブエアサスペンションを装着したモデルだったが、これがなかなか具合が良い。コンフォートの状態で走れば通常は快適なドライブが可能だし、ダイナミックモードで走ればスポーティで安定性の高い走りを実現する。合計すると6種類のモードの選択が可能で、メリハリの効いた設定となっている。
●お勧めグレード
単一グレードなので特にお勧めのグレードはない。強いていえばオプションのアダプティブエアサスペンションの装着車がお勧めとなる。ただ、ベース車でも車両本体価格は945万円で、これにサスペンションやタイヤなどのオプション装着すると車両価格だけで1000万円を超える。まあ普通の人には簡単に手の届くクルマでないことは確か。アウディにとっても特別の存在になるだろう。